一つは、自分に対してのハードルが上がること。
ぼくは、座右の銘を聞かれると必ず「人間万事塞翁が馬」と答えることにしている。それは、これまでの人生の中で、そのことをつくづくと感じたからだ。
40歳になるくらいまで、ぼくはほとんど「幸せ」を感じずに生きてきた。幸せを感じたのは、小学生の一時期と、20代後半に最初の結婚をしていたときくらいだった。それ以外は、ずっと不幸を感じながら生きていた。
なぜ不幸を感じていたかといえば、周囲に嫌われていたからだ。なぜ嫌われていたかといえば、感情的で、短気だったからだ。他人の気持ちを考えることはまずなくて、自分の短絡的な感情に従って生きていた。だから、怒りっぽいのはもちろん、喜怒哀楽のあらゆる感情が豊かだった。よく笑い、よく泣いた。
しかしそれゆえ、周囲と上手く関係を取り結べなかった。これがつ