閉じる
閉じる
×
ハリウッドのSF映画はいつも派手な演出で楽しませてくれますが、いくらフィクションだからって「それはおかしいんじゃないの~!?」と思う作品がたまにあったりしませんか? まーそれも含めてザッツ・エンターテインメント! と楽しめればよし。でもストーリーが根本から揺らいでしまうような、科学的大間違いをやっちゃってる映画、けっこう多いんです。 本日は世界的にもヒットしたハリウッド映画7本が台無しになるかもしれない科学的事実をご紹介します。エンディングを含む多大なネタバレがありますので、ご注意ください! 夢ぶち壊しの詳細は以下で。
【大きな画像や動画はこちら】
1. 感染症の治療法確立には時間がかかる アウトブレイク(1995年)
あらすじ:アメリカに密輸入された1匹のサル。しかしそのサルはモターバ・ウイルスという恐怖の病原菌を保持していた! アウトブレイク(爆発的感染)の始まった小さな町の運命はダスティン・ホフマン扮する研究者の手にかかっている! 科学的事実:本作品で1番問題なのは、時間。本作のダスティン・ホフマンはあっという間にワクチンの生成に成功しますが、現実にこのような未知のウイルスが発見された場合、専門家がチームを組んでウイルスを調査し、適切なテストを経て、人体に投与可能なワクチンとして製造できるようになるまで数週間から数か月、場合によっては数年もかかるそうです。 さらに、モターバ・ウイルスがエボラ・ウイルスによく似た菌なら(映画ではそういう設定)、町全体を爆弾で消滅させるとか、治療法の発見を急ぐ必要はないかもしれません。なぜなら感染者は感染から48時間以内に全員死滅してしまうから...。
2. テキサス州と同じ大きさの隕石なら何年も前に見つかる アルマゲドン(1998年)
あらすじ:テキサス州と同じ大きさの隕石が猛スピードで地球に向かっているのが発見された! 地球激突を防ぐには、ブルース・ウィリス率いる石油採掘チームが宇宙に飛び、隕石に穴を開けて、核爆弾で吹き飛ばすしかないのだ! 科学的事実:科学的におかしなことだらけの本作で間違いを1つ指摘するのも難しい話ですが、決定的なのはコレ。 テキサス州と同じサイズの隕石なら、地球にぶつかる直前まで見つからないはずがないのです。米国にはNASAジェット推進研究所の地球近傍小惑星追跡プログラムや米空軍マウイ光学観測所などの専門施設が複数あり、民間の観測所も山ほどあります(民間の愛好家が新しい発見をするのもよくある話)。そんな巨大な石ころが地球近圏にあれば発見はもちろん、何年も前からその動向を追跡していて当然。万が一地球に接近する可能性があっても、それはもう何年も前にわかってるはずです。 あともう1つ。隕石に深さ800フィート(約244メートル)の穴を掘って核爆弾をセットする話ですが、これも現実的には不可能なよう。隕石がテキサス州と同じサイズなら、面積は696平方キロメートル。それだけ巨大な石に250メートル弱の穴を掘ったところで、バレーボールにかすり傷をつけたようなモノ。その亀裂から隕石全体が割れるなんてことはありません。 余談ですが、本作品の科学的描写があまりにヒドすぎたので、本物のNASAがトレーニングの一環として「映画『アルマゲドン』の科学的誤り168項目をすべて指摘する」という課題を出したことがあるそうです。答えが知りたーい。
3. DNAには使用期限がある ジュラシック・パーク(1993年)
あらすじ:ある島の視察に行ってみたら、そこは恐竜を現代に甦らせたテーマパークだった! しかし楽しいのもつかの間、訪問者を次々と危険が襲う! 科学的事実:生物のクローン体を作るには損傷がまったくない完全な状態のDNAがなくてはならず、しかも琥珀に6500万年閉じ込められていたDNAでは使用可能な時間を過ぎているそう。さらに、不完全なDNAを補完する目的でまったく別の生物(たとえば本作品で使われたカエルなど)のDNAを使うことはできないんだそうです。 では万一仮に、ある恐竜の個体の完全なDNAを抽出できたとして、恐竜を現代に甦らせられるのかというと、それでも答えはノー。そのDNAを移植するための生きた恐竜の卵(正確には未受精卵)が必要なのです。絶滅した動物を完全な形で甦らせるには結局その動物が必要、ということで無理なのでした。
4. 太陽からのマイクロ波は地球にほとんど影響がない ザ・コア(2003年)
あらすじ:地球の核が活動を停止した! 磁界が分裂したためにマイクロ波が大気にあふれ、世界は上を下への大騒ぎ! 地球を元に戻すには地底深く潜り、核爆弾を使って地球の核を再始動させるしかないのだ! 科学的事実:地下2900kmにある地球の核に到達するのが現実的に可能かどうかや、地核からどうやって地上と通信したのか、使い回しの宇宙服だけでなぜ超高熱の地核の中を歩き回れたのか等の科学的疑問の数々、また人智を超えた難関をチームがあっさりと克服してしまう点などを抜きにしても、以下の2点だけでこの映画のストーリーは成立しないそうです。 1. 地球の磁界(地磁気)と太陽からのマイクロ波はほとんど関係がない。
2. 太陽が多量のマイクロ波(電磁波)を放射するのは事実だが、地球まで到達するのは主に太陽光(可視光線・赤外線・紫外線)で地球上の生命活動に害はない。 つまり、映画の中で説明していたような、地球が丸焦げになる現象は起きません。地球の核が活動停止したら確かに大変なことが起きそうだけど、心配する必要もないことにパニックした映画でした。
5. ロサンゼルスの地下に火山が発生することはない ボルケーノ(1997年)
あらすじ:自然の力を忘れた大都会ロサンゼルスをマグマが襲う! 異常な地震やガス噴出の原因はなんとロス中心部からわずか10km地点に発生した火山だった! ベテラン危機管理局長はロス市民を救うことができるのか!? 科学的事実:アメリカ西海岸沿いに走るサンアンドレアス断層は、横ずれ断層と呼ばれるもの。左右に接している太平洋プレートと北アメリカプレートが水平に擦れ合う動きをします。
しかし火山が発生するのはプレートが両側に引っ張られる地点や、プレートが重なり合って一方が他方にのめり込む地点。ロサンゼルスを含む南カリフォルニア地域のプレートは重なりあった箇所もなく、火山の発生はまずないと考えてよいそうです。
6. エイリアンの科学技術を解析するのは不可能 インディペンデンス・デイ(1996年)
あらすじ:高度に発達した科学技術を持つエイリアンが地球に攻めてきた! 複数の巨大な宇宙船が世界中の大都市を破壊していく! しかしエイリアンの母船をコンピューター・ウイルスに感染させてしまえば、敵の軍は壊滅するのだ! 科学的事実:本作品でジェフ・ゴールドブラム演じる科学者はエイリアンのコンピューターの仕組みをあっという間に解明し、さらに母船に致命的なダメージを与えるウイルスまで開発しました。でもどうやって? 確かに50年前に捕獲したエイリアン戦闘機はありましたが、他の科学者たちが解明できなかったものを、どうして1人の科学者がたったの1時間でできたんでしょう? それに人間のPCからエイリアン戦闘機にデータを移動できたってことは、USBかパラレルポートがついていたんでしょうか。未知のコンピューターと偶然にも互換性があったなんて、奇跡ですよ。
7. 地球の70%は水分 サイン(2002年)
あらすじ:アメリカの片田舎で農業を営むつつましい一家の前に、謎のミステリーサークルが出現! 大事な小麦を荒らす恐ろしいエイリアンを止める方法はただ一つ。奴らの弱点は水だった! 科学的事実:あなたが地球を侵略しようと他の惑星から飛んできたとして、宇宙船での会話を想像してみましょう。 司令官:惑星の調査結果を報告したまえ。 あなた:はっ。本惑星の表面積の70%は我々を死に至らしめる大変危険な物質で構成されており、その物質は地表に生息する動植物ほか大気にも多量に含まれております。恐れながら、侵略計画は再検討を... 司令官:諸君! 我々の勇姿を見せる時が来た! とぉつげきぃぃぃぃぃ!!! 地球の水の量は大気だけでも1万3000立法キロメートル、海なんか13億5000万立法キロメートル。どこからどう見ても水の惑星だっていうのに、水が弱点のエイリアンたちは何を考えていたんでしょうか。 万一それを承知の上で侵略するにしても、何のプロテクターもつけない無防備さ。地球人なら硫酸で覆われた惑星にアルミホイルの帽子だけで行くようなものです。
いかがでしたか? 何だかここまで有名作品が並ぶと、科学的にどうとか細かく気にせずドーンと作品を作るハリウッドの心意気に逆に感心してしまいます。「それはない!」って言いながらわいわい見るのも、映画の楽しみ方の一つですもんね。
7 Scientific Facts That Will Ruin Movies for You[io9] (さんみやゆうな)
RSSブログ情報:http://www.kotaku.jp/2012/10/sf_being_to_unreal.html
コメント
コメントを書く
SF映画はこういうとんでもネタを楽しむのも1つの楽しみ方だね。NASAがトレーニングとしてアルマゲドンの間違いを正すっていうのは面白いなw