オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第276回 いつの間にか入り込む怖いもののウラガワ(3)
◆もくじ◆
・いつの間にか入り込む怖いもののウラガワ(3)
・最近の志麻子さん
【配信版】月刊オメ★コボシ 3/19(金)開催
2/25発売『再生 角川ホラー文庫ベストセレクション』に作品収録
映画『遊星王子2021』に出演
TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中
「岩井志麻子のおんな欲」連載中
カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中
・著者プロフィール
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いつの間にか入り込んできていた怖いもの。
これまた飲み屋で聞いた、キャバ嬢をしながらネイルアートの勉強をしているサーヤちゃんのお話。
サーヤちゃんには、自分とは正反対の真面目な姉がいるという。
子どものころは仲良しだったが、だんだん険悪な関係になり、疎遠になっていた。
両親は離婚していたが、父がコロナになってしまう。
入院はしたもののその後陰性になり自宅に戻れたが、妙なことをいうようになって……。
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2020年1月「愛しい南国の怖い話のウラガワ」
2月「ひきつづき東南アジアの怖い話のウラガワ」
3月「どこか心残りの別れのウラガワ」
4月「未経験な世の中のあれこれのウラガワ」
5月「「あの人実は」「あの人やっぱり」のウラガワ」
6月「アマビエ的なものや人のウラガワ」
7月「怖い話をエンタメとして楽しみたいウラガワ」
8月「どこか楽しめる怖い話のウラガワ」
9月「エンタメとして味わいたい人の怖さのウラガワ」
10月「いい大人なのに未経験のウラガワ」
11月「まだ猶予があるのかもという気分のウラガワ」
12月「私なりに引っかかる物事のウラガワ」
2021年1月「ゆるく共存していくことを考えさせられるウラガワ」
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新しい月に入ると、去年の今頃はどうだったかな、と振り返ってしまう。去年の二月はまだ、新型肺炎はさほど話題になってなかった。とうに、感染者も出ていたのに。
ニュースも、まだ他人事だった。あの頃は幸せだった、と何でもない日々を思い返すと、確実に忍び寄っていたものの恐ろしさに震える。しかしウィルス以外にも、そうやっていつの間にか入り込んでいた怖いものはある、というのを今月は書いてきた。
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前回の話の続きではないが、これまた前回出てきた行きつけの飲み屋Eで知り合った人に聞いた話だ。キャバ嬢をしながらネイルアートの勉強をしているノリのいいサーヤちゃんは、自分とは正反対の真面目な姉がいるという。
「姉は国立大学を出ていいとこに就職したんですが、一年で辞めて看護師の専門学校に入り直したんです。どうも会社勤めしていた頃、失恋したみたいで。
私と違って男に免疫なくて真面目っ子だった姉は、よっぽどそれがこたえたみたい。たぶん看護学校も、女一人で生きていける資格を取ろうと決めたからじゃないかな」
子どもの頃は仲良し姉妹だったのに、サーヤちゃんが中学の終わり頃からちょいワルくなって、険悪な関係になっていったそうだ。
「姉が私を一方的に嫌って、口きいてくれなくなったんです。ちょうどその頃、親も離婚して、私達は母の方に引き取られました。母もしっかり者で、経済力ありますし。
そもそも離婚は父の浮気が原因で、姉は父のこともすっごい軽蔑するようになって、父とも絶縁。だけど私はもともと父親似のパパっ子だったんで、こっそり父にも会いに行ってました。それがバレて、ますます姉は父と私が許せなくなったみたい」
ともあれ姉は専門学校に入ると同時に家を出て、一人暮らしを始めた。サーヤちゃんは高校を出てフリーターしながら遊んでいたが、母も彼氏ができて娘達にあまり干渉しなくなった。姉は、だんだん母とも疎遠になっていった。
父は離婚の原因となった女とも別れたものの、相変わらずのようだった。
「でもって父が、コロナに感染しちゃったんですよねー。けっこう重症化して入院して、能天気な父もすっかり弱気になってたんですが。
どうにか陰性になったから自宅に戻れた、でもまだ本調子じゃなくて、足元がふらつく、なんて泣き言いうんでお見舞いに行ったんです。もちろん母には内緒で」
そしてサーヤちゃんのお父様は、妙なことをいい出した。