重機のような巨大なマシンが、空間に金属の物体を出力していく。
3Dプリンタといえば従来の樹脂素材から進化を遂げ、ついにはピザまで出力できてしまうという時代に突入していますが、今回ご紹介するのは、金属を3D印刷できるマシン「MX3D−Metal」。
金属を出力できるという特性はもちろん「箱を飛び出した3Dプリンタ」MX3Dには、もはや大きさという制約が存在しません。
ご覧のように、MX3D−Metalは熱によって溶かした金属を溶接し冷却するというプロセスを折り重ねながら、オブジェクトを成形していきます。
先行して開発された『MX3D - resin』を金属に適応させることで生み出された「MX3D-Metal」は、アームのおよぶ範囲であれば、物理的にはどんなサイズでも金属で出力できてしまうようです。
MX3D-Metalを開発したのは、オランダ・アムステルダムのJoris Laarman LabとAcotechの共同研究チーム。公式サイトによると、3Dプリントされた金属の強度は高く、鉄の他にも、ステンレス、アルミ、青銅や銅などの鋼材を出力することが可能です。
また、最終的にはCADから直接印刷される、ユーザーフレンドリーなインターフェースであるべきだとしています。これは個人的にも大賛成。
とはいえ金属による3D印刷を工業機械として実用できるかどうかは、まだ未踏の領域です。技術を確立するためには新たなランゲージの構築さえ必要となるジャンルであり、それが革新的かつ実用的であればあるほど、より詳細なデータが必要になってくると思います。
また、MX3Dの特徴の一つに、ほぼ任意のサイズや形状の3Dオブジェクトを構築できるという点があるようです。つまり、斜度や平滑性といった物理的な障害にとらわれず、どのような形状やサイズのオブジェクトでも空間的に生み出すことができるというわけです。
これは工業機械として、極めて大きい可能性といわなければなりません。こんなポテンシャルを持つ重機が現場にあったら、仕事そのものが変わっちゃいます。
MX3Dとそのコンセプトは、もしかしたら工業や建築という世界を大きく変質させてしまう可能性を秘めているのかもしれません。個人的にも、大いに期待したいところです。
MX3D printing [YouTube]
[MX3D - Metal]
[MX3D - resin]
(キネコ)
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