おはようございます。マクガイヤーです。
半年に一度眼科に来てくれと言われていたのですが、3年ほどさぼっていたら、毎日3種類の目薬を5-6回点眼することになりました。同じくさぼっていた歯医者も、近いうちに行っておこうと思います。
マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。
〇5月30日(日)19時~「『閃光のハサウェイ』予習編 富野は何故『閃光のハサウェイ』を監督できないのか、あるいは、しなかったのか」(延期に合わせて内容が変更になりました)
5月21日公開予定だった映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』ですが、またもや公開延期になりました。時節柄、仕方がありませんが、残念です。
1989~90年にかけて発表された富野由悠季による同名小説を、3作かけて映像化する、その第1作目になるそうです。なんでも、ガンダムにとっての「正伝」である宇宙世紀作品を各種メディアで展開するプロジェクト『UC NexT 0100』の第2弾として制作されるそうです。
『閃光のハサウェイ』が、いまこのタイミングで映像化されることに、驚きと納得の両方を感じてしまいます。発表当時、『閃光のハサウェイ』はイノセンスの象徴として過去作に登場したハサウェイ・ノアを抑圧された宇宙植民地の側に立つテロリストのリーダーとし、テロを繰り返す側の視点で描くガンダムシリーズとしては異端の物語だったからです。
しかし、アメリカ同時多発テロ事件から20年が経ち、いまもまだ「テロとの戦争」の最中にあります。テロリストの視点から語る物語は珍しくなくなりました。
富野由悠季の作風は『閃ハサ』以後どんどん「黒さ」を増しつつも、『ブレンパワード』を境に反転を迎えることとなります。一方で、「ガンダム」というコンテンツはサンライズの身売り以降、『SEED』や『UC』でしっかりとブランド化しましたが、富野自身が『閃ハサ』のアニメ化に関わらないことにも、驚きと納得の両方を感じてしまいます。
そこで、映画の予習として、富野由悠季の創る『ガンダム』とその影響について解説するニコ生を行います。
ゲストとしてお友達の虹野ういろうさん(https://twitter.com/Willow2nd)をお迎えしてお送り致します。
〇6月14日(月)19時~「最近のマクガイヤー 2021年6月号」
内容未定
いつも通り、最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。
〇6月28日(月)19時~「押井守はオワコンなのか? 『ぶらどらぶ』と押井アニメの魅力」
2021年2月よりアニメシリーズ『ぶらどらぶ』が配信されています。押井守が十数年ぶりに監督(総監督)を務めるアニメ作品です。
パロディ・悪ノリ満載の、令和版『うる星やつら』とでも呼びたいハイテンションなコメディですが、残念なことに、あまり話題になっていません。
『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』でも演出として押井と組んだ西村純二監督によれば、基本理念として掲げている「仕事終わりのサラリーマンが深夜になんとなくTVをつけたら流れていて、面白いとは思いつつも次の日には忘れているような日常に根差す作品づくり」を貫いているとのことですが、2度にわけてのネット配信ではなく、週一回の深夜放送だったらもっと話題になったのでしょうか。
そこで、アニメ監督としての押井守を振り返りつつ、『ぶらどらぶ』について解説するニコ生を行います。
ゲストとして声優の那瀬ひとみさん(https://twitter.com/nase1204)をお迎えしてお送り致します。
〇藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄の作品評論・解説本の通販をしています
当ブロマガの連載をまとめた藤子不二雄Ⓐ作品評論・解説本『本当はFより面白い藤子不二雄Ⓐの話~~童貞と変身と文学青年~~』の通販をしております。
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また、売り切れになっていた『大長編ドラえもん』解説本『大長編ドラえもん徹底解説〜科学と冒険小説と創世記からよむ藤子・F・不二雄〜』ですが、この度電子書籍としてpdfファイルを販売することになりました。
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合わせてお楽しみ下さい。
さて、今回のブロマガですが、映画『X-ミッション』について書かせて下さい。今こそオザキ8精神が必要な時だと思うのですよ。
●思想の過激さこそがエクストリームスポーツの特徴
好評だった前回の放送「こんな時だからみたい旅行映画たち」ですが、意外なことに映画『X-ミッション』でしまさんと盛り上がってしまいました。なんとしまさんも『X-ミッション』が大好きだというのです。あんなに評判が悪い映画なのに! Rottentomatos(https://www.rottentomatoes.com/m/point_break_2013)でも最低に近い評価なのに!
『X-ミッション』については以前ブログで書きました(https://macgyer.hatenablog.com/entry/20160311/1457627950)が、簡単に書くと、『ハートブルー』の過剰なリメイクです。
銀行強盗グループに潜入捜査したら、サーフィンやスカイダイビングの達人であるリーダーのカリスマ性に惹かれてしまう――というお話が『ハートブルー』ですが、サーフィンやスカイダイビングをエクストリームスポーツ全般に増やし、これに合わせて、ロサンゼルスという一都市ではなく世界中でロケし、更にエクストリームスポーツを使って犯罪行為をするグループに設定する――というラーメン二郎の全マシマシのごとく過剰に、つまりエクストリームに、バージョンアップされています。
それでは、エクストリームスポーツとは何でしょうか?
単に危険なだけ、単に肉体を過剰に酷使するだけであれば、エクストリームスポーツと呼ばれるわけではありません。「普通のスポーツ」全般と比較した場合のエクストリームスポーツの特徴は、競技に勝つ事を目的とするのではなく、人を寄せ付けないような自然を楽しむことや、身体的かつ精神的に向上することを最大の目的とすること――自身の精神的満足や個性の確立を目指すことに、最大の特徴があります。
これは、オリンピックで金メダルを獲ることが賞賛されたり、ワールドカップで優勝することが最大で最終の目的となる「普通のスポーツ」に身を置いている人間からすれば、過剰で過激な思想となるでしょう。
つまり、思想の過激さこそがエクストリームスポーツの特徴なのです。
服装の乱れから開かざるを得なかったオリンピックの記者会見で「チッ、うるせえな」と思わず呟いてしまう國母や、ロープや安全装置を一切使わない「フリーソロ」というスタイルで山や絶壁を登るアレックス・オノルドは、世間一般の価値観よりも、自分の中の価値観を重視しています。このような思想が世間からは「過激」と映るからこそ、エクストリームスポーツのプレイヤーなのです。
リヤカーで大陸を横断する永瀬忠志や、無補給単独徒歩で(歴史のある南極ではなく)北極点到達を目指す荻田泰永も、本人たちは嫌がるかもしれませんが、エクストリームスポーツ・プレイヤーでしょう。
●「オザキ8」とはなにか?
ただ、エンターテイメント映画で「自然を楽しむ」とか「精神的な成長」といったことを、分かり易く描くことは、かなり難しいです。
「自然」をそのまま撮ることは誰でもできますが、それを「楽しむ」ところを描くには、そのまま撮るだけでは不十分です。「精神的な成長」を描くためには、なにかの競技で勝利したり、貴重な何かをゲットしたりといった、社会的・物質的成長以外のなにかを描く必要があります。
「主人公の目的はなにか」、「次になにをすべきなのか」、「何を達成すれば物語が終わるのか」……そういったことを明示し続けるのがエンターテイメント映画の必要条件なのですが、「自然を楽しむ」とか。「精神的な成長」とかいったものは、ゴールが様々でありつつぼんやりとしすぎているからです。