オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第178回 「有名な男の女」だった二人のウラガワ(1)
◆もくじ◆
・「有名な男の女」だった二人のウラガワ
・最近の志麻子さん
6月15日 角川ホラー文庫より『現代百物語 終焉』発売予定
夏に某大型映画に出演予定
河崎実監督映画に出演予定
TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中
「岩井志麻子のおんな欲」連載中
カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中
・著者プロフィール
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六月といえばジューンブライド。しかし世の中には、結婚相手のように深く長い付き合いにならなくても、一時だけの関係だった男に人生を大きく翻弄されてしまう女たちも居る。
名沢葉子も久島莉花(ともに仮名)も、そんな女たち。
タレントを名乗っている彼女たちはそれぞれ、岩井さんに会いたいと、共通の知人らを介して言ってくるのだが、岩井さんは避けている。
二人の共通項は、「有名な男の女」だったことだ。
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2014年11月~16年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
2017年1月「自分を重ねてしまう若者たちのウラガワ」
2月「冬に聞いた奇妙な怪談のウラガワ」
3月「春のさなかに聞いた怖い話のウラガワ」
4月「木の芽時な人達のウラガワ」
5月「五月だけどさわやかになれない人たちのウラガワ」
6月「面識なしでも喜怒哀楽を喚起する人々のウラガワ」
7月「ほんのり怖い人達のウラガワ」
8月「真夏なのに秋の予感な有名人たちのウラガワ」
9月「私が見たテレビの中の人のウラガワ」
10月「大人だけど枯れるには早い人たちのウラガワ」
11月「年下韓国人夫とのアジア旅のウラガワ」
12月「捨ててもいいじゃないかのウラガワ」
2018年1月「命や生きることについて考えたウラガワ」
2月「人はなかなか変わらないのウラガワ」
3月「きれいに卒業できない女たちのウラガワ」
4月「新たな出会いの不気味なウラガワ」
5月「良い季節でも人は病むウラガワ」
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2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ/ソウルの新愛人のウラガワ/風俗嬢の順位競争のウラガワ/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ/「大人の夏休みの日記」なウラガワ/その道のプロな男たちのウラガワ
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六月といえばまずは梅雨の季節だけれど、ジューンブライドなる言葉も有名だ。
六月の結婚は、幸せになれる。それは六月の英語名ジューンの由来となった、ギリシャ神話ジュピターの妻ジュノーが結婚の守護神だから。
私もこの言い伝えなど知ってはいたが、だから六月に挙式とはならなかった。最初のも、二度目のも。そもそもこの逸話には、疑問を持つ人も多い。キリスト教圏で、異教の神々の物語がそこまで強い影響をもたらすか、というのだ。
伝説の真偽のほどはさておき、現実には六月に結婚しても離婚はするし、他の月に結婚しても末永く続く。今月は、正式な結婚をした夫や子どもまで成した男より、いわゆる愛人として付き合った男、一夜だけの男に運命やら人生やらを翻弄された女達を書く。
例によって全編に渡って登場人物はみな仮名、背景などにも少々の手を加えている。
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私は名沢葉子とも久島莉花とも面識はないけれど、共通の知り合いがけっこういる。そして二人とも私に会いたいと、その共通の知人らを介していってくるけれど、ピシャリと断るのではなく、のらりくらりと逃げ回っていた。
どちらも、嫌いではない。どちらも、会えばおもしろいだろうと思う。どちらにも興味がなくはない。しかし、どちらも……苦手なタイプだ。
私の中では葉子と莉花を同じ箱に入れているというか、同じファイルに分類している。私だけでなく、両者を知る人はそうしてしまう。二人はいろいろ、共通項が多い。
しかし当人達は、絶対にあの女とは一緒にしてほしくない、なんであれと同じに扱うの、と怒るだろう。葉子と莉花は互いに存在を知っているはずだが、二人が親しくなろうとはしない。どちらにとっても、相手に利用価値がないからだ。
どちらも三十代だが葉子は後半、莉花は前半。私から見ればどちらもまだまだ若いけれど、ある分野においてはオバサン扱いであり、ある世界を目指すには遅すぎる。
なのに二人とも、その分野での活躍を望み、その世界での成功を夢見ているのだ。
今のところ莉花が一歩、いや、三歩~十歩はリードしている。とはいえ冷酷にではなく冷静に見て、莉花は今いるところで止まるだろう。そこが頂点、そこから先はない。そして葉子が、莉花の今の立ち位置を抜いていくこともない。
二人は、タレントになりたくてたまらない。いや、すでにタレントを名乗っている。
その年齢で、新人として大手の事務所にスカウトされたり、オーディションで優勝したりはありえない。さすがにそういった現実は、二人ともわかっている。