『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』に出て来る人気アイテムと言えば、空飛ぶスケートボード「ホバーボード」。簡単操作で自由に飛び回れる未来のスケボーに憧れた人は多いのではないでしょうか。
実は、そのホバーボードが遂に現実のものとなったと、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズのドックが、ホバーボードを持って登場する動画がインターネット上に公開されて、大変話題になりました。本物なのか、『BTTF4』のバイラルマーケティングなのかと憶測が飛び交い、Facebookやツイッターには本物のホバーボードが完成したと大喜びでコメントする人達が続出しました。
しかし、話題の動画が公開された翌日には、ドックがあっけなくネタバラし...。残念きわまりないのですが、ホバーボードは偽物だったようです。
では、以下から、この騒動(というと大げさですが)の元となった動画と、ドックの謝罪動画を合わせてご覧ください。
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「こんにちは、クリストファー・ロイドです。約25年前、私は『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』でドックを演じました。その映画には、ホバーボードというコンセプト製品が出てきました。私は、あれを現実のものにしたいと、どれだけ願ったか分かりません。
勿論、不可能だと分かっていました。しかし、あれから随分と時が経ち、HUVr Techという会社が技術を駆使し、遂にホバーボードの開発に成功したのです。」
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ドックのナレーションと共に、画面に登場するのはデロリアン。ビジネスマン風にスーツを着こなすクリストファー・ロイドの手には、何やら大きな箱。彼は、その「HUVr」と大きく書かれた黒い箱を伝説のスケートボーダー、トニー・ホークに手渡します。
「今いるスケートボーダーの誰に聞いても、スケートボードを始めたきっかけは『BTTF』だと答えるさ」というホークスは、ホバーボードを試してみて、その動きの滑らかさに驚きを隠せない様子。
また、このホバーボードが誰でも楽しめる製品だということを証明するため、HUVr Techは、スケートボードの経験が無いに等しい人達を招待し、体験してもらうことにしました。
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「初めて足をのせた時は、こんなの出来っこ無いと思いました。でも、乗ってしまえば、自然と体が適応したんです。どうなっているのかは分かりませんが、その技術に感動しました」
モディ(ミュージシャン)
「こんな経験はしたことが無かったね。最初は何が起こっているのか分からなかったけど、足下に目をやって、浮いていると気付いた時、これは現実なんだと理解したんだ」
テレル・オーウェンズ(アスリート)
「飛べるホバーボードがあると言われても、到底信じることは出来なかったよ。最高だね、キテるよ」
スクールボーイQ(ラップアーティスト)
「ヤバいわね。バランスをとるのが大変だと思ったけど、そんなこと無かったわ」
アグネス・ブラックナー(女優)
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動画によると、HUVrのアプリケーションはiPhoneとAndroidデバイス対応。テレルのようにヘルメットをかぶって乗る人も居ましたが、基本的にはそのようなものが無くても安全に楽しむことが出来るのだそうです。
次に、このホバーボードの技術説明の動画をどうぞ。
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「これは市場に出回る前段階のホバーボードです。巨額の資金を投入して、非常に複雑な技術を駆使して作ったものです。ふたつのサーキュラーパッドが、強力なチャージャーに接続されていて、磁場を作るのです。」
「私たちは安全性を重視しています。なので、ホバーボードの箱を開けて、30分後には安全に楽しめる為に必要な情報を全て記しました。もうひとつ特筆すべき技術があります。このデバイスには、2010年に打ち上げたサテライトが搭載されているのです」
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この動画を見て、米Kotakuのコメント欄には、「実際にホバーボードを作りたくて、資金を集めていたり、市場でどれくらいニーズがあるのかを調べようとしている会社が作った広告じゃないか」だとか「『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の新作が関係しているのでは?」と言う意見が出ていました。また、「こんなに自由自在に動けないけれど、これよりも低い高さで浮かぶ製品を実際に目にしたことがある」という人もいました。
HUVrTechのウェブサイトを覗いてみても、ホバーボードの製品説明しか掲載されておらず、真偽の程を確かめることは出来ませんでした。サイトには2014年12月と書かれていたため、その時にならないと事実は明かされないのかと思われていました。
ところが! 拍子抜けするくらいあっけなく、この動画が全くのフェイク(予想通り?)だと明かされてしまったのです。
俳優や伝説のスケートボーダーを起用して、『BTTF』ファンを騙す壮大な悪戯をしかけた犯人は、Funny or Die。悪戯の片棒を担いだクリストファー・ロイドが、Funny or Dieの動画に再登場して、次のようにネタバラし(と言い訳)しました。
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クリストファー・ロイドです。先日、皆さんにHUVr社のハーバーボードを宣伝しましたが、あれはFunny or Dieの作った嘘でした。私も騙されていたんです。
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自分も騙されていたと目を潤ませながら訴えるドック。撮影現場にいて、ワイヤーやクレーンを使っていたのもその眼で目撃していたはずなのに、どの口が「俺も騙されていた」なんて言えるのでしょう。彼の言い訳はこうです。
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この動画を見ている皆さんはこう思うでしょう。「お前、その撮影現場に居ただろう!」と。信じられないかもしれませんが、私はホバーボードの実現を夢見ていたあまり、それが現実のものなんだと思い込んでしまったのです。クレーンやワイヤーを見ていたにも関わらず、その記憶を消し去ってしまったのです。
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そして、視聴者を騙したことに罪悪感を感じたクリストファー・ロイドは、Facebookにコメントしてくれた中の方から1名に、この(フェイク)ハーバーボードに出演者全員のサインを書いたものをプレゼントすることにしたのだそうです。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー4』のティーザーなのではないかとか、本当にホバーボードを開発した会社があるのではないかと期待してしまった多くの方々、本当に残念な結果となってしまいました。
でも、この動画を見る限り、彼の主張を真面目に受け止めれば、ホバーボードの開発成功が嘘だったという事実に1番ショックを受けているのは、クリストファー・ロイド本人なのかも、なんて気がしてきますね。
[Thanks to reader Wes for the heads-up. via Kotaku、via Gawker]
(中川真知子)
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