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第220回 怖さひかえめな怖い話のウラガワ(1)
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第220回 怖さひかえめな怖い話のウラガワ(1)

2019-08-31 20:00

    オンナのウラガワ ~名器大作戦~
    第220回 怖さひかえめな怖い話のウラガワ(1)

    ◆もくじ◆

    ・怖さひかえめな怖い話のウラガワ(1)

    ・最近の志麻子さん 
     『小説 エコエコアザラク』が発売
     角川ホラー文庫より『忌まわ昔』発売中
     TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中
     「岩井志麻子のおんな欲」連載中
     カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
     MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中

    ・著者プロフィール

    ===

    怪談の季節の夏ですが、昨今は省エネも大事・冷やし過ぎは良くないということで(?)ちょっと怖さひかえめ、体に優しいくらいの怖い話をお届け。
    一回り程年下の小見くん(仮名)と初めて出会ったのは沖縄だった。彼は、自殺してしまった双子の兄貴のことを語っていた。数か月後、東京で再会することになったのだが……。

    バックナンバーはこちらから↓
    http://ch.nicovideo.jp/iwaishimako/blomaga

    2014年11月~17年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
    2018年1月「命や生きることについて考えたウラガワ
    2月「人はなかなか変わらないのウラガワ
    3月「きれいに卒業できない女たちのウラガワ
    4月「新たな出会いの不気味なウラガワ
    5月「良い季節でも人は病むウラガワ
    6月「『有名な男の女』だった二人のウラガワ
    7月「怪談の季節! ゾッとする実話なウラガワ
    8月「嘘と本当のあわいの怖い話のウラガワ
    9月「大人になりきれない人達のウラガワ
    10月「ベトナム旅行チン道中のウラガワ
    11月「しみじみしんみりな出来事のウラガワ
    12月「来年まで引きずりそうなアノ人のウラガワ
    2019年1月「去年に縁があったあれこれのウラガワ
    2月「台湾で初めて会った人たちのウラガワ
    3月「胸に引っかかる人を思う春のウラガワ
    4月「こういう人いるよねという出会いのウラガワ
    5月「働くということについて考えたウラガワ
    6月「私なりのプロファイリングをしてみたウラガワ
    7月「芸事業界の人たちの願いごとのウラガワ


    ※2014年10月以前のバックナンバーをご購入希望の方は、本メルマガ下部記載の担当者までお知らせください。リストは下記です。

    2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
    2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ​/ソウルの新愛人のウラガワ​/風俗嬢の順位競争のウラガワ​/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ​/「大人の夏休みの日記」なウラガワ​/その道のプロな男たちのウラガワ​

    ===

     怖い話で背筋を冷やしたい、ということで夏が幽霊話のシーズンとなったのだけれど。
     今はたいてい、どこもエアコン完備、そもそも怪奇現象は、季節を問わずに起こる。
     でもやっぱり、八月になると怪談の季節だなぁ、と思ってしまう。なので今月は、怖い
    話を書こうと思う。

     ただ昨今は、冷やしすぎは体に良くないと考える人も増え、省エネも大事というのが強調されている。歳を重ねていく私としても、弱に調節してもらった方が心地よい。強にして寝ると、幽霊より風邪が怖い。

     そんなわけで今月は、そこまで怖くない、体に優しい?送風のような怖い話をお送りする。例によって全編に渡り、登場人物はすべて仮名にし、職業その他の背景などにも適度な変更と脚色を加えているのを最初にお断りしておく。

                        ※

     一回りほど年下の小見くんと初めて会ったのは、週刊誌の仕事で行った沖縄だった。
     彼は、その週刊誌のベテラン女性記者である畑上さんが現地の知り合いとして連れてきた。顔も体も丸っこく、いかにも南国の人らしい陽気さですぐ打ち解けられた。

     小見くんはイベントのコーディネーター、プロデューサーの肩書で、お堅い公的な講演会から若者に人気のバンドのライブまで、幅広く手がけているとのことだった。

     そのときは彼に仕事は頼んでおらず、今後よろしくと畑上さんに引き合わされ、軽く飲んだだけだった。いろいろな話をしたが、特に印象に残ったのが、
    「実はぼく、双子の兄貴がいたんですよ。途中までは兄貴の方が優等生だったのに、大学生の頃ギャンブルとクスリにハマッて、彼女にも振られて自殺しちゃったんです」
     という話だった。こんな陽気な彼にそんなつらく暗い過去があったなんて、と驚いた。

    「子どもの頃は、親でさえ間違えるほどそっくりだったのに。兄貴はおかしくなってからはガリガリに痩せて頬もこけて目だけギョロギョロして、まったく別人みたいな外見になってました。兄弟といったらびっくりされるようになったなぁ」

     それから小見くんとはラインのやり取りなどするようにもなり、今度は夫と遊びで沖縄に行ったとき、三人で沖縄そば食べて沖縄ビール飲んで、でもそのときはお兄さんの話はしなかったと思う。

    「もうすぐ新刊、出るんでしょ。ぼくの仕切りで志麻子さんのサイン会とファンの集い、やりましょうよ。会場はどこでもすぐ、いいとこ押さえられるから」
     といった、仕事の話もした。それから何か月か経って、小見くんが仕事で東京に来るといってきたので、初めて二人きりで会った。

     そのとき、彼を紹介してくれた週刊誌記者の畑上さんにも連絡し、三人で会おうと誘ったら。先約があると、断られてしまった。

     畑上さんは、苦笑しながらもこう付け足した。

     
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