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競争考:その11「勝利へのイメージ」(2,039字)
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競争考:その11「勝利へのイメージ」(2,039字)

2014-07-01 06:00
    スポーツ中継などでは、よく勝利した選手の喜ぶ姿がクローズアップして映し出される。派手なガッツポーズをしたり、奇声をあげたり。それは感動的で見応えのあるシーンなので、ニュースなどでもくり返し取りあげられるため、多くの人の目にとまる。
    それゆえ、多くの人にとって勝利とは、そういう感動的なシーンだととらえられている。

    しかしそれは、本物の勝利の実態とは違う。そういうふうに喜びを爆発させるのは、勝つか負けるか不確かだったときなので、「本物の勝利」とはいえないのである。それは、サイコロを振って自分の賭けた目に出たような、心許ない勝利なのだ。次はどんな目が出るか分からない。

    そういう勝利を、ここでは扱わない。ここで扱うのは、本物の勝利――全てを兼ね備えた勝利だ。

    では、本物の勝利というのはどういうものなのか?
    ――それは、もっと静かなものなのである。もっと呆気ないものだ。もっと穏やかなものなのだ。

    「本物の勝利」
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