結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2020年9月8日 Vol.441
目次
- どんなものを食べていますか
- 人に対する先入観を持ってしまう - コミュニケーションのヒント
- ひと通りプログラミング言語を学んでも成果が出せない
- 褒められても嬉しくない
- 「わからないこと」と付き合う - 学ぶときの心がけ
はじめに
結城浩です。
いつもご愛読ありがとうございます。
* * *
文法と理解と違和感の話。
あるときふと、村上春樹『騎士団長殺し』の中に出てきた「あらない」という表現のことを思い出しました。
ネタバレ防止のために詳しくは書きませんが、「あらない」は「ない」という意味です。たとえば「それほど簡単ではない」とすべきところで「それほど簡単ではあらない」とするのです。
通常は「あらない」という言い方はしませんけれど、意味は通じます。それはきっと「あら」が未然形のために「ない」が接続してもおかしくはないからでしょう。
その結果として「あらない」という言葉は「違和感があるけれど意味は通じる」という表現を作り出していることに成功しているといえます。
人間の理解は柔軟で、プログラミング言語処理系のようにエラーか否かの二択にはなりません(例外はいろいろありそうですが、大まかな話として)。その中間のあたりに表現の妙味や読書の楽しみが隠れていそうだな、と思いました。
* * *
ボロミアンリングの話。
Web連載「数学ガールの秘密ノート」第295回にはボロミアンリング(ボロメオの輪、the Borromean rings)が出てきます。
◆第295回 グラフ理論:表現と制約(前編)
https://link.hyuki.net/girlnote295
ボロミアンリングを構成しているリングは三本が絡み合っていてバラバラにはなりません。でもよく見ると、どの二本を選んでも絡み合っていないことがわかります。たとえば三本のリングのうち一本を切って取り除いたら、残りの二本は切らずともバラバラに分かれます。
不思議ですね。
ボロミアンリングは、三色の重なりがおもしろいポイントですから、多様な色覚の人にも分かりやすいような色を割り当てたつもりです。その際に使ったのは「色のシミュレータ」というiPhoneアプリ。このアプリは以前も結城メルマガで紹介しました。
◆色のシミュレータ
https://apps.apple.com/jp/app/id389310222
結城はボロミアンリングを描くとき、このアプリを通じてリアルタイムに四種類の色覚における見え方を確かめながら色を選びました。自分の目には「これならはっきり違うからわかりやすい」と思った配色でも「色のシミュレータ」を通すとまったく同色になって驚くこともありました。
ボロミアンリングは数学的にも楽しい図形ですね。結城が生まれて初めてボロミアンリング(ボロメオの輪)を見た本はマーチン・ガードナー著、高木茂男訳『数学ゲームI』(講談社ブルーバックス)です。以下の図はこの本の中に出てくる「2つの側面を持った,ボロメオの縁のある面」です。縁をじっくりたどってみると、ボロミアンリングになっていることがわかります。
ちなみに、結城がボロミアンリングに初めて出会ったのは1976年1月4日のこと。どうしてそんな日付がわかるかというと、結城(少年)は当時、本の奥付に購入年月日をメモする習慣があったからです。
自分が子供のときに出会ったものが、何十年もの時を経て自分の文章に登場するのはちょっと感じるものがありました。
* * *
それでは、今回の結城メルマガを始めます。
どうぞごゆっくりお読みくださいね。
どんなものを食べていますか
質問
結城さんは食事を管理していますか。もしそうなら、結城さんの体調に良い食べ物や、抜いたら体調が良くなったものなどあったら教えていただけると嬉しいです。
回答
特に食事管理はしていません。彼女(妻)のお勧めに従って食べることが多いですね。最近はお野菜、お魚、鶏肉を食べることが多いです。
2020年春からは外出をほとんどしなくなったせいもあって、外食がゼロになりました。それが理由なのかはわかりませんが、体重が数キロ減りました。また、以前よりずっと体調がよくなりました。
私があまり食べないものとしては、鶏肉以外の肉。ピザとかハンバーガーのようなファーストフードもほとんど食べないです。ケンタッキーフライドチキンはたまーに食べます。
基本的に、私は食べ過ぎると体調が悪くなります。体調が悪くなるほど食べることを食べ過ぎというならば、それは当然ですけれど……
食べたくないのに食べるときも体調が悪くなります。たとえば、眠いけどやらなきゃならないことがあるから、コーヒーを飲んでカフェインを摂る……みたいな場合ですね。眠いときには眠るのが一番。それ以外に対策はありません。
よく考えてみると食べたくないんだけど、口寂しいから食べる……みたいな行動も、体調が悪くなる原因となります。口寂しいときには炭酸水を飲むのがいい感じです。最近は麦茶もよく飲みます。
おやつには素焼きのミックスナッツをよく食べます。たまにおせんべいも食べます。ケーキのような甘いお菓子はほとんど食べません。ここ一年間で食べたケーキは、一口か二口くらいでしょうか。
発酵食品はよく食べます。納豆・キムチ・豆腐・チーズ・ヨーグルト・漬物……などですね。特にヨーグルトは毎日食べています。
野菜はたくさん食べます。野菜を食べすぎて体調が悪くなったことはありません。毎晩のようにサラダを食べます。私はここ数ヶ月で夕食のサラダ作成担当になりました。レタス、アボカド、ブロッコリー、たまねぎ、きゅうり、トマト、にんじん……たっぷり食べます。マヨネーズは使わず、オリーブオイルとバルサミコ酢がメインです。
炭水化物はあまり食べません。今日はご飯を食べようかな、みたいな感覚です。ただし、ミューズリーはよく食べます。お腹の調子が良くなります。
……と、書いているうちにお腹が減ってきました。
そんなところです。ご質問ありがとうございました。