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【連載物語】『不思議堂【黒い猫】~阿吽~』 第三話第二章「呪われた人物画」
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【連載物語】『不思議堂【黒い猫】~阿吽~』 第三話第二章「呪われた人物画」

2022-03-17 20:42
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    第三話第二章 呪われた人物画


    著:古樹佳夜
    絵:花篠

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    ■『不思議堂【黒い猫】~阿吽~』 連載詳細について

    https://ch.nicovideo.jp/kuroineko/blomaga/ar2060929

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    #あうんくろねこ をつけてツイートいただけますと幸いです

    [本作に関する注意]---------------------------------

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    また、内容を無断で改変、改ざん等を行うことも禁止します。

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    ◆◆◆◆◆平井邸◆◆◆◆◆


    平井邸は立派な二階建ての日本家屋だ。

    広い敷地をぐるりと取り囲む和塀。

    門の横には、美しく剪定された立派な松の木。

    さすが、売れっ子作家の家は違う。

    吽野と阿文がこそこそ話していると、

    庭の方から、和服を来た四十くらいの男がこちらにやってくるのが見えた。


    平井「やあやあ、その派手な格好。君が吽野君だね」

    吽野「あなたが平井先生ですか」

    平井「さよう、君を待ちわびていたよ」


    男はにかりと笑う。わざわざ、家主自ら出迎えてくれたのか。

    黒縁メガネに、神経質そうな細い眉。ごま塩の髪を撫で付けている。

    編集者から伝え聞いていた風貌の通りだ。


    平井「おや、そちらの青年は?」

    吽野「私の助手の……」

    阿文「阿文と申します。突然押しかけてしまい申し訳ございません」

    平井「構わんよ。さあ、もう他の参加者は来ている。二人ともこちらに入りなさい」

    吽野「ありがとうございます」


    平井「いやぁ、今日は会えて嬉しいよ。前々から君と話がしてみたくてね」

    吽野「ありがとうございます。まさか先生が私をご存知とは、意外でした」


    吽野のはりついた笑顔は完全に営業用だった。


    平井「そうかね? 我々の間では君は有名だよ。少々奇妙な文体ではあるが、その発想は他にはないものだ」

    吽野「もったいないお言葉、痛み入ります」


    普段、自堕落を絵に描いたような吽野が

    その道で成功を収めている先生に評価されている。

    隣で様子をうかがっていた阿文は感心し、

    吽野を誇らしく思った。


    平井「私が発起人となっている文学サロンでは、文人の他にも文学に興味のある芸術家も招いているんだ。月に二度ほど定期開催し、常連も多い。君さえ良ければ、ここに通うといい」

    吽野「はあ、考えておきます」


    吽野は笑顔を浮かべつつも、そっけなく受け答えした。

     
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