小原信治さん のコメント
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気がつくと、父と二人きりだった。灰色の壁に夕陽が射し込んでいた。顔を背け合い互いの気配を伺っていた。長い沈黙に押しつぶされそうになる。金縛りにでもあったみたいに身動きが取れない。18歳で家を出てから30年近くまとまった話をしたことのない父親と、いや、一緒に暮らしていた時だって母親と比べれば何のコミュニケーションも取っていなかった父親と、今更何を話せばいいのかが分からないのだ。いつしか僕は、子供のように大声で泣き喚いていた。
うちもレ成人してからも実家にいた弟や妹は距離がありません。母が周囲に「うちはほぼ4人家族なの」と言っていると聞いたこともあるくらいです。彼らがいるから自分はいいかなと思ってしまっている部分もあります。いけないんですけどね。家に帰り辛い、そして帰るたびに喧嘩をしてまた家を出てゆくフーテンの寅さんの気分です。
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