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第275回 いつの間にか入り込む怖いもののウラガワ(2)
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第275回 いつの間にか入り込む怖いもののウラガワ(2)

2021-02-28 20:30

    オンナのウラガワ ~名器大作戦~
    第275回 いつの間にか入り込む怖いもののウラガワ(2)

    ◆もくじ◆

    ・いつの間にか入り込む怖いもののウラガワ(2)

    ・最近の志麻子さん 
     【配信版】月刊オメ★コボシ 3/19(金)開催
     2/25発売『再生 角川ホラー文庫ベストセレクション』に作品収録
     映画『遊星王子2021』に出演
     TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中

     「岩井志麻子のおんな欲」連載中
     カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
     MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中

    ・著者プロフィール

    ===

    感染症のウイルスに限らず、いつのまにかこっそりと内に入りこんできている怖いもの。

    飲み屋であったヤスオさんが話してくれた、カオリという女のエピソード。
    物静かでおっとり、いつもニコニコしているという彼女だが、話を聞いていくととても恐ろしい女だった。
    カオリが住む都内のマンション、隣の部屋には水商売の母子家庭が入居していた。
    その家の幼稚園児くらいの女の子を、ある日カオリが面倒を見てあげたところ、すっかりなついたのだが、のちにその子が語ったのは……。

     

    バックナンバーはこちらから↓
    http://ch.nicovideo.jp/iwaishimako/blomaga

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    2020年1月「愛しい南国の怖い話のウラガワ
    2月「ひきつづき東南アジアの怖い話のウラガワ
    3月「どこか心残りの別れのウラガワ
    4月「未経験な世の中のあれこれのウラガワ
    5月「「あの人実は」「あの人やっぱり」のウラガワ
    6月「アマビエ的なものや人のウラガワ
    7月「怖い話をエンタメとして楽しみたいウラガワ
    8月「どこか楽しめる怖い話のウラガワ
    9月「エンタメとして味わいたい人の怖さのウラガワ
    10月「いい大人なのに未経験のウラガワ
    11月「まだ猶予があるのかもという気分のウラガワ
    12月「私なりに引っかかる物事のウラガワ
    2021年1月「ゆるく共存していくことを考えさせられるウラガワ


    ※2014年10月以前のバックナンバーをご購入希望の方は、本メルマガ下部記載の担当者までお知らせください。リストは下記です。

    2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
    2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ​/ソウルの新愛人のウラガワ​/風俗嬢の順位競争のウラガワ​/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ​/「大人の夏休みの日記」なウラガワ​/その道のプロな男たちのウラガワ​

    ===

     二月といえば、福は内~、鬼は外~の節分だ。しかし今年は、鬼よりコロナウイルスに豆をぶつけたくなった。あいつは家の中に入ってきたら本当に怖いが、外に追い出しても油断ならぬ奴だ。そもそも、目に見えない。

     しかし新型肺炎でなくても、いつの間にかこっそりと内に入りこんできていた怖いものはいろいろある。というのを、今月は書いておく。

                        ※

     行きつけの飲み屋の一つであるEには、いろいろとおもしろいお客様がやってきて、興味深い話を聞かせてくれる。

     その夜、初めて会った自称・普通の会社員ヤスオさんが、こんな話をしてくれた。

    「その女、カオリっていうんだけど。背も小さくて痩せてて童顔で、美人ってほどじゃないけど可愛い感じでね。
     物静かでおっとり、いつもニコニコして、誰からも好感と安心感を持たれるタイプ。悪くいえば、いじられやすい、舐めてかかられるっていうか」

     わりと裕福な家の子で、そこそこの会社のOLであるカオリは、三十路の半ばだがまだ独身。いい寄ってくる男、付き合う男は途切れない。
     誘われれば気軽に誰にでもついていくが、自分からはあまり積極的に近づかない。

    「でも、誰とも長く続かない。いろんな人が来ては離れ、離れてはまた次の人が来る」

     カオリが住むのは都内の中級マンションで、隣には水商売の母子家庭が入っていた。

    「ホステスしている、まだ若いギャルっぽいママのとこには、幼稚園児くらいの女の子がいて、しょっちゅう放置されてた。
     ママは仕事柄もあるけど、夕方から明け方まで家を空けて、その間は娘を独りぼっちにして部屋に閉じ込めてた。託児所やシッターは、金がかかるって。
     あと、例によって、といっていいのか。彼氏がいて、しょっちゅうそいつんとこに泊まりに行く。彼氏ってのもよく入れ替わってて、でも全員がろくでなし。
     その間も、女の子は閉じ込められてた。コンビニのパンとジュースだけ放られて」

     近所の人も、心配して管理人に相談したり、こっそり児童相談所や警察に通報していたものの、ママは逆ギレするだけ。

     ある夜、たまたまママが鍵をかけ忘れていたようで、その子が廊下をウロウロしていた。それをカオリが見つけ、自分の家に入れてやった。
     おにぎり作ってあげたり、一緒にテレビ観たり絵本を読んだりしてあげていたら、すっかりその子がカオリになついてしまった。
     隣のママが帰るまでカオリは寝ずに待っていて、帰ってきたところで寝込んでいた娘さんを抱いて連れていったら、ママはありがとうもいわず、これからも自分の留守中はこの子の面倒を見てよ、となった。

     カオリは図々しいとも怒らず、非常識だとも責めず、ニコニコしてうなずいた。
     女の子も、いつもお腹をすかして寂しいから、カオリを追い求めるようになった。そんなある日、ちょっとした事件が起きる。

     
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