午後八時、凪の潮騒が聞こえてくる静けさに妻がぽつりと言った。
「なんか、島で暮らしているみたいだよね」
二時間ほど前には眩しさに目を細めなければならないほどの夕陽に染まっていた海と空は漆黒の闇に包まれている。街灯りはほとんどなく、江ノ島の灯台が規則正しい心音のような明滅を繰り返しているだけだ。

「半島の夜」
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