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【第323号】ご当地映画の光と影
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【第323号】ご当地映画の光と影

2021-05-12 07:00
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    マクガイヤーチャンネル 第323号 2021/5/12
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    おはようございます。マクガイヤーです。

    先週の放送「こんな時だからみたい旅行映画たち」は如何だったでしょうか?

    またもや3時間近い番組になってしまいましたが、楽しい放送になり、満足しております。



    マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。



    〇5月30日(日)19時~「黒富野と白富野のあいだの『閃光のハサウェイ』」(日時が変更になりました、ご注意下さい)

    5月7日より映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』が公開されます。1989~90年にかけて発表された富野由悠季による同名小説を、3作かけて映像化する、その第1作目になるそうです。なんでも、ガンダムにとっての「正伝」である宇宙世紀作品を各種メディアで展開するプロジェクト『UC NexT 0100』の第2弾として制作されるそうです。

    『閃光のハサウェイ』が、いまこのタイミングで映像化されることに、驚きと納得の両方を感じてしまいます。発表当時、『閃光のハサウェイ』はイノセンスの象徴として過去作に登場したハサウェイ・ノアを抑圧された宇宙植民地の側に立つテロリストのリーダーとし、テロを繰り返す側の視点で描くガンダムシリーズとしては異端の物語だったからです。


    しかし、アメリカ同時多発テロ事件から20年が経ち、いまもまだ「テロとの戦争」の最中にあります。テロリストの視点から語る物語は珍しくなくなりました。

    富野由悠季の作風は『閃ハサ』以後どんどん「黒さ」を増しつつも、『ブレンパワード』を境に反転を迎えることとなります。一方で、「ガンダム」というコンテンツはサンライズの身売り以降、『SEED』『UC』でしっかりとブランド化しましたが、富野自身が『閃ハサ』のアニメ化に関わらないことにも、驚きと納得の両方を感じてしまいます。

    そこで、映画化に合わせて、『閃光のハサウェイ』を中心に富野由悠季とその作品群・作風について解説するニコ生を行います。


    ゲストとしてお友達の虹野ういろうさん(https://twitter.com/Willow2nd)をお迎えしてお送り致します。



    〇6月14日(月)19時~「最近のマクガイヤー 2021年6月号」

    内容未定

    いつも通り、最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。



    〇6月28日(月)19時~「押井守はオワコンなのか? 『ぶらどらぶ』と押井アニメの魅力」

    2021年2月よりアニメシリーズ『ぶらどらぶ』が配信されています。押井守が十数年ぶりに監督(総監督)を務めるアニメ作品です。

    パロディ・悪ノリ満載の、令和版『うる星やつら』とでも呼びたいハイテンションなコメディですが、残念なことに、あまり話題になっていません。

    『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』でも演出として押井と組んだ西村純二監督によれば、基本理念として掲げている「仕事終わりのサラリーマンが深夜になんとなくTVをつけたら流れていて、面白いとは思いつつも次の日には忘れているような日常に根差す作品づくり」を貫いているとのことですが、2度にわけてのネット配信ではなく、週一回の深夜放送だったらもっと話題になったのでしょうか。

    そこで、アニメ監督としての押井守を振り返りつつ、『ぶらどらぶ』について解説するニコ生を行います。


    ゲストとして声優の那瀬ひとみさん(https://twitter.com/nase1204)をお迎えしてお送り致します。



    〇藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄の作品評論・解説本の通販をしています

    当ブロマガの連載をまとめた藤子不二雄Ⓐ作品評論・解説本『本当はFより面白い藤子不二雄Ⓐの話~~童貞と変身と文学青年~~』の通販をしております。

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    また、売り切れになっていた『大長編ドラえもん』解説本『大長編ドラえもん徹底解説〜科学と冒険小説と創世記からよむ藤子・F・不二雄〜』ですが、この度電子書籍としてpdfファイルを販売することになりました。

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    合わせてお楽しみ下さい。




    さて、今回のブロマガですが、前回のニコ生できちんと説明しきれなかった「ご当地映画」について書かせて下さい。しまさんに「ちょっとぶれぶれだった」と言われましたので、きちんと説明します!



    ●「ご当地映画」とはなにか

    「ご当地映画」とはどんな映画でしょうか。

    番組では、「その土地での生活・体験・ディティールを魅力的に描いているが故に、思わず旅行に行きたくなってしまう映画」と説明しました。

    具体的な作品名を出せば、『ローマの休日』や大林宣彦の「尾道三部作」(『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』)のような映画のことです。

    どれも、ローマや尾道でしっかりロケをし、映画を観終わった後はローマや尾道に行きたくなります。公開から数十年経っても、『転校生』で二人が転がり落ちる御袖天満宮の石段や、『時をかける少女』でタイムスリップする艮(うしとら)神社の鳥居は、「聖地」として観光客が絶えず訪れています。『ローマの休日』で印象的なシーンが撮影されたトレビの泉や真実の口は現在でも人気スポットです。特にスペイン広場では、様々な人種の観光客が全員オードリー・ヘップバーン気取りでガンガン記念撮影していたのが今でも忘れられません。


    ●「ご当地映画」の違い

    一方で、大きく異なる点もあります。

    『ローマの休日』が公開される何百年も前から、ローマは世界的な観光地でした。バチカンという本当の聖地があり、皆がトレビの泉に後ろ向きにコインを投げ入れ、真実の口に手をつっこんでいました。

    しかも、『ローマの休日』はハリウッドが製作したアメリカ映画です。当然、登場人物たちは英語を喋ります。本作が公開されたのは、第二次大戦が終わってから8年後であり、アメリカ国内の観客に、観光旅行に行ったような気分になって貰うことが企画段階のテーマの一つであったことは想像に難くありません。同じようにローマを舞台にしていても、イタリア人が監督したイタリア映画である『甘い生活』『自転車泥棒』とは全く異なる映画です。

    『転校生』が公開される直前まで、尾道は単なる古里でした。大林監督は「尾道には新幹線も通らん、アンノン族も来ん、ディスカバー・ジャパンとも無縁じゃ。何とかして観光資源が欲しいんじゃ。お前のように古里を離れた人間には分からんじゃろう」、と言われたことが『転校生』を尾道で撮った動機であると書いています(https://megalodon.jp/2014-1120-0015-31/homepage2.nifty.com/ONO_MICHI/MENU/sannichi2006/20060903a.htm)。

    尾道は大林の出身地であり、幼き日を過ごした故郷であり、大林が故郷の風景に感じる郷愁が普遍的であるが故に、沢山の観客が感情移入したのです。尾道は『東京物語』の主人公の居住地であり、映画の冒頭とラストに出てきます。志賀直哉や新藤兼人の故郷でもあり、志賀の小説や新藤の映画にも尾道が出てきます(同じく尾道を故郷とする高橋源一郎の小説にはそれほど出てきませんが……)。

    しかし、いくら志賀の小説や新藤の映画に尾道が出てきても、観光客が尾道に押し掛けることはありませんでした。尾道が日本映画史における「心の故郷」となった理由は、「尾道三部作」があったからと言って良いでしょう。


    ●二種の「ご当地映画」

    ①有名な観光地を舞台とすることで旅行に行ったような気分になる映画

    ②世間的には無名だけれども、舞台とすることで作り手が思い入れを持っている都市や土地の魅力が自然と出てしまう映画

    つまり、「ご当地映画」には上記の二種類があるわけです。

     
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