ハックルベリーに会いに行く
ライトノベルの書き方:その19「『失うことが得ること』という矛盾した様態を描く」(2,045字)
人は誰しも「欠落感」を抱えながら生きている。「何かが欠けている」「何かもの足りない」という飢餓感を抱えながら生きている。
なぜか?
理由はいろいろあるだろうが、その生まれ方や育ち方に、大きな関係があるのではないだろうか。
人は胎児のとき、誰しも母親とつながった状態だ。それはへその緒で文字通り「つながれて」いる。だから、それをデフォルトとして受け取るのである。「あるべき姿」と受け止めてしまうのだ。
そうしてその後、母親と切り離される。そこで、自然と「欠落感」を抱えるようになるのだ。あの母親とつながっていた感触、あるいは母親を通して世界とつながっていた感触が失われてしまい、えもいわれぬ寂しさを感じるようになるのである。
やがて人は、長じると他者とコミュニケーションするようになる。すると、そのときどきで思わぬ嬉しさを感じるときがある。それは、「つながった」という嬉しさだ。
例えばぼくは、弟とは趣
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