さつき が てんこもりです。北海道生まれ東京育ちの30歳、作曲家です。
現在入手困難な音源や、CDにするほどでもない習作をアーカイブ化して公開してしまおうというシリーズ、
「リミテッド音源シリーズ」の第三回は、多分僕の曲史上最も奇妙なコンセプトの曲を紹介します。
『What's Wrong』(2ちゃんねるDTM板用/同人サークル「studio皐」1stアルバム向けトラック)
music:さつき が てんこもり
「逆張り」という言葉がありますね。
投資クラスタの人々が「相場のトレンドとは一見真逆な投資スタイル」を指す相場用語として使い始め、
インターネットではその意味合いが軟化し、レスバトルや煽りあいのカルチャーにおいて、
「流行物を叩く」行為を指しはじめました。
「厨二病」の誤用などの文脈もあり、だんだんと侮蔑の意味合いが強まっていると感じます。
今回の「リミテッド音源シリーズ」の楽曲「What's Wrong」はまさにそんな「逆張り」の曲です。
20才頃、作曲家としての試行錯誤を重ねていたであろう、若きてんこもり。
「どうやったら楽曲が煌びやかで派手なものになるだろうか?」と、ウワモノやコード感のリッチさばかりを追求していきます。
そんなある時、ふと思いついたんだと思います。
―――「逆にめっちゃ地味な曲作ったらモテるんじゃ・・・」
言うまでもなくモテませんが、憑りつかれたようにDAWのトラックを削っていく若者がいました。
少なければ少ないだけ良い。
動きが無ければ無いだけ良い。
最小単位の美学・・・!
ミクロから見えてくるマクロ・・・!!
これこそが俺のパンク・・・!!!
今思えば全部が違うし、完璧に間違っているのですが、
当時は「俺は遂にハイカルチャーの神髄を手に入れた」「地味の極地こそが現代音楽へのアンチテーゼだった」などと、意味不明な