アルフォンソ・キュアロン監督作品『ゼロ・グラビティ』のメイキング映像をio9が紹介しています。
サンドラ・ブロックのワイヤーを使った撮影風景や宇宙空間、サンドラ・ブロック演じるライアンの絶望的な状況を表現する音楽の作り方などを見ることが可能です。
それでは、以下からメイキング映像をお楽しみください。なお、ネタバレがあるのでご注意ください。特に、最後にはエンディングシーンが映っているので、知りたく無い方は5分30秒程度で視聴を止めることをオススメします。
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『ゼロ・グラビティ』のテーマは「逆境」と語るアルフォンソ・キュアロン監督。ライアン演じるサンドラ・ブロックは、何もない状況の中、生存する為に様々な選択を迫られ、決断していかなくてはいけません。劇中、テーマとなる逆境は、様々な比喩で表現されています。例えば、母親の胎内にいる胎児のようなポーズで反転するサンドラを通して、生存の可能性を表現し、また、地球を定期的に見せることで、私たちが何処から来ているのか、人間のコネクション、そして生命を表現しています。
「アルフォンソ監督は、3分、5分、時には12分というロングショットをデザインしました。それを実現させる為に、試行錯誤を重ねました」と話すのは、フレームストアでビジュアル・エフェクト・スーパーバイザーを務めるティム・ウェバー氏。
苦労したのはクルーだけではありません。サンドラ・ブロックとジョージ・クルーニーは、個々に4096個ものLEDを配置した196枚のパネルで構成された「Light Box」の中に入ったり、12本のワイヤーリグで吊るされた状況で撮影しなくてはいけなかったとのこと。ライアンがシャトルにぶつかり、回転するような複雑なシーンを撮影する場合、ライト、カメラ、そして俳優を入れた機械を回転させることで再現したのです。
サンドラ・ブロックは、この映画の撮影にあたり、5ヶ月に渡りダンスの訓練を受けたとのこと。彼女は、無重力空間でのゆっくりな動きを再現しつつ、早く喋らなければいけませんでした。このダンスの訓練が非常に役立ったようです。アルフォンソ監督も、劇中での彼女の動きは、純粋なインプレッションだと褒めています。
「技術が映画作りのモチベーションを上げるのではありません。この映画のストーリーを伝えたいという目的のため、それが出来る唯一の方法として技術の開発があったのです。」と語るのは、プロデューサーのデヴィッド・ハイマン氏。また、エグゼクティブ・プロデューサーのニッキー・ペニー氏は「CG業界やアニメーションのハードルを上げた。」と話しています。
この映画は、ビジュアルのアプローチにより常にカメラが動いているため、音楽も動き回るようにしようと考えたそうです。「通常のやり方ではない方法で作り出した音楽で、この映画のストーリーを盛り上げようとしました。そして、「指で触ること」を通して音を作ったのです。」とサウンド・デザイナーのグレン・フリーマントル氏は語っています。
俳優にとって、この映画の撮影は肉体的に辛いものだったでしょう。しかし、動きを自然に見せる為には、乗り越えてもらわなくてはならない試練だったのです。
「アルフォンソ監督の『ゼロ・グラビティ』は、クルーにとっても俳優にとっても、表面上は単純でも、非常に挑戦的で複雑な課題を与えるものでした。しかし、出来上がった映像は、その苦労を全面的に主張するものではありません。そこが素晴らしいのです。」とハイマン氏は締めくくっています。
世界的に評価されている『ゼロ・グラビティ』。日本でもすでに公開されているので、まだ見ていない方は是非御覧ください。
© 2013 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.
[via io9]
(中川真知子)
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