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錆ついていく戦争の記憶。美しくも悲しい「戦車の墓場」
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錆ついていく戦争の記憶。美しくも悲しい「戦車の墓場」

2013-08-18 22:30
    美しくも悲しい「戦車の墓場」


    祖国を護るために活躍した戦車も、いずれは儚く朽ちるのです。

    以前、「幾何学と退廃。世界で最も奇妙な「飛行機の墓場」」という、ミリタリー好きでなくてもソソられる写真をたくさんご覧いただきました。

    今回は同様に、io9が選んだ世界各国の「戦車の墓場」をお目にかけたいと思います。大破して動けなくなるまで、お国のために戦っていたバトル・タンクたち。どの写真からも退廃的な美しさが感じられますが、同時にまた悲しい影が落ちているようにも想えます。

    中東などの紛争地域では、まだここ数年の出来事だったのかもしれませんが、悲惨だった争いの記憶は、時間が経てばいずれ薄らいで行くもの。そう、これらの戦車たちのように...。

    というコトで、以下でそういった戦車たちの写真をどうぞ。
     


    【大きな画像や動画はこちら】

     
    「ソ連・アフガン戦争」で戦ったソヴィエト製T-62

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    アフガニスタンの都市、カンダハールでズラーっと綺麗に並んだ戦車たち。錆びついて真っ茶色ですが、ここまで整列していると何かしらの防御壁のようでもありますね。

    (via Kenny Holston/U.S. Air Force


    アフガニスタンに在る戦車の墓場

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    カンダハールのとは違い、かなり乱雑に乗り捨てられているようです。所々に雑草も生い茂り、管理もされていない雰囲気。

    (via Ilya Varlamov


    ドイツ中西部パーダーボルン近郊

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    工業地帯もあるというこの都市ですが、さすがドイツは森が多いですね。砂漠のアフガニスタンとはまた違った景色が広がっています。

    (via Multi-Board


    ロシア、ウスリースクの修理工場

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    リペアー・ベース77として知られるこの場所は、1940年にオープンしましたが、数年前に破産してからというもの、このように廃墟になってしまいました。

    ウィキペディアによると、この街は交易都市だけに中国・北朝鮮との密輸や日本車密輸、売春斡旋を行うマフィアの活動が盛んで、対中国戦用の地上部隊が多数集結しており、軍に依存した都市でもある...と書かれています。地の利を活かした場所で、設立されるべくして設立された工場なのでしょうね。

    (via KFSS


    ロシア、チタ近郊に大量廃棄された戦車たち

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    東シベリア南部の都市、チタ。のどかな自然が広がる良い場所ですが...下を見ると戦車でビッシリ埋め尽くされています。環境破壊は感心しませんが、なかなかシュールな場所です。

    (via DarkBear-ru


    エリトリア、アスマラの戦車・トラック墓場

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    アフリカ北東部に位置する国家、エリトリア。おそらくこれらの写真は、1961年~1991年まで続いたエリトリア独立戦争で使われた軍事車両ではないかと思われます。

    さすがに30年も戦争していれば、これだけ大量のスクラップも出ますよね。何かに再利用できないものでしょうか? 

    (via Marco Diana, vartumashvili and Ilya Varlamov


    カブール軍事訓練所のソヴィエト製戦車

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    アフガニスタンのカブールに在るという、ミリタリー・トレーニング・センター。砂漠の山間に、無造作に並べて捨てられています。

    (via Swampfox_Redleg and War History Online)


    クウェートにて、湾岸戦争での遺物

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    ここもまた砂漠地帯ですね。もう砂に埋もれちゃっている戦車たちもあります。

    (via Natalya Marquand/1000amazingplaces


    チェルノブイリ地区に捨てられた車両たち

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    ヘリコプターも何台か捨てられています。ここにある車両の何台かは、チェルノブイリで起きた原発事故後のクリーニング作業にも駆り出されたのだそうです。

    やはり放射能汚染されて、乗り捨てるしかなかったのでしょうか? だとすると、これまでの戦車たちより別の意味でアブないです。

    (via Google Maps, vwvortex and Nicholas Lativy


    ウクライナの修理工場

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    機械工業や、戦車などの兵器製造で発展しているハルキウという都市にある修理工場のようですが...ドレもオーバーホールなんてムリそうなポンコツばかりです。

    錆びついたT‐64、T‐80、T-72のほかにも、巨大で無骨なエンジンがズラーっと並んでいます。

    (via Paul-itk


    ドイツの廃戦車置き場

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    スクラップにされる前に、一時的に置かれている場所のようです。そんなに程度の悪い感じはしませんが、とにかく膨大な量。一体いつになったら全部スクラップになるのでしょうか? 

    (via Batram


    イラクのキャンプ・タージに在るクズ鉄置き場

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    ここでも大量に破棄されています。地平線が見えるような、あまりにも広大なクズ鉄置き場です。

    (via The National Guard, Live From BaghdadThe Pine City Pioneer


    ソヴィエト製、水陸両用軽戦車PT-76

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    よじ登って記念撮影もできます。顔に枝がカブってますが...。


    ラオスの北部で起きた、インドシナ戦争での遺物だそうです。ジャングルの中で突然現れると、その存在感にビックリしそうですね。

    (via PTD Phonsavan


    2008年にアフガニスタンで撮られたT-34-85

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    孤独で寒々としていますね。


    死後「アフガニスタン国家英雄」の称号を与えられた、政治家のアフマド・シャー・マスード氏 (1953-2001)の墓場近くで潰されたT-34-85です。緑のない山間にポツンと残されたこの一台の、なんと淋しげなコトでしょうか。

    (via Nicholas Dickson


    西アフリカ、ギニアビサウ共和国の内戦で大破した戦車

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    駐車違反切符はきられないのでしょうか? 


    普通の道端に捨てられています。日常の景色に溶け込んでいるかのようです。

    (via Mariomassone


    2005年のコソボ紛争で、セルビア軍によって使用されたAT‐55

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    田舎のお爺ちゃんちの庭の片隅はこんな感じです。


    プリズレンという都市近郊にて、朽ち果てています。なんだかジブリ美術館の屋上に立つロボット兵を思い起こさせますね。

    (via Mika Rantanen


    イスラエル軍のM50スーパー・シャーマン

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    お花などが描かれて、ちょっとドリーミーな雰囲気。


    レバノンとの国境近くに捨てられているという、このM50。カラフルにペイントされており、反戦的なメッセージを感じずにはいられません。

    (via Kenyh


    イラク戦争で破壊された戦車たち

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    ネコの路上会議の様子に似ているような...?


    これらはイラク軍のT-54、T-55、タイプ59かタイプ69のいずれか。そのうち2台の装甲車は、中国製のタイプ653とポーランド製のWZT-2です。ここはイラクに在る、かつて軍産複合体だった場所だとのこと。

    (via U.S. Marine Corps


    トップ画像はプエルト・リコのクレブラ島に在る、フラメンコ・ビーチでの写真で、撮影はジャミ・ドワイヤーさんによるもの。コレはコレで、トライバルっぽいペイントが施されていますが、やはり海辺だからなのか、錆び付いて物悲しい雰囲気を醸し出しています。

    というコトで、かつてご紹介したような、戦場に出る前に戦力外通告されそうな史上最も「珍妙」な戦車たちは出てきませんでしたが、今回は世界中で乗り捨てられた大量の戦車たちを見ていきました。

    第二次世界大戦からの廃棄車両もあれば、近年起きた湾岸戦争などの戦車もありましたね。いつの時代も争いばかりしている、人間の愚かさも垣間見れた気がします。

    その半面(使い道は決して平和的ではありませんが)機能美を兼ね備え、プロダクト・デザインとしても優秀な戦車たちの退廃の美は、非常に魅力的です。

    2つの側面を考えると、少々フクザツな気持ちになりますが、読者のみなさんはどう感じたでしょうか?


    These Abandoned Tanks Are Rusting Mementoes of the Wars of the Past[io9]

    (岡本玄介)

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