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マクガイヤーチャンネル 第111号 2017/3/20
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おはようございます。調子にのって昼からビールなんて飲んでるマクガイヤーです。

やっぱり連休って最高ですね。



マクガイヤーチャンネルの今後の予定は以下のようになっております。



○3月25日(土)20時~

「最近のマクガイヤー 2017年3月号」

いつも通り、最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。

・最近の実物大ガンダム

・追悼 渡瀬恒彦

『キングコング:髑髏島の巨神』

『哭声/コクソン』

『劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』

『モアナと伝説の海』

『パッセンジャー』

『仮面ライダー×スーパー戦隊 超スーパーヒーロー大戦』

『映画 プリキュアドリームスターズ!』

『ホライゾン ゼロ・ドーン』


その他、気になった映画や漫画についてお話しする予定です。



○4月1日(土)20時~

「実録SFヤクザ映画としての『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』」

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』が4/2に最終回を迎えます。

この『オルフェンズ』、当初は『機動戦士ガンダム』の元ネタの一つだった『十五少年漂流記(あるいは『蝿の王』)』のアップデート版かと思われていましたが、どんどん東映実録ヤクザ映画のような趣となっていきました。ヤクザ映画もガンダムも大好きな自分としては見逃せない、そしてだからこそ一言も二言も言いたいガンダムになっております。『ガンダムAGE』とはえらい違いです!

そこで、実録SFヤクザ映画としての『オルフェンズ』について2時間みっちりお話するという放送を致します。是非ともAmazonプライムなどで最終回直前まで視聴した上でお楽しみください。



○4月29日(土)20時~

「最近のマクガイヤー 2017年4月号」

いつも通り、最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。

詳細未定



お楽しみに!



さて、今回のブロマガですが、『キングコング:髑髏島の巨神』についてです。


前回のニコ生放送ではピーター・ジャクソン監督版の『キング・コング(2005)』『闇の奥』について解説しました。

3/25より公開される『キングコング:髑髏島の巨神』は『地獄の黙示録』にオマージュを捧げた映画だそうです。『地獄の黙示録』は『闇の奥』を原作とした映画であることもあり、両方とも「コング」+『闇の奥』ということで、こりゃ期待が持てますね!――という締めで終わったのですが、その後、運よく試写会で観ることができました。

せっかくですので、『シン・ゴジラ』の時(http://ch.nicovideo.jp/macgyer/blomaga/ar1073711)と同じように、我が敬愛するブロマガ読者さんだけに映画の内容について簡単にお知らせしようと思います。特別ですよ!

絶対にネタバレしないように書きますが……信じるか信じないかはあなた次第です!



まず、1973年初頭という時代設定がたまりません。ちょうど米軍がベトナムから撤退を始めている年です。

主人公ジェームズ・コンラッド大尉を演じるトム・ヒドルストンは『コール オブ デューティ ブラックオプス』の主人公も所属していたMACV-S.O.G――南ベトナム軍事援助司令部 研究/観察グループ(Studies and Observations Group)、という名の特殊任務部隊(Special Operation Group)――に所属し、要人暗殺の秘密作戦に従事してきました。「コンラッド」の名前は、当然『闇の奥』の著者からの引用です。

彼にとって、ベトナムは己の全てを投じた場所でした。一度本土に帰還するも、戦争後遺症が原因で妻と離婚、居場所を探すように、またベトナムに戻ってきたのです。

それが、今更撤退するなんて……外面では受け入れていますが、内心では納得できていません。どんなに泥沼な戦争でも、どんなに米兵が死んでも、そんなん覚悟の上じゃないんかね? いや、共産主義を叩き潰すために、アメリカの栄光のために、最後の一人まで戦うんじゃなかったんかね? まだ左足も両足も残っとるのに!……とすずさんのようなことを考えています。

しかし軍属である限り、上官からの命令には逆らえません。部下と共に渋々と撤退準備を進めていると、MACV本部に呼び出されます。元グリーンベレー隊長であり、軍事顧問団時代の教官であったパッカード大佐(サミュエル・L・ジャクソン)の捜索、という名の暗殺指令を命じられます。


インドシナ半島から数百キロの洋上に、スカルアイランドと呼ばれる島がありました。航路や海流から外れており、常に白雲に覆われていることから、船や人工衛星による発見が遅れていましたが、地政学的には南北ベトナムの通信を秘密裏に傍受――盗聴できる絶好の位置にあります。

パッカード率いる小隊は、北ベトナム・ソ連間の通信を盗聴するレーダー基地建設任務のためスカルアイランドに上陸したのですが、通信が途絶えたそうなのです。

その後、幾つかのチームがパッカード捜索のために派遣されましたが、全員帰還せず、すべて失敗しました。当初はソ連軍コマンド部隊の関与も疑われましたが、真相は違いました。捜索チームの一人が手作りの筏で島から逃げ出し、輸送船に拾われ、帰還したのです。

島ではよほどのことがあったのでしょう。生存者からの聞き取り調査はPTSDによるフラッシュバックにより難航を極めましたが、彼の話によると、暴走したパッカードはスカルアイランドで原子狩猟生活を送っている原住民を近代装備による武力で服従させ、ジャングルの中で王のように振舞っているそうなのです。


インドシナでの白人酋長の誕生は、ソンミ村虐殺以上の大スキャンダルです。そして、米軍が撤退しきったら、スカルアイランドへの渡航は困難になります。秘密裡にパッカードを暗殺できるチャンスは、これが最後になるのでしょう。

“Terminate with extreme prejudice”

英語の法律用語で”without prejudice”というのがあります。「不利益にならないように」という意味ですが、これをもじった台詞をCIAのエージェントがつぶやく場面は、名シーンとして語り継がれるでしょう。

つまり、ジェームズ大尉に下されたのは、法律の枠外で始末(terminate)してくれ――パッカード大佐の暗殺命令でした。


気は優しくて力持ちなトビー・ケペル、紅一点の戦争カメラマンにして女スパイであるブリー・ラーソン、若くて経験は浅いものの有能さと賢明さに溢れたトーマス・マン通信兵などから成る部下と共に、コンラッドはスカルアイランドに潜入することになりました。

スカルアイランドへ向かう潜水艦の中で、コンラッドはパッカードの経歴を示す資料に目を通します。パッカードは19歳で士官学校を主席で卒業し、朝鮮戦争で活躍したものの、38歳で空挺部隊の訓練を受け、グリーンベレーに入隊しています。グリーンベレーの最高位は大佐です。この年齢で地獄の入隊試験を通過できることも驚きですが、真に驚くべきことは、出世よりも現場を選んだということに他なりません。

離婚してもベトナムの戦場に戻ってきたコンラッドは、自分と共通するもの――戦場という怪物に魅入られた心――をパッカードに感じます。


しかし、深淵を覗くものは深淵に覗かれる、怪物を覗くものは怪物に覗かれるのです。