大事な対局の前はいつも
勝ちたすぎて気持ちが高ぶります。昔は強がって「全く緊張しない」と嘯いていた時期もありました。まあそれも若気の至りというやつです。

もしも本当に全く緊張しない人がいたとしたら
それは
勝ちたい気持ちが希薄なだけなのではないかと思う。

入会して14年、目標の1つとして掲げてきたのが当団体最高峰のタイトル「雀王」
これだけの年月をかけて、勝ちたすぎない人なんてこの世に絶対にいない


それだけは断言してもいいと思う。
つまり、少しも緊張しない人などこの世にいないということです。

対局会場に入ると開始時間まで少し待つことになります。僕はこの待ち時間がとても嫌いでした。待ち時間が長ければ長いほど、緊張が高まってしまうから。

待ち時間が長ければ長いほど気負いが生じてしまう。高いテンションで対局に挑むのは望ましいことなのですが、それも度が行き過ぎると勝負に悪影響を及ぼしてしまう。

できることなら麻雀の事も、相手の事も一切考えずに席に着く。
配牌の最初の4トンを取ったところから無心でゲームに入っていく。

軽く理牌しながらパッと見で反射的に第1打を打ち出す。
第14期雀王決定戦、最初の配牌がこう――

發:麻雀王国發:麻雀王国一萬:麻雀王国五萬:麻雀王国六萬:麻雀王国一筒:麻雀王国西:麻雀王国一索:麻雀王国南:麻雀王国九萬:麻雀王国北:麻雀王国二筒:麻雀王国九筒:麻雀王国 ツモ三筒:麻雀王国 ドラ北:麻雀王国

ここから第1打に
六萬:麻雀王国を選んだ。あまり悩まずにスっと選ぶことができた。
この選択が良いと主張するつもりはないけれど、僕にとっては通常通りの選択。

ここからは特に緊張することはないし、余計なことも一切考えなくて済む。
緊張してしまうから、なるべく早く重圧から解かれたいというのが本音なのです。

僕は「練習の時間こそ最も大事」だと思っている。
本番は練習の成果を反射的に体現する場でしかない。

場況も何も無い配牌時点で、いきなり初手から悩んでしまうということであれば
それは少し練習不足か、まだ緊張が解けていないのだと思ってしまう。

バラバラの配牌でも初手を悩まず打てたことで
うん、今日も何となくいけそうだ―― という精神面での手応えは感じた。



1回戦目の話は生放送でも触れたので割愛します。

1度目の見逃しは点数状況的に、決定戦という直接対決の場だからこそ。
2度目の見逃しは巡目的に、トップボーナスが大きい協会ルール的に―― という話。

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2回戦東2局

六索:麻雀王国切りリーチは必然の一打。なぜ三索:麻雀王国ではないのか?
ダブ東:麻雀王国東を仕掛けている下家の鈴木が九索:麻雀王国を切っている。

三索:麻雀王国六索:麻雀王国で当たる、鳴かれるならどっちを切っても一緒。シャンポンで当たる可能性もほぼ一緒。
ならばこの比較は、カンチャンやペンチャンで当たる、鳴かれる可能性の比較です。

場を見渡すとソーズの中張牌は打たれていない。五索:麻雀王国七索:麻雀王国九索:麻雀王国ならば、カン六索:麻雀王国受けよりもカン八索:麻雀王国受けにしそうなもの。三索:麻雀王国に関する情報は一索:麻雀王国の手出しのみ。

ということであれば当たる、鳴かれる可能性は 
三索:麻雀王国六索:麻雀王国 となるので六索:麻雀王国切りリーチ。裏ドラ効率というよりも、下家に仕掛けがいる場合はこちらの考え方のほうが重要です。

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2回戦東4局

これは東家・鍛冶田の選択。西家・鈴木のリーチを受けて1牌切り番。
現物は二筒:麻雀王国七索:麻雀王国の2枚だが、抜けば形を崩すことになりテンパイは難しくなる。

リーチを受けてドラも無いリャンシャンテン。
僕の予想だと鍛冶田は無難な一打を選択するイメージだった。

小考後、鍛冶田は六筒:麻雀王国を打つ。そう、リャンシャンテンながら不退転の構えだ。

1回戦に2時間以上を要し、2回戦も2時間近く。なぜこんなに時間がかかるのか?
といえば、その一因は「親の粘り」にあると思う。

トップボーナスが大きな協会ルール。
最大の加点のチャンスである親権には、みな固執しようとする。

この半荘のようにトップが抜けた点数状況になると
子方も早上がりで局を回すようなことは極力避けるし、親も断然粘ってくる。

今回の決定戦は、
在籍するAリーガーの中でも
特に安手の早上がりを選択しない傾向のある面子が揃った。

全員が全員そのような選択をすると麻雀が少し変わってくる。フリーで打っていても、ネットで打っていても、このような面子で構成されることは殆どないだろう。

だからこそ押し返しにも負けない打点。リードを更に広げるようとする戦略や
大量リードからも積極的に局を回す姿勢も必要となってくる。

このプッシュが功を奏し、鍛冶田はテンパイで親権維持を果たすと
次局に6000オールを引き上がり、
24000あった点差が一瞬でまくられてしまう。

このパターンな――

今回は鍛冶田だったが、誰もが親番を残している状況で全員が頭を狙ってきたとしたら
誰か1人くらいはこのように追いついてしまう可能性が十分にある。

この程度がセフティーリードではないことは重々承知。
決して手を緩めたわけではなのだが、今回の決定戦も長引く予感がする1局だった。

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2回戦オーラス

2900点差を追う僕の選択。トップ目の親、鍛冶田のリーチを受けて1牌切り番。現物が三萬:麻雀王国六索:麻雀王国、宣言牌の筋で三索:麻雀王国。10巡目、何をアガってもトップという状況下での選択。

競技ルールはアガリ止め、テンパイ止めが無い。つまりトップ目親番の鍛冶田のアガリ、テンパイでもこの半荘は続行する。これが選択肢となる要因だ。

勝負どころであることは間違いない。次局へ持ち越すのも選択肢の一つ。
この牌姿でこの巡目なら、次局を選んだとしても不自然ではない。が――

一萬:麻雀王国が4枚切れとはいえ
三萬:麻雀王国周辺で場に見えているのはこれだけ。一索:麻雀王国二索:麻雀王国が2枚ずつ、四索:麻雀王国五索:麻雀王国が1枚ずつ、自分の河に一索:麻雀王国三索:麻雀王国が並んでいるとあらば、くっつきはの三萬:麻雀王国方が優秀。

まあいいか――

と無難な選択をして、ここまで何度敗れてきただろうか。
ここで絶対に決めてやる!と思ったら
三索:麻雀王国ツモ切りの一手なのだが――

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次局への誘惑に負け、無難に
三萬:麻雀王国を選択した。
次巡ツモは四萬:麻雀王国、まるで勝負の場に立つ気がない者を諌めるような抽選結果

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ここでようやく
三索:麻雀王国をプッシュ。しかし次巡無筋の五索:麻雀王国を引きオリに回った。

初日で最も悔いが残った局面だった。絶好の機会であったのにもかかわらず、
まあいいか――で勝機を逸してしまった結果となった。

この半荘が終わった時、時計の針は16:00を回っていた。12:00スタートだから2半荘で4時間。この選択を引きずってしまうようなことはないにせよ。

これは体力が持つのだろうか?

と、少し心配になってきた。そしてこの自戦記も心配になってきた。
かなり端折って取り上げているはずなのに、長すぎやしないだろうか??


続く