結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年12月10日 Vol.402
目次
- 勉強のまとめ方 - 学ぶときの心がけ
- ガジェットの管理
- スマホがやめられなくて困る
- 数学はできるがプログラミングができない - 学ぶときの心がけ
はじめに
結城浩です。
いつもご愛読ありがとうございます。
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どんな本を書いていこうかという話。
新刊『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』は、多くの読者さんに読んでいただけているようでたいへんうれしいです。
ところで、新刊はすでに私の手を離れていますので、結城は今後の本のことも考えていく必要があります。どんな本を書いていきましょうか。そこで大事なのはもちろん《読者のことを考える》という原則です。
新刊の《サイン本無料プレゼント》を実施するときには、読者さんに「結城浩にどんな本をこれから書いてほしいですか」という問いかけをいつもしています。そこには必ずしも「次の本」についてだけではなく、もっと長期的な仕事全般についての問いも含まれています。読者さんに尋ねるというのは、読者さんのようすを知る直接的な方法ですね。
読者さんからは、多様な答えがやってきます。たとえば、こんな具合です。
- これまでと同様な内容の本をずっと書き続けてほしい……
- もっとやさしい内容の本も書いてほしい……
- もっとむずかしい内容の本も書いてほしい……
それって全部じゃん!
これはなかなかうれしい悩みですね!
読者さんからいただくメッセージは難易度だけを語っているわけではありません。数学ガールについての要望はもちろん届きますし、結城がふだんネットで書いているような内容を本にまとめてほしい、いまこういうことに関心があるからそれについてわかりやすく書いてほしい、……大変バラエティに富んだ意見が届きます。
読者さんが書いてくださるものを読むと、だいたいのところは、結城がイメージしている読者像とずれていないことが確かめられます。でもときに「なるほど!そんなふうに思う人もいるんだ」というメールをいただくこともあります。自分の読者さんはどんな方なんだろうと考え、読者さんからの反応を受け取ることは本当に大事なのだと実感します。
どんな本を書こうかと思うとき、つい内容だけを考えがちです。でも、その本を届ける「あなた」のことを考えなければ意味がありません。何をどのような切り口で書くかは、読者のことをイメージできなければ定まりませんからね。まさに《読者のことを考える》です。
今週は、編集部に2020年の執筆予定を企画書として出そうと考えています。さあ、新しい年はどんな本を書いていきましょうか!
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クリエイタに課金する話。
結城はpixivFANBOXというサービスで「結城浩のカフェ代支援」という企画を行っています。ひと月200円で、結城の「カフェ代」を支援してね!というものです。支援に対する特典はないのですが、数名の方からご支援をいただいています(感謝)。
◆結城浩のカフェ代支援
https://www.pixiv.net/fanbox/creator/24344450
ところで先日から、Webで知った漫画家さんを支援してみることにしました。理由の一つは「支援されてばかりというのもちょっとなあ」と思ったからですが、その他に「クリエイタを毎月支援するというのはどういう感じだろう」と思ったからでもあります。自分で確かめてみたいという気持ちです。
たとえばこちらは白井慶太さん。結城は『ハナクボ』という不思議な町が描かれている物語を楽しんでいます。pixivFANBOXではイラストやマンガの制作意図や設定画像がときどき掲載されるようで楽しいです。
◆白井慶太さん
https://www.pixiv.net/fanbox/creator/4121
たとえばこちらは若林稔弥さん。『幸せカナコの殺し屋生活』で知りました。noteにも書いていらっしゃいますが、漫画作成の際の心持ちが書かれていて、大変勉強になりますね。
◆若林稔弥さん
https://www.pixiv.net/fanbox/creator/465084
たとえばこちらはマスグレスさん。愛らしい一つ目キャラがバイト生活をするようすに妙に惹かれます。
◆マスグレスさん
https://www.pixiv.net/fanbox/creator/5810506
たとえばこちらは「なをををををを」さん。毎日(!)ツイートしている2コマ漫画で知りました。
◆なををををををさん
https://www.pixiv.net/fanbox/creator/14962631
実際にpixivFANBOXで「支援」してみると、金額が月に100円でも200円でも感覚が変わるのがおもしろいです。お金が絡むと、がぜん楽しみの度合いが変わるのでしょうか。自分が「関わっている」感じがするのでしょうか。
結城は、noteでも何名かの有料マガジンを購読しています。おもしろそうなら購読。違うかなと思ったら購読解除。そういう軽いノリがいいですね。新聞紙の購読みたいな強引な勧誘はないし、携帯料金のように何ヶ月縛りもありません。どうかなと試せる。これがいい。
pixivFANBOXであれnoteであれメルマガであれ、クリエイタさんに「課金」してみるのはなかなか楽しいです。クリエイタに少額課金できるのは現代的な行為ですね。どこの出版社で出しているかは関係なく「あなた」を応援してるんですよ!と直接伝えているような気分です。
ところでそもそも、上で紹介した四名のクリエイタさんとその作品にどうして「惹かれるもの」を感じるのでしょうか。ネットで見る作品は無数にあるのに、どうして「あ、これ、おもしろそう」と思うんでしょうか。何とも不思議です。
結城は「説明できない魅力」に強い関心がある……というのは、この「結城メルマガ」でも何度も書いてきました。だから「うまく説明できないけれど、好き」というものに出会ったときは、注意深く自分の心をのぞき込むようにしています。私はなぜ、これが好きなんだろうか。どういうところが好きなんだろうか。それを究明したくなるのです。
あなたは「説明できない魅力」を誰かの作品に感じたことがありますか。
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さてそれでは、今回の結城メルマガもどうぞごゆっくりお読みください。
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