もう十年くらい、リノベーションの需要は増え続けている。
なぜかといえば、そこには二つの理由がある。
まず、一九六〇年代から八〇年代にかけて建てられた建物が、築三〇年以上経過して、老朽化が進んだこと。そして、六〇年代と八〇年代は、日本――特に都内は建設ラッシュに見舞われたので、その頃に建てられた建物が非常に多いこと、である。
マンションが日本で建てられ始めたのが、東京オリンピックに沸いた六〇年代だった。そして八〇年代は、バブル景気の影響もありマンション建設ブームだった。そうしたことから、都内には築三〇年以上の中古マンション――ビンテージマンションが非常に多いのである。
それらが古くなり使いづらくなったので、リノベーションの需要が増えたのだ。
もう一つ、リノベーションが増えている理由は、それらビンテージマンションを簡単には建て直せないということにある。
建て直せない理由は三つある。
一つは、