都会の憂鬱なんて言葉がある。言葉にするとボードレールやランボーのような文学的格調もあるけれど、実際にはまるで良いものじゃない。生の空虚さなんて煙草と同じで健康に支障をきたすだけだ。かくいうぼくも都会暮らしの頃はいつも鬱々としていた。様々な化学物質の粒子で霞がかった空のような、奥歯の小さな痛みが消えないときのような心持ちでいることがほとんどだった。事実都会暮らしには郊外や田舎暮らしと比べて鬱病の発症リスクが20%高いというデータもあるそうだ。