もしもここで死ぬかもしれないと思ったら――

もしもここで放銃したら死んでしまうとか
もしもここでアガれなかったら死んでしまうとか
もしもここで勝利条件を満たせなかったら死んでしまうとか

そのような条件下で麻雀を打っていたとしたら、あなたは何を考えるでしょうか?

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消えない負債、やり直せない過去

フリー雀荘で打つ麻雀、ネット麻雀で打つ麻雀とは違って
予め打つ回数も、対戦相手も、勝利条件も決まっている競技麻雀では

もしもあの時、放銃を回避できたら―― 予選を通過できたかもしれないのに・・
もしもあの時、アガリを拾えていたら―― 昇級できたかもしれないのに・・

もしもあの半荘、トップが獲れていたら―― 残留できたかもしれないのに・・
もしもあの半荘、3着で粘れていたら――  タイトルが獲れたかもしれないのに・・

このチャンスを活かせなければ、次のチャンスは10年後――
いや、もしかしたら一生やってこないかも・・・ なんてこともザラにある。

たったひとつの分岐で、選択を違えてしまっただけでも
その後の世界線が大きく変わったとしても、全く不思議ではないのです。

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※ 参照牌譜

約4万点差のトップ目勝又がオーラスの親番。
2着目の瀬戸熊は、初手から孤立の役牌を連打していく。

絶対に絶対に死守したいはずの2着目で
最悪ラス落ちも想定されるような僅差の点数状況で

役牌重なりの裏目は死ぬほど痛い。
にもかかわらず、ここで役牌を連打してきということは――

・役牌に頼らずとも他の手役がハッキリと見えている
・ある程度牌姿が整っていて、門前テンパイの手応えがある

のいづれかということ。これは同卓者の共通認識であることは間違いない。

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瀬戸熊は九萬:麻雀王国七萬:麻雀王国を払い、二索:麻雀王国をカンチャンで仕掛け打五筒:麻雀王国とした。

・役牌に頼らずとも他の手役がハッキリと見えている
・ある程度牌姿が整っていて、門前テンパイの手応えがある

さらに副露率13.33%(11月20日現在)
Mリーガー21人の中で、最も仕掛けの少ないプレイヤーである瀬戸熊の副露だ。

※参照記事 週刊アベマズ24/80

この点数状況、この巡目とはいえ
もう瀬戸熊にテンパイが入っていると考えても、全く不思議ではないだろう。

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白鳥の目からは役牌が全て見えていた。七萬:麻雀王国九萬:麻雀王国よりも一索:麻雀王国三索:麻雀王国
カンチャンを残すということは、一索:麻雀王国二索:麻雀王国三索:麻雀王国に関連する手役絡みの可能性が高い。

序盤の切り出しからチャンタである可能性は考えにくい
だとしたら123の三色か―― あるいはソーズの一通か――

六索:麻雀王国が一通に当たるとしたら

一索:麻雀王国三索:麻雀王国四索:麻雀王国五索:麻雀王国七索:麻雀王国八索:麻雀王国九索:麻雀王国  の形から二索:麻雀王国をチー

そのパターンだと、マンズの七萬:麻雀王国九萬:麻雀王国払いは若干不自然に見えるだろうか

一索:麻雀王国三索:麻雀王国四索:麻雀王国五索:麻雀王国六索:麻雀王国八索:麻雀王国九索:麻雀王国  の形から二索:麻雀王国をチー

こちらのパターンのほうが比較的自然だろう。
よって七索:麻雀王国を留め、危険度の若干低い六索:麻雀王国を勝負しイーシャンテンを維持する。

白鳥はこの時、僅かではあるが打牌に力が入った。
当然のことながら瀬戸熊のテンパイ気配は、対戦経験上十分に察知しているのだ。

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ラス目の小林も一筒:麻雀王国を引くと一瞬手を止めた。
小林もまたテンパイ気配を察知し、瀬戸熊の手役を推考しているのだ。

瀬戸熊が二索:麻雀王国をチーして打った牌は五筒:麻雀王国だった。
一筒:麻雀王国は 二筒:麻雀王国三筒:麻雀王国四筒:麻雀王国四筒:麻雀王国 こんな形で当たるかもしれない・・・

しかしながら他の危険牌候補も数多く、一筒:麻雀王国程度の放銃リスクなら
自分のアガリ確率を最大限に高めるリターンのほうが上回るであろう

この時はそう判断して一筒:麻雀王国を勝負した。
機械仕掛けの心を持つゆえに、微塵も力感を感じさせないフォームで打牌した・・・

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10巡目に一筒:麻雀王国を勝負した時は、六萬:麻雀王国九萬:麻雀王国は場に5枚切れだった。
残り3枚とはいえ、景色的にかなり手応えのある受けだったことであろう。

しかしこの時点で六萬:麻雀王国九萬:麻雀王国は7枚切れ、残りの1枚は確実に
山に残ってる感触はあるとはいえ、アガリまではかなり厳しくなってしまった。

小林はここで再び瀬戸熊の手役を推考する。以下、コバゴーの脳内会話

一萬:麻雀王国は・・・3枚切れ、惜しい(゜ー゜)
二萬:麻雀王国も・・・3枚切れ、惜しい(゜ー゜)  ダメだ、123の3色は否定できない。

いや、まてよ・・・ペン三筒:麻雀王国待ちならば、あそこまで五筒:麻雀王国を引っ張っるものだろうか?

一萬:麻雀王国二萬:麻雀王国三萬:麻雀王国一筒:麻雀王国二筒:麻雀王国三筒:麻雀王国四筒:麻雀王国五筒:麻雀王国五筒:麻雀王国一索:麻雀王国三索:麻雀王国七索:麻雀王国七索:麻雀王国  二索:麻雀王国チー

でもこんなパターンとか・・・・

四筒:麻雀王国五筒:麻雀王国五筒:麻雀王国七筒:麻雀王国七筒:麻雀王国一索:麻雀王国三索:麻雀王国四索:麻雀王国五索:麻雀王国六索:麻雀王国七索:麻雀王国八索:麻雀王国九索:麻雀王国  二索:麻雀王国チー

あるいは、こんなパターンもあるかもしれないなぁ・・・(゜ー゜)

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小考の末、自分のリターンが大幅に下がったことにより
三筒:麻雀王国の放銃リスクに見合わなくなったと判断し、ここで迂回を選択した。

Q・ラス目なのに押さないの?

いや、勝又はこの点数状況なら
最後まで連荘を狙い、テンパイを組みに来る可能性が高い。

ならば次の局がある可能性にかけて、ここはリスクを負わず
終局まで粘りこんで、形式テンパイを狙ったほうが三筒:麻雀王国を勝負するよりもマシであろう。

もしもあの時、放銃を回避していたら―― 
もしもあの時、アガリを拾えていたら―― 

もしもあの半荘、トップが獲れていたら―― 
もしもあの半荘、3着で粘れていたら――

競技麻雀歴が長いプレイヤーなら
誰しもこのような後悔をしたことがあるはずです。

この大事な局面において、ノータイムで三筒:麻雀王国を放銃して
しまう人は、きっとそういった経験が少ないのだと思います。

当たり牌を読んで止めているわけではない

大事なのはその選択に至るまでの過程であり
相手の手牌を推考する、今後の展開を予想しようとする努力。

称賛すべきは当たり牌を止めた結果ではなく
この判断に至るまで、幾重にも積み重ねられた思考のプロセスであると考えます。

もしもここで死ぬかもしれないと思ったら――

死ぬかもしれない―― というのは大げさな表現ですが
この一打、この選択が、最終的な勝敗に影響を与えるかもしれないと考えたら――

それでも放銃してしまうかもしれないけれど
三筒:麻雀王国止めの選択、迂回の判断にも共感できるのではないでしょうか?