オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第222回 怖さひかえめな怖い話のウラガワ(3)
◆もくじ◆
・怖さひかえめな怖い話のウラガワ(3)
・最近の志麻子さん
『小説 エコエコアザラク』が発売
角川ホラー文庫より『忌まわ昔』発売中
TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中
「岩井志麻子のおんな欲」連載中
カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中
・著者プロフィール
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今月は「怖さひかえめ」な話をお届け。
一発屋とも大御所とも称されている宮谷(仮名)は、いまは車椅子生活だ。
妻子とは別居し、ネットで好みの女性を探す日々のなか、桃子(仮名)という女性がコンタクトしてきた。宮谷は桃子に骨抜きにされてしまうのだが……。
「怖さひかえめ」と言いつつ、けっこう恐ろしいエピソードです!
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2014年11月~17年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
2018年1月「命や生きることについて考えたウラガワ」
2月「人はなかなか変わらないのウラガワ」
3月「きれいに卒業できない女たちのウラガワ」
4月「新たな出会いの不気味なウラガワ」
5月「良い季節でも人は病むウラガワ」
6月「『有名な男の女』だった二人のウラガワ」
7月「怪談の季節! ゾッとする実話なウラガワ」
8月「嘘と本当のあわいの怖い話のウラガワ」
9月「大人になりきれない人達のウラガワ」
10月「ベトナム旅行チン道中のウラガワ」
11月「しみじみしんみりな出来事のウラガワ」
12月「来年まで引きずりそうなアノ人のウラガワ」
2019年1月「去年に縁があったあれこれのウラガワ」
2月「台湾で初めて会った人たちのウラガワ」
3月「胸に引っかかる人を思う春のウラガワ」
4月「こういう人いるよねという出会いのウラガワ」
5月「働くということについて考えたウラガワ」
6月「私なりのプロファイリングをしてみたウラガワ」
7月「芸事業界の人たちの願いごとのウラガワ」
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2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ/ソウルの新愛人のウラガワ/風俗嬢の順位競争のウラガワ/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ/「大人の夏休みの日記」なウラガワ/その道のプロな男たちのウラガワ
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八月といえば怪談なのは、冷房のなかった時代は怪談もれっきとした冷房装置だったからだ。けれど昨今の我が国は、冷房は弱に調節しましょう、となっている。
あまりな熱帯夜は仕方ないとして、確かに弱にしておく方が体にもいいし、電力の節約にもなる。というわけで今月は、背筋が凍るような怖い話ではなく、ふわっと風が来る程度の怖い話を書いている。
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宮谷市竹は今、一発屋とも大御所とも称されている。
もう三十年くらい昔になるが、宮谷はあるバンドのメンバーだった。そのバンドが歌った曲が、当時の人気ドラマの主題歌となって大ヒットした。
大ヒットしたのはその一曲だけだったが、そこそこのヒット曲もいくつかあり、会場の規模は次第に小さくなっていっても地道にライブ活動も続け、根強いファンもいた。
宮谷は地味なパートを担当していたのでバンドの知名度の割に顔はあまり知られてなかったが、大ヒット曲の作詞作曲は彼だったので、いまだにカラオケなどの印税がけっこう入ってくる。バンドが解散しても、彼は生活には困らなかった。
全盛期に結婚した、元アイドルの妻との間には子どももでき、ソロ活動もまずまず軌道に乗り、このまま芸能界も私生活も安泰と思われたのに。
旅行先の外国の海で溺れ、一時は心肺停止状態になる。命は助かったが、後遺症で車椅子生活になった。つまり、ミュージシャンとして舞台に立つのは困難になった。
ままならぬ体へのいら立ちで、些細なことで激昂し、周りの人に当たり散らした。医療関係者、ヘルパーはプロだから黙々と世話をしてくれるが、妻子とは別居になった。
寂しさから、毎晩のように風俗の女性を呼ぶようになった。しかし、お金だけの関係は彼は虚しかった。だから、暇さえあればネットを見て好みの女性を探した。
芸能人から一般女性まで、目についた好みの女性に片っ端からメールを送り、コメントを入れる。ただ彼の場合、いつまでも大スター気分、イケてるバンドマンのつもりでいるが、平成生まれの女性は彼を知らない。
「ヘイ、ハニー。キミのボイン、いかしてるぜ。俺とランデブーしないか」
なにこの気持ち悪いオジサン。ほぼ瞬殺。無言で一発ブロックだ。
だが宮谷は、妻が勝手にスマホをいじり、侵入し、アカウントを乗っ取り、わざと彼女らに嫌われるようなことをして妨害しているんだと解釈していた。
そんなある日、桃子と名乗る女性からダイレクトメッセージが来る。