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第221回 怖さひかえめな怖い話のウラガワ(2)
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第221回 怖さひかえめな怖い話のウラガワ(2)

2019-08-31 21:00

    オンナのウラガワ ~名器大作戦~
    第221回 怖さひかえめな怖い話のウラガワ(2)

    ◆もくじ◆

    ・怖さひかえめな怖い話のウラガワ(2)

    ・最近の志麻子さん 
     『小説 エコエコアザラク』が発売
     角川ホラー文庫より『忌まわ昔』発売中
     TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中
     「岩井志麻子のおんな欲」連載中
     カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
     MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中

    ・著者プロフィール

    ===

    体に優しいくらい(?)の怖い話をお届けしている今月。
    前回からの続きです!
    企画業を自称する小見くん(仮名)と沖縄で出会ってから連絡をとっているが、違和感がぬぐい切れない岩井さん。
    東京で再会したものの、待ち合わせの時間からは大幅に遅れて来て……。

    バックナンバーはこちらから↓
    http://ch.nicovideo.jp/iwaishimako/blomaga

    2014年11月~17年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
    2018年1月「命や生きることについて考えたウラガワ
    2月「人はなかなか変わらないのウラガワ
    3月「きれいに卒業できない女たちのウラガワ
    4月「新たな出会いの不気味なウラガワ
    5月「良い季節でも人は病むウラガワ
    6月「『有名な男の女』だった二人のウラガワ
    7月「怪談の季節! ゾッとする実話なウラガワ
    8月「嘘と本当のあわいの怖い話のウラガワ
    9月「大人になりきれない人達のウラガワ
    10月「ベトナム旅行チン道中のウラガワ
    11月「しみじみしんみりな出来事のウラガワ
    12月「来年まで引きずりそうなアノ人のウラガワ
    2019年1月「去年に縁があったあれこれのウラガワ
    2月「台湾で初めて会った人たちのウラガワ
    3月「胸に引っかかる人を思う春のウラガワ
    4月「こういう人いるよねという出会いのウラガワ
    5月「働くということについて考えたウラガワ
    6月「私なりのプロファイリングをしてみたウラガワ
    7月「芸事業界の人たちの願いごとのウラガワ


    ※2014年10月以前のバックナンバーをご購入希望の方は、本メルマガ下部記載の担当者までお知らせください。リストは下記です。

    2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
    2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ​/ソウルの新愛人のウラガワ​/風俗嬢の順位競争のウラガワ​/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ​/「大人の夏休みの日記」なウラガワ​/その道のプロな男たちのウラガワ​

    ===

     八月なので体を冷やしすぎない、弱に調節したくらい、冷房ではなく送風程度のちょっとだけ怖い話、そんなのを書こうと思い立った。

     前回のあらすじを、簡単に記しておく。週刊誌記者の畑上さんに紹介された、イベント企画業を自称する小見くん。
     彼は一見すると陽気だが、双子の兄を自殺で失っているという。
     そんな彼と親しくなるが、次第に私は妙な違和感を覚えるようになっていった。
     あるとき、親しいマスターのいる店で待ち合わせをしたのだが、二時間も遅刻をしておいて一言も謝らず、へらへらする態度に不信感は決定的となる。
     その店から私が帰った後、小見くんの元に現れた男は、マスターの証言によると亡くなったはずの兄としか思えないのだった。

                        ※

     畑上さんは長い付き合いなので、仕事の話がなくても一杯やろうよ、といったら出てきてくれる。そもそもこの畑上さんが、小見くんを紹介してくれたのだ。

     一連のことをかいつまんで話すと、畑上さんは苦笑して手を合わせた。
    「すみません。あんなの紹介してしまって。言い訳がましいですが、私も正直、そんなに小見くんとは親しくもないし、人となりもよくわからないんですよ」

     畑上さんによると、七、八年前に週刊誌のグラビアページの仕事で沖縄に行き、終わった後の打ちあげで現地のガイドやスタッフ達と入った店に、小見くんがいたという。

    「誰かの友達、だったと思うんですが、はっきりしません。なんかいつのまにか紛れ込んでて、スタッフの一員みたいな顔してました」
     そこで彼に話しかけられ、畑上さんは名刺を渡してしまった。
    「自分でいうのもなんですが、まぁ全国的に知られた週刊誌ですからね、うちは。こりゃ利用価値がある、と踏んだんでしょう」

     別に害もないし、陽気でおもしろい。だからまた仕事で沖縄に行くとなったとき、よかったら来ますかと誘ってしまった、というのだ。

    「しかしあの小見さん、考えてみたら一度も一緒に仕事ってしてないですわ。いろいろうちの編集部にも企画を持ってきてくれるし、何かできることがあれば手伝いますよ、なんていってくるんだけど、それだけ。具体的には何もならない」

     そのように、畑上さんがいったとき。それだ、私はひざを叩いていた。
    「畑上さん、私もですよ。なんかもやもやもしていたことの一つが、今ここで晴れました。そうだそうだ、小見くんってあれやりましょう、これしましょう、としょっちゅういってくるけど、何一つ具体化しないんだわ」

     そういえば、小見くんと出会ってからの仕事の話がまったく具体化しないだけでなく、今まで彼がどんな仕事をしてきたのか、というのもはっきりしない。

     畑上さんによると、ネットで検索しても小見くんの仕事というのは出てこないそうだ。
    「小見くんにいわせると、仕事の場では全然違う名前を使っているとか。そっちの名前はなんなの、と聞いてもごまかす」

     たまたま先日、テレビ番組で沖縄出身のバンドマンに会ったが、もちろん小見くんのことなどまったく知らなかった。私は冗談めかして、沖縄時間というのは本当にあるのかと聞いたみたら、ちょっと悲しそうな顔をされた。

     
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