結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2016年2月16日 Vol.203
はじめに
おはようございます。
いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
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PDF版『数学ガールの秘密ノート/式とグラフ』の話。
このたび、『数学ガールの秘密ノート/式とグラフ』のPDF版が、 達人出版会から委託販売されることになりました。
◆『数学ガールの秘密ノート/式とグラフ』(達人出版会のサイト)
http://tatsu-zine.com/books/mathgirl-himitu-formula-graph
第1章がまるごと読める「サンプルPDF」 も上記サイトからダウンロードできます。 たとえば、お手持ちのタブレットやスマートフォンでの使用感を、 あなたご自身の目で確認することができますので、 ぜひご利用ください。またお知り合いにご紹介ください。
達人出版会でのPDF版は、いわゆる「ソーシャルDRM」という形になっています。 PDFの各ページに購入者のメールアドレスが記入されているだけであり、 特定のデバイスでなければ読めないという仕組みは入っていません。 これによって、購入した方は自分の好きなデバイスで自由に読むことができるのです。
現在は『数学ガールの秘密ノート/式とグラフ』だけですが、読者さんに好評なら、 結城の既刊書についてもPDF版での販売を進めたいと思っています。
以前より、たくさんの読者さんから「PDF版での販売を希望します」 という要望をいただいていました。各方面との調整を終え、 ようやく、達人出版会から販売開始できるようになりました。 結城はとてもうれしいです。 応援してくださる読者さんに感謝です!
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新刊の話。
春に刊行の『数学ガールの秘密ノート/場合の数』を書いています。 ちょうど一週間前に編集部に原稿テキストと図版をまとめて送りました。 脱稿です! 応援感謝!
いったん脱稿したことはしたのですが、 レビューアさんからの指摘事項の反映もまだ残っていますし、 これからどんどんブラッシュアップしていかなくてはなりません。 今週末には書籍のデザイン打ち合わせがあります。
◆『数学ガールの秘密ノート/場合の数』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797387114/hyam-22/
よい春を迎えられるように、 きっちり仕上げていきたいと思っています。
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SSL対応の話。
Let's Encryptという「自由にSSLのサーバ証明書を作るサービス」があります。 先日から結城はこのLet's Encryptというサービスを利用して、 自分の管理するサイトをいくつかSSL対応しました。 (たとえば「結城浩のブログ」など)。 それは先週の結城メルマガでもお話ししましたね。
◆結城浩のブログ
https://snap.textfile.org/
ところで、SSL対応のサイトといっても、URLが https で始まるくらいで、 何かが目立って変化するわけではありませんし、 証明書が壊れてでもいない限り、普通のユーザには何もわかりません。
世の中にはSSL対応のサイトを「チェック」してくれるサービスがいくつかあるので、 SSL対応のサイトを運営している人は、調べてみるのも一興です。 たとえば、現代では「SSLv3はオフ」にしておかなければなりませんが、 実際にオフになっているかどうかは、 意識してチェックしなければわからないものです。
そういうサービスは検索すれば見つかります。 たとえばこんなサービスです。
https://globalsign.ssllabs.com
ここにドメイン名を入れるといろんなチェックを行い、 最後にレポートを表示し、採点してくれます。 ただし、実行結果は良いものも悪いものも「掲示」されてしまうので、 自分の運営しているサイトをチェックする人は、 「Do not show the results on the boards」 のチェックボックスをオンにするのがいいでしょう。
「SSL対応」を謳っているサイトの中にも、 あまりメンテされておらず、低得点のものがたくさんある模様。
ちなみに「SSLって何?」「証明書って意味あるの?」という方は、 拙著をごらんください。
◆『暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス』
http://cr.textfile.org/
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基本情報を押さえる話。
一般論ですが、何かについて「良い」や「悪い」のように、 ざっくりとした評価を耳にすることがあります。 そんなときには「誰にとって?」や、 「どんな意味で?」と考えたいと思っています。
「誰」や「どんな意味」に限りません。 「いつ」「どこで」「なぜ」などを補って考えるということです。
・それは「誰にとって」良いのだろうか。
・それは「どんな意味で」悪いのだろうか。
・その評価は「いつ」の話だろうか。
・「どこで」その評価が下されたのだろうか。
・「なぜ」それを良いというのだろうか。
考えてみますと、これは文章を書くときの5W1Hに似ています。5W1Hというのは、
・誰が(who)
・いつ(when)
・どこで(where)
・何を(what)
・なぜ(why)
・どのように(how)
の頭文字を取ったものですね。 文章を書くときにこれらの要素をきちんと書きましょうという話ですが、 それは物事を明確にすることに役立ちます。
結城自身がよく体験すること。 家に帰って妻に「あのね、こんなニュースを見かけたよ」 と説明しようとしても、なかなかうまく説明できないのです。
ぼんやりした印象は残っています。 でも、人に伝えるために基本情報を補って話そうとすると、 自分がそれらの基本情報を押さえていないんだな…… そんな状況に気がつくということです。
その結果、妻に対して、
「どこの誰かは知らないし、
いつの話もわからないし、
そんなことを何のためにやったか、
どのようにやったかも知らないけど、
おもしろい発見があったんだよ」
のような、間抜けな説明をすることになってしまいます。
世間話ならそれでも笑い話ですむけれど、 自分がしっかり考えるべき話題では、 こうならないようにしなければ、ね。
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Apple Pencilの話。
大阪大学で理論物理を研究なさっている橋本幸士さん(@hashimotostring)が、 最近iPad Pro + Apple Pencilのツイートをなさっている。 たとえば、以下。
https://twitter.com/hashimotostring/status/697597174184615937
https://twitter.com/hashimotostring/status/695042770327572480
これがうらやましくてしょうがない。 結城もやってみたい(理論物理という意味ではなく、 iPad Pro + Apple Pencilで好きな計算するというワークスタイルのこと)。
デザイナーさんも、漫画家さんも、 Apple Pencilを使った人はみんな口を揃えて、 「これはいい。これまでとは違う」というんですよね。
結城もApple Storeに行って実際に使ってみて、 「うん、確かにいいかも!」と思うのですが、未だ注文するには至らず。 Apple StoreでiPad Proを見るたびに、 「これはちょっと大きすぎないか?」と思ってしまうのです。
結城はふだんタブレットとしてiPad miniを使っています。 これは手軽でいいのだけれど、こっちは逆に小さすぎる感じがする。 手書きで自由に計算する感覚は、紙の方がずっといい。
しかし、この橋本先生のツイートを見て「うわ、欲しいなあ」と購買欲が再燃。 思い切って、買っちゃう? 買ってみちゃう? とりあえず、リンクだけはしておこうかな。
◆iPad Pro
http://www.apple.com/jp/shop/buy-ipad/ipad-pro
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画像付きツイートの話。
OneShot for Screenshotsというアプリがあります。 簡単にいえば「スクリーンショットをツイートする」というアプリですね。
◆OneShot
https://itunes.apple.com/jp/app/oneshot-for-screenshots/id953724147
たとえば、先日のWeb連載のスクリーンショットを取って、 こんなツイートをしました。
◆sin x と cos x
https://twitter.com/hyuki/status/696246194557685760/
Webサイトをツイートで紹介するときでも、ちょっと画像があるといいですね。
iPhoneで「自分はこんなふうに読んでますよ」というアピールにもいいかも。 たとえば、以下のようなツイートです。
◆epubでも読めますよ
https://twitter.com/hyuki/status/696248828601589760/
スクリーンショットは、 「アイキャッチとしての画像」ではなく、 「自分が体験しているものを相手に体験させる画像」 考えることもできそうです。
つまり、読んでいる人に、
「ああ、そうか、こんなふうに見えるのか」
と「体験」させるのが目的ですね。 百聞は一見に如かずと言われる通り、 相手に「そのものを見せてしまう」 のは重要なことかもしれません。
ところで、このOneShotのようなアプリを使うと、 「自分専用のサービス」が欲しくなってきます。 以前、tweeter.hyuki.net という、 「自分がよく行う画像付きツイート」というサービスを作りましたが、 それをもっと手軽にしたようなものです。
「iPhoneでスクリーンショットを取り、 コメント付きでツイートする」というアクションを、 自分用に細かくカスタマイズできるようなサービス。 そのうち考えてみよう。
OneShotについては後ほどもうちょっと書きます。
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「うとい」話。
結城はnote(ノート)を使っています。
この結城メルマガの過去の記事をコーナーごとに個別販売したり、 あるいは結城浩ミニ文庫の個別販売所として使ったり。 「投げ銭」形式で読者さんから応援をいただいたりと楽しく使っています。
◆結城浩のnote(ノート)
http://www.hyuki.com/note/
ところでそのnote(ノート)というプラットホームが、 いわゆる「情報商材」の販売で話題になっていることを最近になって知りました。
詳しくは知らないのですが、ある有名なブロガーのnote(ノート)の使い方は、 note(ノート)の規約で禁止している「情報商材」にあたるのではないか、 といった話題があるようです。
いろんな方から、 「結城さん知らなかったんですか? あちこちで話題になってる有名な話ですよ」 と言われて、「へえ、そうだったんだ。私って《うとい》なあ」と思いました。 ただ、それと同時に「まあ、そんな話題は知らないくらいでちょうどいいか」 とも思ったりしています。
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私の大好きなおばあちゃんは、
「お金さえあれば幸せになると思っている人ほど、
お金によって不幸になるんだよ、覚えておきなさい」
って言ってた。
「お金がないから不幸になる」のではなく、 「お金さえあれば幸せになるのにな」という考えが不幸を呼び込むんだって。
あなたはどう思いますか。
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それでは、今週の結城メルマガを始めましょう。
どうぞ、ごゆっくりお読みください。
目次
- はじめに
- 再発見の発想法 - Scope(スコープ)
- 気軽に出題する数学の楽しみ
- 開発者向けの「命の話」
- ソーシャルDRM本の販売に関して思うこと - 本を書く心がけ
- おわりに