Kotakuの姉妹ブログ「io9」によると、ウルグアイのアニマル・リプロダクション・インスティテュートのアレホ・メンチャカ氏率いる研究チームが、特定の紫外線をあてることで緑色に発光する羊を生み出したそうです。
どのようにして、この光る羊は誕生したのでしょうか? そして、光る羊が、将来的にわたし達の暮らしをどう変えてくれるのでしょうか? 詳細は以下からどうぞ。
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去年の10月に、フランスのパスツール研究所の動物遺伝子組み替えユニットに属する非営利民間研究機関、アニマル・リプロダクション・インスティテュートの施設で生まれた9匹の羊は、オワンクラゲが持つ緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein、通称GFP)をゲノムに注入されているため、紫外線があたった時だけ緑色に発光するそうです。
このGFPは、米ウッズホール海洋生物学研究所の元上席研究員である下村脩氏、マーティン・チャルフィー氏、ロジャー・Y・チエン氏によって発見され、3氏は2008年のノーベル化学賞を受賞しました。このGFPには毒性は無く、腫瘍の増殖やガン細胞の広がり等を目で見ることができるとして、生物医学の現場でも広く利用されています。
Nature World Newsによると、メンチャカ氏の羊は紫外線の下で発光することを除けば、他の羊と何ら変わるところは無く、変わった行動を起こすことも無いとのこと。
また、
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我々はこの技術を微調整したいと考えていたので、医療目的のタンパク質の使用や、特定の薬品を支援するようなことはしませんでした。緑色タンパク質を使ったのは、羊の組織中で識別しやすい色だからです。光る羊たちは、他の羊たちと同じようにフィールドにでて生活しています。伝統的な繁殖システムではなく、良いコンディションの中で飼育されています。エサも愛情もたっぷり与えてもらっていますよ。
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とも語っているそうです。では、将来的にこの羊はどう利用されるのでしょうか?
南太平洋のニュースエージェンシーであるMerco Pressによれば、メンチャカ氏は内分泌疾患を患っている人を助けるヒト成長ホルモンがたっぷりと含まれたミルクを出す、遺伝子組み換えの羊を開発することに関心を寄せているそうです。そのミルクを作る羊を光らせることが出来れば、他と区別することが可能になります。しかし、この技術はまだまだ開発段階だそうです。
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この技術は複雑で多くの作業を必要とします。世界から関心を集め、需要があるにも関わらず、まだまだプロセスには時間がかかるのです。我々の焦点は知識を生み出し、それを公にすることで科学界に知ってもらい、人々がより良い生活を送れるためのツールを生み出すことです。
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とメンチャカ氏は語っています。
2011年には、FIV(ネコエイズ)の研究の為に「緑色の光るネコ」が生み出され、人間のエイズ研究にも役立てたいとされていました。これからも、人間の病気を研究するために、ネコや羊だけでなく、様々な光る動物が誕生するのかもしれませんね。
[Cromo via Nature World News via io9]
(中川真知子)
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