小説『神神化身』第二部 
第二十四話

仰望ディフューズ


  拝島去記(はいじまいぬき)は九尾の狐だ。少なくとも、藤々木美羽(ふじがきみわ)の中ではそういうことになっている。
 美羽が去記のことを知ったのは、人伝の噂話だった。自称・九尾の狐が廃神社に住んでいるらしい、そして何やら話を聞いてくれるらしい、と。いくらなんでもよく分からない。九尾の狐がいる? 上野國(こうのずけのくに)だから? 確かそんな伝承があったはずだ。それにしても、この現代に九尾の狐とは。
 けれど、美羽は行った。九尾の狐の住んでいる廃神社はやたらアクセスの悪いところにあって、車でなければ行きづらかったというのに。もし九尾の狐がいるのなら、現世で苦しんでいる人間のことを、笑い飛ばしてくれるんじゃないかと思ったのだ。
 美羽の期待はある意味では報われて、ある意味では裏切られた。
 九尾の狐は本当にいた。正直、最初は作り物の耳と尻尾を付けた人間にしか見えなかったけれど、話していくうちにそうではないのだと分かった。彼は正しく九尾の狐だった。
 美羽は今悩んでいることのいくつかを、促されるがままに語って聞かせた。裏切られたのはここからだ。九尾の狐は人の子の悩みを笑い飛ばしてはくれなかった。ただ寄り添い、励ましてくれた。
 それ以来、拝島去記の存在は美羽の支えだった。同じように支えにしている人間が沢山いるのも知っている。何しろ彼は、上野國の九尾の狐なのだ。
 その拝島去記が、面白い物を観せてくれると言った。
 正確に言えば、浮世を忘れさせてくれるものだと言っていた。
「興味がある人の子は、誘い合わせて来るがよい。待っているぞ」
 そう言われれば、抗うことなんて出来なかった。たとえ幽世(かくりょ)に連れて行かれるとしても、美羽は狐の誘いに乗っただろう。
 そうして美羽は、まんまと友人を誘い、指定された日時に廃神社へと向かった。
 この日は特に人手が多く、通された古びた舞台の前は人でいっぱいだった。美羽は不安と期待の入り混じった視線で、少し高い位置の舞台を仰ぎ見る。
 やがて小さな鐘の音が鳴り響き、舞台に三人の人物が現れた。洒落た装束に身を包み、手には長刀のようなものを持っている。三人の内、中央にいる去記だけが顔を晒しており、残りの二人は、狐の面を付けていた。すらっとしていて足の長い青年と、小柄な少年だ。ややあって、小柄な方が、凜とした声で言った。
「我ら上野國水鵠衆(みずまとしゅう)。どうぞ御覧じあれ」
 上野國水鵠衆、と美羽は心の中で復唱する。最初は頭の中で上手く変換出来なかった。この響き自体は聞き覚えがあるというのに。
 少し遅れて、舞奏(まいかなず)だ、と気づく。上野國に住んでいる以上、その存在を知らないとは言えない。だが、上野國には伝統だけが残っており、舞奏衆(まいかなずしゅう)自体は組まれていないはずだ。けれど、彼らは自分達をそう名乗った。
 彼らは──拝島去記は、覡(げき)なのだろうか?
 そう疑問に思った瞬間、彼らが動き出す。
 後ろで鳴っている音楽に合わせて、彼らは流れるように動いた。寄せては返す波のように、どこを捉えていいか分からない動きだ。何を見せられているのか分からないけれど、彼らが動いているだけで楽しい。
 全然関係が無いはずなのに、美羽は小さい頃水遊びをした時のことを思い出した。光を反射して水が跳ねるのを見るだけで楽しかったのだ。
 最初に中央にいたのは拝島去記だったのに、今や舞の中心にいるのはあの小柄な狐面の少年だ。見えない水の流れが彼を中心にして湧き出しているかのように、他の二人が彼を立てている。
 とはいえ、少年だけが目立っているわけではない。控えている者の為に一歩前へと進み出る人間が、目立たないはずがない。長刀が舞に合わせて大きく振られる。切り開いている、と美羽は思った。
 水鵠衆にはどこか向かうべき場所があって、彼らはそこに一心に向かっている。求めるものの為に、戦っている。
 九尾の狐は、耳と尻尾を付けてはいたけれど、いつものコンタクトレンズは外していた。特別な時に、求められた時にだけ見せる赤い方の目だ。美羽は一度もそれを見たいと言ったことはない。何故、去記はその赤を晒しているのだろう。あまり見せることが好きではなかったような気がするのに。
 それでも、拝島去記は満たされているように見えた。ああ、彼がやりたかったのはこれなのかもしれない、と思うと何だか涙が出そうだった。九尾の狐で在り続けたのは、この為だったのかもしれない、と。
 そうして舞奏が終わった瞬間、拝島去記は朗々と言った。
「人の子らよ! 我らの威光を伝え聞かせよ! 我ら、上野國水鵠衆! 上野國の誉れ高き舞奏衆よ!」
 それを求めるなら、望むならば伝えよう。自分一人の声がどこまで届くかは分からないけれど、九尾の狐の居る舞奏衆について語って聞かせよう。
 これは、広く目に触れるべきものだ。藤々木美羽はそう思う。

 *

「えー、どうする去記? シンプルすぎるメニューだから余計に迷うよ。たぬきうどんかなぁ」
「うーん、我はうどんが好きだから、ちょっとうどんにはうるさいところがあるぞ。どれにしようかなぁ」
「迷っちゃうね。阿城木(あしろぎ)のおすすめなんだから、まあきっと間違いないんだろうけど」
「お前らもうちょっと静かにしろ。声が張るから目立つんだよ」
 阿城木はうんざりした顔で注意する。まるで引率の保育士になった気分だ。
 小さくてうるさい何かと、大きくて耳のついた何かをうどん屋に連れてくる日が来るとは思わなかった、と阿城木は思う。隅のテーブル席に通されたというのに異常に目立つ。客も何人かこちらを見ている気がするというか、見ている。
 こんなことなら家に戻れば良かったとも思ったが、ここのうどんは阿城木のお気に入りだし、勝手に執り行っている『舞奏披(まいかなずひらき)』には手応えがあった。ここでささやかに寿ぐことくらい許されるだろう。
 ただ、せめて目立たないようにしてほしいし、耳も外してほしい。
「我この『うまかうどん』っていうのにするー! あったかいおうどん大好き! たぬきも気になるところではあるが……」
「前から思ってたけど、お前狐なのに油揚げ食べねえしきつねうどんも食べないよな。ここたぬきしか無えけど、せめてそっちにしろよ。動物で繋げろ」
「ええ、だって我もこの一番人気のうどん食べたいんだもん」
 拝島が絶妙な具合で頬を膨らませる。それを見て、阿城木はもう拝島を九尾の狐の方向に誘導するのは難しいのではないか……とすら思い始めてきていた。
「んー……冷やし……いや、僕もあったかいものがいいな。うまかうどんで」
「うまかうどん三つな」
 店員を呼び、注文をする。馴染みのバイトではあったが、なんだか見てはいけないものを見た、と言わんばかりに目を逸らされてしまった。
 こうして自分は徐々に地域の信頼のようなものを失っていくのだろうか……と思うが、狐とネズミを連れているだけで白い目で見られるのは自分の人徳が足りない故かもしれないとも思う。例えば阿城木崇(たかし)であれば、九尾の狐とハムスターを連れていても威厳を保てるはずなのだ。
「……なんか悪いな。俺がカバーしきれなくて」
「は? どういう流れかよく分かんないけど、なんか馬鹿にされてる気がする」
「気にすることはないぞ入彦(いりひこ)。我は不甲斐ない入彦のことも大好きであるからな」
 なんだかそれはそれで引っかかる言い方だが、一応「ありがとな……」と言っておく。
「それはさておき、なかなか悪くないんじゃない? あの感触だと、水鵠衆のことをそれとなく色々な人に伝えてくれるだろうし。実際もう噂にはなっているようだし」
 七生(ななみ)が急にリーダーの顔になり、やや得意げに言う。それを聞きながら、阿城木は七生の『計画』について思い返した。

「まず、僕らはゲリラ的に舞奏披をする。そうして水鵠衆についての話を水面下で広めて、月末の舞奏披に来させる。その上で、阿城木の舞奏披の時に僕ら三人が舞台に出て、舞奏を披露してしまう。観囃子は伝統よりも目の前にいる僕らに歓心を向けてくれるだろうし。ていうかちゃんと承認されてる舞奏衆かどうかなんてその場じゃ分かんないし! それで拍手喝采大団円、おしまい!」
 七生が早口で打ち出したのはそういう計画だった。ごくシンプルなものだし、それで上手くいくようなら言うことがない。上手くいくのなら、だ。
「そんなんで上手くいくのかよ……」
「な! 僕の計画に何か文句があるの? むしろ計画を立ててあげたことに感謝してよね!」
「我は千慧の計画いいと思うぞ! 千慧はいつも賢くてかわいいからな!」
「おい拝島。そうやって甘やかしてっと七生がろくな大人にならねえぞ」
「僕はもういい大人なんだけど!!」
 七生がきゃんきゃんと喚くが、不安は拭えなかった。そもそも観囃子からの歓心が得られるかは分からないし、興味を持ってくれた観囃子が月末の舞奏披に来てくれるかも怪しい。そして、実際の舞台で喝采よりも戸惑いが大きかったら? その後、自分達はどうなってしまうのか。
「……でも、それでやるしかねえよな」
 様々な不安を抱えながらも、阿城木は堪えて言った。七生がハッとこちらを見てくる。
 恐らく、一番不安なのは七生だ。ここで阿城木まで不安そうな様子を見せれば、七生はますます空元気を出そうとするだろう。そうはなってほしくない。虚勢を張るべきなのは自分だ。
「にしても、最初の一歩をどうするかだけどな。何しろ俺らには場所も無えし、流石に俺ん家の稽古場でやるわけにもいかねえだろ。それに、この誰も俺らを知らない状況で最初の一歩としての観囃子を集めねえとだし」
「それならば、呼び水には困るまい」
 拝島がにんまりと笑う。
「我の元には迷える人の子が沢山来るからの。面白い出し物があると教えてやれば、仰ぎ見に来る子らも多かろう。そうして我らに魅入らせてやればよい。水鵠衆に沈ませるのだ」
「……なるほど、そういう……」
「水鵠衆にめろめろにさせるのだ」
「何で言い直した?」
「最初の一歩で去記のところに集まる人達に観てもらうっていうのはいいと思う」
 七生も訳知り顔で頷く。いきなり出てきた案ではあるが、確かに悪くは無さそうだ。最初の数人さえいれば、後は何とかなるかもしれない。
「去記は自分の所に来る人達に舞奏を見せたことはないの?」
「それを願われたことはないからの。それに──」
 拝島が困ったように笑う。
「拝島に舞奏を求めるような人間はおるまいよ」
「なら、これから飽きるまで求めさせればいい」
 間髪入れずに七生が言った。
「それくらいの力が僕らの舞奏にはある。きっと、水鵠衆の舞奏をみんなが好きになる。カミに愛されなくても、他の誰かが愛してくれる」
 七生の言葉は力強く、揺るぎない。しっかりと拝島のことを照らし導こうとしている。そういう時、小柄なはずの七生は一回りほど大きくなったようにも見えるから不思議だ。煌々と灯り、旅人を導く北斗七星の光。
「阿城木だってその自信があるんだよね?」
「そうじゃなきゃやんねーよ、こんなこと」
「オーケイ。それでこそ」
 水鵠衆のリーダーが誇らしげに笑った。
「じゃあ、まずは拝島が廃神社で人を集めりゃいいのか? そこを任せることにはなるけど……ていうかあそこって舞奏出来るくらいの場所あんの?」
「おお、この九尾の狐に任せるがよい。我の居城は少し古いが、舞台もあるぞ。かつてはそこで誰かが舞っていたのやもしれぬな」
「すごいすごい! 完璧だよ」
「ふふん、もっと褒めてくれてもよいのだぞ」
 

「おまたせしました、うまかうどん三つです」
 そうこうしているうちに、ざるに載った太いうどんがつけ汁と共に運ばれてくる。この濃いめのつけ汁にうどんを付けて、一気に頂くのが美味いのだ。
 予想以上にしっかりした麺だったからか、七生も拝島も目を丸くしている。その反応を引き出せた時点で、阿城木が勝ったようなものだ。一口食べてみればもっと驚くだろう。
「ほら、冷めねーうちに食べようぜ」
「それじゃあ、いただきまーす」
「我のしっぽみたいなうどんだな」
 拝島がそう言いながら、恐る恐るうどんを汁に付ける。まるでうどんが跳ねて噛みついてくるんじゃないかと言わんばかりの様子だ。そうしてゆっくりとうどんが口に運ばれていく。案外上手く啜れていないのは、不器用だからだろうか。見守っているこちらがハラハラしてしまう。ややあって、拝島が言った。
「おいしい!」
「そうか、そりゃ良かった」
「これはおいしいものだな、千慧!」
「うん、そうだね」
 七生も嬉しそうに言って、うどんを啜っている。こちらはなかなか上手だ。やはり食べることに関しては強いのだろうか。すごい勢いでうどんを口の中に収めていく。
「お前あっつくねーのかよ。火傷すんぞ」
「この熱さを楽しんでるの──っちゃ! う……」
 言わんこっちゃない。口から間抜けに舌を出している七生に対し、阿城木はニヤニヤしながら言った。
「この熱さを楽しんでる通な七生くん、お冷やはいるか?」
「……いる……」
 七生にお冷やを渡してから、阿城木もようやくうどんに箸を付ける。相変わらず美味い。しっかり噛んで歯ごたえを楽しんでいると、向かいの七生と拝島も同じように延々と咀嚼しているので、少し笑ってしまう。ここで息を合わせる必要なんてないのに。
 これを幸せの箱の中に入れてしまうのは、なんだか短絡的で恥ずかしい気もする。自分達はこれからが正念場だというのに。だから、「なんかいいな」も「また連れてきてやるよ」も言わずに、黙ってうどんを啜った。


「こうしてみんなで食べるのはいいことだな」
 ……なんてことを内心で考えていた阿城木のことを全く知らずに、拝島はそう言った。
「ね、幸せだったね。お腹いっぱいだしね」
 食後のお茶をちびちびと飲みながら、七生も応じる。さっきの火傷が尾を引いているのか、今度は慎重になっているようだ。
「ううん。そうかもしれぬな。我、こういうのあんまり無かったから」
「こういうの?」
「誰かと食事を共にすることだ」
 また、阿城木の心がじくりと痛む。別に拝島が悪いわけではないのだが、彼がそういう発言をする度に、何とかしてやれないかと思ってしまう。
 にこにこと笑う拝島去記の右目からは相変わらずコンタクトが取り払われ、化身が赤く光っていた。その比類無き輝きの方が、耳よりも注目を集めているのではないかと思うくらいだ。
 その目も、いい呼び水になるだろう。廃神社には辿り着かない人々も、水鵠衆には化身持ちが──伝え聞く呪われたノノウの末裔がいると聞けば、月末の舞奏披に現れるに違いない。真偽のほどがどうであれ、確かめずにはいられないからだ。
 阿城木は自分達の舞奏に自信を持っている。──誇りを持っている。化身にこだわる人間の目にこそ適うものが見せられると思っている。だから、そういった人間を実力で黙らせてやりたい。
 ……その上で、やはり阿城木入彦には化身が無いから、実力面でも劣る、と見做されてしまったら。そう思うと、身が竦むけれど。
「いいの? 阿城木」
 七生が不意に言ったことで、阿城木の意識が引き戻される。
「阿城木さあ、……上野國の舞奏社(まいかなずのやしろ)の人と仲良いんでしょ。気まずかったりしないの」
「あ?」
「水鵠衆のことが話題になったら、きっと舞奏社の人もあれこれ言ってくるんじゃない? 阿城木は関係してないのか、とか……あとは、隠し通せても月末の舞奏披に乱入したら、どのみちだし……」
「それもまあ、今更だろ。とっくに覚悟は決まってるっての」
 そもそも、阿城木は何も失って困るものがないのだ。一番大切なものは元から阿城木の手には無い。社人からの信頼は失うかもしれないが、それに何の価値があるだろう? ノノウとして舞えなくなっても、手足を捥がれるわけじゃない。
「ていうか、勝手に舞奏披やって思ったんだよな。別に覡になって舞奏競(まいかなずくらべ)に出られなくても、舞奏が出来なくなるわけじゃない」
 自然と言葉が口を衝いて出た。舞奏社に認められなくても──正式な覡にならなくてもいい、なんて、以前の阿城木なら絶対に言わなかっただろう。
 変えたのは廃神社での経験だ。
 乱反射する観客の──観囃子の、視線を感じながら、水鵠衆として舞奏を披露することがあんなに幸せだとは思わなかった。ノノウの阿城木入彦としては何度もやったことがあるというのに、それと今回では全く違う。
 覡だ。今の阿城木は覡だった。誰が認めなくても、疑いようなく覡なのだ。
「舞奏を求める観囃子が、一番の舞奏衆を俺らだって定めたら俺らの勝ちだろ。舞奏社に認められたちゃんとした舞奏衆の奴らがどうあろうともな。だから、心配ねえよ」
 七生を安心させるかのように、阿城木は言う。だから、失敗は怖くない。この心意気は七生も肯定してくれるだろう。阿城木は何となくそう思っていた。
 だが、七生の表情はいつもよりずっと強ばっていた。あれ、と阿城木は間の抜けたことを思う。お前って、こういうタイプの負けん気がある奴じゃなかったっけ? いや、七生の基本的な性格は変わっていない。こいつは芯の強い奴だ。だったら、それ以外に肯定出来ない理由が──……
「うん。確かにそうだね。……そのくらいの気持ちでいた方がいいよ」
 ──……大祝宴にこだわらなくてはいけない理由があるんじゃないのか?
「だが、カミに相見えるには大祝宴に辿り着かなければならぬのだろう? ならば、やはりそこを目指さぬとな」
 阿城木が何かを言うより先に、拝島がそう言った。
「お前、カミに会いたいとかお願い叶えてもらいたいとかあるのか?」
「ふふふ、カミは我になど会いたくはないと思うのだがな」
「そうだよ。去記は一回くらい会って文句を言わないと!」
「けれど、この目がなければ我は水鵠衆に入れてもらえぬところだったものな。難しいものよ」
 拝島が右目の辺りにそっと指をやる。
「けれど、種は撒かれた。きっとよく育つであろう。遠くまで届くはずだ。我らの光は、こんなものではないのだから」
 拝島がそう続ける。
 阿城木の方も、ご先祖に祈りたい気持ちになった。どうか、水鵠衆が静かに広がっていきますように。歓心が自分達の力になってくれますように。期待してくれ、と今度は観囃子に向かって言う。
 水鵠衆はここにいる。俺達は、きっと認められてみせる。






著:斜線堂有紀

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。





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