『スター・ウォーズ』や『E.T.』、『インディ・ジョーンズ』を手がけたことで知られる、伝説のサウンドデザイナーであるベン・バートのドキュメンタリーをio9が紹介しました。
それを見ると、ミレニアム・ファルコン号のハイパードライブの音は複数の音を合わせて作成しているなど、最高の音や声を得るためなら体を張ってでも録音しにいくのが分かりますよ。
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「ジョン・ウィリアムズの音楽は110分ですが、本作には123分のサウンドエフェクトがあるのです。」
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と話すのはベン・バートさん。サウンドチームが作らなければならなかったサウンドエフェクトは800以上で、爆発や有名なライトセーバーの音が含まれます。
この動画の中で取り上げているのは、ガラクタで出来ていると言われているスター・ウォーズのスペースシップ「ミレニアム・ファルコン号」。ハイパードライブに入ろうとするが「キュルルルル、ガコンガコン...」とすんなりいかない様子を表現した音をどのように作成したかが語られています。
バートさんが録音したのは「1928年製の複葉機の音」、「歯医者で聞いた何かの機材から空気が漏れるような音」、「戦車内のモーター音」、「スタジオが入っているビルのトイレの排水管の音」など。それらを組み合わせて、あのポンコツ音にしているのだそうです。
次にバート氏の音集めの様子が映された10分弱のドキュメンタリーを紹介します。
見ての通り、ベン・バートさんはハイテク機器に頼りすぎた仕事はしません。必要あれば積極的に屋外に行きます。時にはクマの生の声を録音するなんてことも...。実は、クマの声はチューバッカの声で、彼はこのサウンドを作るためにチューイの「台詞リスト」を作成したのだとか。
最初、R2-D2の音は機械音で構成されたようですが、それだと単に機械が動いているだけに聞こえたため、人間の音と機械音を混ぜ合わせて愛嬌があって人間味あふれるR2-D2の音や声が出来上がったのだそうです。
『インディ・ジョーンズ』で大きな石に追われるシーンの音は、エンジンがかかっていないホンダのシビックが坂を下る時の音。彼はこの音を偶然発見したのです。
また、チャレンジ精神旺盛なバート氏は、新旧に拘らず様々なテクニックに挑戦します。例えば、白いキャベツを濡れたタオルで叩いてみたり、革ジャンを野球バットで殴ってみたり、紫キャベツをボクシンググローブで殴ってみたり...。
また、具体的な音が欲しい時には実際に自分で体験しながら録音しています。
そして有名なライトセーバーの音は、偶然から生まれました。バートさんは、マイクがテレビを横切った時に発生したノイズがレーザーソードの音にそっくりだと思ったのです。
その他、動画の最後には、『E.T.』のE.T.の声が、バートさんが撮影で知り合った常に低いトーンでゆっくり話すパット・ウェルシュという老婦人の声が使われていることにも触れられています。
バート氏の挑戦と探究心が映画に命を吹き込んでいるというのは、動画の前半で紹介された『スター・ウォーズ 新たなる希望』のサウンドエフェクト前と後の比較映像を見てもわかります。
このようなドキュメンタリーを見ると、効果音のひとつひとつがどんな風に作られているのかが気になってきますね。
The Millennium Falcon's Hyperdrive Noises Were Recorded In A Bathroom[via io9]
Millennium Falcon by ChalkTwins[deviantART]
(中川真知子)
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