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Vol.321 結城浩/チームで仕事/大学院へ進む/いい編集者とは/わかりやすく教える/愛し合うために/
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Vol.321 結城浩/チームで仕事/大学院へ進む/いい編集者とは/わかりやすく教える/愛し合うために/

2018-05-22 07:00
    Vol.321 結城浩/チームで仕事/大学院へ進む/いい編集者とは/わかりやすく教える/愛し合うために/

    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2018年5月22日 Vol.321


    はじめに

    結城浩です。

    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。

    先日、こんなツイートを見かけました。

    ◆龍谷ミュージアム前館長のつぶやき
    https://twitter.com/tirisawa/status/995199021412057088

    学生諸君には「学問を愛する人」になってもらいたいと思っています。社会人になっても「学問のアマチュア」でい続けてほしいのです。「アマチュア」の語源はラテン語のアマートル。「愛する者」という意味です。学問は人生に豊さをもたらし、謙虚さを身につけさせます。彩りある人生を

    結城は「アマチュア」が「愛するもの」という意味だというのは知らなかったので、ネットにあるオックスフォードの辞書で「amateur」という単語の語源(Origin)を調べてみました。

    ◆amateur - English Oxford Living Dictionaries
    https://en.oxforddictionaries.com/definition/amateur

    Origin

    Late 18th century: from French, from Italian amatore, from Latin amator ‘lover’, from amare ‘to love’.

    ほんとうでした。「アマチュア」という言葉の語源は「愛する者(lover)」なんですね。

    「愛する者」に関連して、結城は「哲学」のことを思い出しました。「哲学」は英語でフィロソフィー(philosophy)といいますが、これは確か「知恵を愛すること」だったはずです。先ほどと同様にオックスフォードの辞書で語源を調べてみます。

    ◆philosophy
    https://en.oxforddictionaries.com/definition/philosophy

    Origin

    Middle English: from Old French philosophie, via Latin from Greek philosophia ‘love of wisdom’.

    確かに「知恵を愛すること(love of wistom)」でした。

    ちなみに、フィラデルフィア(Philadelphia)は「兄弟愛(brotherly love)」で、フィルハーモニック(philharmonic)は「ハーモニーを愛すること(loving harmony)」ですね!

    あなたは「何を愛する人」ですか。

    それでは、今回の結城メルマガを始めましょう。


    目次

    • はじめに
    • 目次
    • チームで仕事をする上で大切なこと - 仕事の心がけ
    • 障害者に配慮した環境の過ごしやすさ
    • 「好き」だけを理由に院進していいか - 学ぶときの心がけ
    • いい編集者とは - 本を書く心がけ
    • どうしても院試準備以外の数学に耽溺してしまう - 学ぶときの心がけ
    • わからない子にわかりやすく教える方法 - 教えるときの心がけ
    • 自分の文章を読んで嫌悪感を抱いてしまう - 文章を書く心がけ
    • 互いに愛し合うために - コミュニケーションの心がけ
    • おわりに

    チームで仕事をする上で大切なこと - 仕事の心がけ

    質問

    チームで一緒に仕事をする上で「大切なこと」は何でしょうか。

    回答

    ご質問ありがとうございます。

    チームで一緒に仕事をする上で大切なことは大きく二点あります。

    (1)チームのゴールを理解すること。

    (2)チームメンバーの役割と多様性を理解すること。

    この二点です。

    「チームのゴールを理解すること」というのは、言い換えるなら「チームが存在する意味を考えること」ともいえるでしょう。

    チームとして仕事をするということは、そのチームが持っているゴール(目的、目標、存在意義、役割、達成すべきこと……)が必ずあります。それを理解しなかったら、チームで仕事をするのは困難です。

    「チームメンバーの役割と多様性を理解すること」というのは、言い換えるなら「チームメンバーが存在する意味を考えること」ともいえるでしょう。

    チームメンバーが協力して仕事をするためには、チームメンバーが互いに互いの役割を理解している必要があります。それが必要であることは、サッカーをやっているときのことを想像すればわかりますね。誰がフォワードで、誰がゴールキーパーであるかわかっていないサッカーチームが勝てるはずがありません。役割を理解するというのは多様性を理解することにも通じます。いくら「チーム一丸となってがんばる」といっても、チーム全員がボールを追いかけていてはだめです。

    「チームのゴールを理解すること」と「チームメンバーの役割と多様性を理解すること」という二点を挙げました。この二点は「チーム」というものが何であるかをよく表していると思います。

    (1)は、チームが一つの存在であることを表現しています。

    (2)は、チームが一人で成り立っている存在ではないことを表現しています。

    一人で成り立っているのではない存在なのに、あたかも一つの存在であるかのように仕事をする。それがチームということですね。

    (1)と(2)の両方を満たすとき、チームは初めて個人を超えるのだと思います。

    あなたのチームはいかがでしょうか。

    ご質問ありがとうございました。


    障害者に配慮した環境の過ごしやすさ

    障害を持っている人やお年寄りに配慮している環境は、それ以外の人にも過ごしやすくなることが多いと感じます。

    以前、私が関わっていたとある会社で、聴覚がとても弱い人が入社してきたことがあります。その方は補聴器を付けてはいるのですが、それでもリアルタイムでの聞き取りは難しかったようです。

    会社の中で報告会を行うとき、口頭だけの報告では、聴覚が弱いその人に情報が伝わりにくいので、スライドや配布資料を充実させることになりました。聴覚情報だけではなく視覚情報を提示してわかりやすくしたのです。また、口頭での説明も要点を整理して、一つ一つの言葉を明確に発音し、あまり早口の発表にならないように心がけることとなりました。

    その結果、聴覚が弱いその人だけではなく、関係者全員の理解度が増したのです。障害を持っている人に適切な配慮をすることで、それ以外の人にメリットがあったという一例ですね。

    新幹線に「多目的室」という部屋があるのを知っていますか。「多目的室」というのは身体が不自由な方が予約して利用できる個室です。昨年、車いすの義母が移動する際にもこの多目的室を利用してたいへん助かりました。ところでこの多目的室は、身体が不自由な方でなくても、車掌さんにいえば気分が悪いときに横になったり、授乳のために利用したりできるのです。

    私は特に障害を負っているわけではありませんが、障害者に配慮した環境によって助けられたことをいくつか思い出します。たとえば、仕事の帰りに身も世もなく疲れていて、電車の中でもう立っていられないときに空いている「シルバーシート」で一休みできたことがあります。また、両手に荷物がいっぱいになって歩きにくいときに「自動ドア」や「段差が少ないバス(ノンステップバス)」をたいへんありがたいと思います。

    疲れているときや両手に荷物がいっぱいのときというのは、いわば一時的に身体が不自由な状態になっているわけですね。健康な人であれ誰であれ、そのような不自由な状態になることはあるはずです。

    障害を持っている人に配慮した環境は、結果的に社会全体を過ごしやすくするのではないかと思っています。


    「好き」だけを理由に院進していいか - 学ぶときの心がけ

    質問

    物理を勉強している学部生です。

    私は特別優秀でもなく、物理を仕事にする道は険しいと思うのですが、単純に物理が好きという理由から大学院にも進みたいと考えています。

    私のような人間が就職せずに勉強を続ける意義をどうお考えでしょうか。

    親が納得してくれるよう、「好きだから」以外に院進の理由を探していますがあまり思いつきません。

    回答

    ご質問ありがとうございます。

    私は「学べるチャンスがあるなら、そのチャンスを生かして学ぶのがいい」と基本的に思います。「好きだから」というのは学ぶ理由として悪いとはまったく思いません。本来、好きだから学ぶものです。

    ただし、その「学べるチャンス」の中には経済的な要因も多く含まれています。学んでいるあいだの経済はどうするのか、またそのあとの身の振り方をどうするのか、そのような心配は尽きません。

    あなたとあなたの親の関係について私にはわかりませんので、外した答えかもしれませんが、「親の納得」というのは大学院への進学そのものというよりも、そこから先も含めたあなたの人生についての心配に関係していると想像します。

    「院進の理由」を見つけて親を納得させることも大事ですが、「自分は今後どのように生きていきたいか」について考え、それを親に伝えることが大事ではないでしょうか。「物理が好きだから大学院で学びたい」まではいいのですが「そこから先はまったく考えていない」となると、親としては「それでいいのか? 大丈夫なのか?」と言いたくなると思います。

    たとえ、そこから先はわからないし決められないとしても「どのようなパターンが可能性としてありうるか」くらいは考えたり調べたりしてはどうでしょう。精密な答えは提示できないとしても、数年後に結果としてウソになったとしてもいいのです。自分の将来について、第0近似も第1次近似も考えてないのはいかがなものでしょうか。

    不正確な未来像を提示するのは抵抗があるかもしれませんが、自分の今後について「ノープランではない」ことを示すのは、親との関係で無用なトラブルを減らすと思います。

    自分の「好きだから」を現実にするために、知恵をしぼりましょう。

    ご質問ありがとうございました。

     
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