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Vol.113 結城浩/再発見の発想法/note(ノート)5月の売上/言葉について思うこと/Q&A/
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Vol.113 結城浩/再発見の発想法/note(ノート)5月の売上/言葉について思うこと/Q&A/

2014-05-27 07:00
    Vol.113 結城浩/再発見の発想法/note(ノート)5月の売上/言葉について思うこと/Q&A/

    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2014年5月27日 Vol.113

    はじめに

    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。 いかがお過ごしですか?

     * * *

    本を書く話。

    この結城メルマガではずっと『数学文章作法 推敲編』を連載してきました。 いちおうすべての章はPDFにして読者さんに配送し終え、 現在は、書籍にするために全体をまとめていく作業を行おうとしています。

    まずは序文からじっくり読み進めて、気になるところに印を付けていく作業です。

    今回の本は「推敲編」ですから、現在結城がやっている作業がそのまま、 この本の内容と呼応していることになりますね。 いいかえると、この『数学文章作法 推敲編』を書籍にするためにやっている作業を、 自分でよく観察して書籍の中に反映させることができるというわけです。

    ああ、なんとややこしいメタな構造!

    ところで、各章を結城メルマガで配送したときには、 読者さんに読んでもらうわけなので、きちんと「まとまり」を付けています。 しかし、これを書籍化するためには、 いったんその「まとまり」を壊さなければいけません。

    といっても全体を壊すわけではありません。 固く結んだ結び目を少しほぐして、別の章とうまく絡め、関連づけるという意味です。 そのようにしないと、一冊の本なのに、 各章がぜんぶ自己主張ばかりしてバラバラな印象を読者に与えてしまうからです。

    各章は確かにバラバラの時間に書いたのですが、 それをそのまま提示するのは不親切です。 あちこちの出っ張りやへこみを直し、 あたかも初めから一気に書いたかのように、整える作業が必要です。

    そして、それは「推敲」という作業の一部なのです。

    ……という話も加筆しようかな。

    ああ、なんとややこしいメタな構造!

     * * *

    子供の話。

    先日、中学生になる息子(次男)と数学トークをしていました。 話題はxの絶対値、つまり|x|についてです。

    xの値の範囲で場合分けをして|x|の絶対値記号| |を外すというのは、 中学校で出てくる数学で、多くの人がひっかかるポイントです。

    結城が書いた『数学ガール』第一巻でも、 登場人物のテトラちゃんと「僕」が絶対値についての対話をするシーンが登場します。

    結論からいえば、|x|はx≧0の場合とx < 0の場合で「場合分け」をします。 次のようになります。

     x≧0のとき、|x| = x
     x<0のとき、|x| = -x

    このうち、非常に多くの人が、

     x<0のとき、|x| = -x

    で疑問に思います。

     あれ?絶対値ってマイナスになることはないよね?
     どうして、|x| = -x ってマイナスがつくの?

    という疑問を抱くのです。

    『数学ガール』のテトラちゃんもその疑問を抱き、 「僕」は、x = -3の場合を例にして説明します。

     |-3| = 3

    になるためには、|x| = -x にならないとまずいでしょう。 だって、もしも|x| = xだとしたら、

     |-3| = -3 (←おかしい)

    ということになってしまう。でも|x| = -xとするなら、

     |-3| = -(-3) = 3 (←正しい)

    として、正しい結果になる…というふうに。

    今回、息子はテトラちゃんと同じような疑問を抱き、 結城は「僕」と同じように x = -3 を使って説明しました。 すると、息子はテトラちゃんと同じように考えて納得しました。

    何だか、結城と息子が二人でいっしょに『数学ガール』の世界に 入り込んだような気持ちになりました。 数学を題材にして子供と話すのはとても楽しい時間ですね。

     * * *

    CodeIQの話。

    今回結城がCodeIQで出題したアルゴリズムの問題《チケットゴブル問題》は、 無事に終了しました。今回の挑戦者数は334人。挑戦者のみなさんに感謝です。 結城はこれまでCodeIQで17問出題し、挑戦者数はのべ3,285人にも上りました。 けっこうな人数ですね…みなさんありがとうございます。

    今回のチケットゴブル問題は比較的やさしかったのか、 正解者は非常に多くなりました。正答率は約69%ほど。

    出題者としては、実は毎回「解答の形式ミス」が悩みの種です。 内容的には解けているのだけれど形式ミスしている解答をどう扱うか。 毎回解答者が誤解しないように注意事項を書き、 解答例も提示しているのですが、解答者の形式ミスはゼロにはなりません。

    今回はたくさんの国名を答える問題だったのですが、 その国名を「アルファベット順にソートする」という指示を見逃した解答者が たいへん多くなってしまいました。

    採点では形式ミスは評価1(最低評価)にするとしてあり、 実際にその通り厳しく採点しました。 しかし、指示を見逃す解答者が多かったというのは、 出題者である結城の指示の仕方が悪いという証拠でもあります。 何とか改善しなくてはと思っています。

    結城はもともと「引っ掛け問題」は良くないと思っており、 あまり本質的でないところで問題を複雑にしたくはないと考えています。 しかし、多数の解答者がいるので、 採点ミスを防ぐためにもできるだけプログラムで採点を行いたい。 その案配は意外に難しい。

    「ソートされていない解答も正解にする」という方法もある。 しかし、今度は「国名の区切りをスペースにせよ」という指示に対して、 「コンマ区切り」で解答する解答者もいる。これは救済すべきかどうか。 中には「コンマとスペース区切り」で解答する人もいる。どこまで救済すべきか。

    妥当な線引きはなかなか難しい…と悩んでいるのです。

    その一方で「プログラマは形式に敏感であるべき」という気持ちもあります。 つまり、指示された形式を守ることに関して、 非プログラマよりも厳密であるべきではないかという意味です。

    出題する側として結城は、 数百人のプログラマ(形式を鋭く見抜く人たち)に見せる問題文を かなりの緊張感を持って書いています。 誤読されないように、あいまいさが生じないように、 突っ込まれないように……ということですね。

    形式をうるさくいうのは、それほど悪くもないのでは…とも思っています。

     * * *

    パズルの話。

    先日、2048というゲームの話をしました。 結城はこのゲームをかなりやりこんでしまい、 (ありがたいことに)だいぶ飽きてきました。

    最近はEscapologyというパズルゲームをiPhoneでやっています。 こちらは2048と違って連続的な時間を取られないところがいいですね。

     ◆Escapologyの一シーン

    2014-05-27_game.jpg

    画面をスワイプすると、障害物がない限り、丸いボールがまとめてシフトします。 目的は画面上斜線になっているマス目にボールをすべて乗せること。 Escapologyは、大昔に流行った「倉庫番」とちょっと趣が似ているかもしれません。

    これは「めちゃめちゃハマる」という類いのゲームではありませんし、 続けてがんばって解けるものでもないので、 ちょっとした気分転換にとてもいい感じです(仕事の妨げにもならないし!)。

    何日も解けなかった難しいステージが、 ある日、一発で解けることがよくあります。おもしろいですね。 きっと日を改めると「まったく別の発想」がわくのでしょうね。

    ちょっと古風で寡黙な画面も好みです。

     ◆Escapology - iTunes
     https://itunes.apple.com/jp/app/escapology/id467264067?mt=8

     * * *

    そんなところでそろそろ、結城メルマガを始めましょう。

    今回は「再発見の発想法」のコーナーで「Scalability(スケーラビリティ)」というお話を お届けいたします。PDFをダウンロードしてお読みください。 それから、Q&Aのコーナーでは、 先日「ライトなラノベコンテスト」で最優秀賞を受賞した、 倉下忠憲さんからの質問にお答えしました。

    それではどうぞ!

    目次

    • はじめに
    • 再発見の発想法 - Scalability(スケーラビリティ)
    • note(ノート)5月の売上
    • 言葉について思うこと
    • Q&A - 最初の「続編」に取りかかったときの気持ちは?
    • おわりに
     
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