「競争とは何か?」を考えるうえで、非常に興味深い存在がいる。それは、プロ野球選手の田中将大さんだ。

田中選手は、2013年に日本のプロ野球で24勝0敗の記録を作り、今年、大リーグのニューヨーク・ヤンキースに移籍すると、そこでも現時点までで4連勝を記録している。レギュラーシーズンだけでいうと、一昨年から32連勝中である。

田中選手の面白いところは、その価値を「競争」抜きには語れないところだ。
彼は、世界一球速が速いわけではないし、世界一変化球が曲がるというわけでもない。世界一コントロールが正確というわけでもない。
ただ、世界一バッターを抑えているのである。世界一バッターに打たれないのだ。
つまり、「バッター」という存在がいなければ、田中選手のすごさは表現しにくいのである。伝わりにくいのだ。

そんな田中選手の投手としての価値は今、世界で最も大きい。彼の価値は、世界一速いピッチャーや、世界一曲がるピッチャー