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マクガイヤーチャンネル 第43号 2015/11/30
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こんにちは。マクガイヤーです。
いやー、『007 スペクター』、期待を裏切らない面白さでしたね。
この先も『グリーン・インフェルノ』、『フォースの覚醒』、『ブリッジ・オブ・スパイ』と楽しみな映画が続きます。ウザい年末仕事もなんとかこなす気力が沸いてくるというものですね。
タクジさんとお送りした前回の放送「切り絵とウルトラ怪獣の夕べ」は如何だったでしょうか?
アートディレクターの青木克憲さんにカミロボの安居智博さんという豪華ゲストをお向かえして計四人でお送りしましたが、切り絵とウルトラ怪獣の魅力について語りまくりました。特に、最後の怪獣大喜利は大盛り上がりでしたね! 充実の一回になったと思います。
タクジさんの展覧会は12/13まで勝どきの@btfにて開催中です。
展示会詳細 : 「切りグラフ ふせんで作るウルトラマン&ウルトラ怪獣」発刊記念展皆も行ってみるといいよ!
今後の放送予定ですが、以下のようになっております。
○12/5(土)20時~
「ニコ生マクガイヤーゼミ 今だから復習したい『007 スカイフォール』とサム・メンデス」
12/4(土)より『007』シリーズ最新作『007 スペクター』が公開されます。
そこで、前作『007 スカイフォール』と両作の監督であるサム・メンデスについて解説する予定です。
是非とも『スカイフォール』を観賞してから放送をお楽しみください。
○12/26(土)20時~
「Dr.マクガイヤーのオタ忘年会2015」
例年お楽しみ頂いている「オタ忘年会」。2015年のオタク的トピックスやアイテムについて独断と偏見で語りまくる予定です。
とりあえず、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』については絶対に触れる予定です。
○1/9(土)20時~
「ニコ生マクガイヤーゼミ 今だから復習したい『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』とスピルバーグ」
1/8(土)より久しぶりのスティーヴン・スビルバーグ監督作『ブリッジ・オブ・スパイ』が公開されます。
手塚治虫漫画が白手塚と黒手塚に分けられるように、スピルバーグ監督作品も白バーグと黒バーグに分けられます。白バーグと黒バーグ両方の要素を併せ持つ『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』を観て、『ブリッジ・オブ・スパイ』に備えようという企画です。
是非とも『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』を観賞してから放送をお楽しみください。
以上、ご期待ください。
さて、今回のブロマガですが、連載『遺言』をちょっとお休みして前回のニコ生「切り絵とウルトラ怪獣の夕べ」の裏話などさせて下さい。
まず、タクジさんから著書『切りグラフ ふせんで作るウルトラマン&ウルトラ怪獣』の出版に合わせてニコ生をやりたいとの打診を受けまして、打ち合わせをしたわけです。
で、タクジさんのキリグラフことふせん切り絵と、ウルトラ怪獣のデザインとしての魅力について語るような内容にしよう……となったわけです。
この時点で、ウルトラマンやウルトラセブンといったウルトラ一族についてはガン無視です。『切りグラフ ふせんで作るウルトラマン&ウルトラ怪獣』は、一章を割いてウルトラ一族の切り方について扱っているのですが、取り扱う気は最初からありませんでした。
何故なら、ウルトラマンよりウルトラ怪獣の方が大好きだからです。
こう感じる人は、私だけではないでしょう。
スーパー戦隊や仮面ライダーといった東映特撮と円谷特撮最大の違い(の一つ)はここにあります。主人公であるヒーローよりも、敵役であり悪役である怪獣の方に魅力を感じてしまうのです。
仮面ライダーやスーパー戦隊の悪役である怪人や悪の組織の幹部たちもそれなりの魅力がありますが、ウルトラ怪獣、特に初期のウルトラ怪獣ほど何十年も生き残っているわけではありません。クモ男や黄金仮面や武者仮面たちのソフビ人形やフィギュアを探すのは苦労しますが、ベムラーやバルタン星人のそれらは今現在でもトイザらスで購入することができますし、アラフォー、アラフィフのオトナのお友達の手慰み物だけではなく、現役の幼稚園児や小学生も遊んでいるわけです。
その理由は、当然、成田亨や池谷仙克といった初期ウルトラ怪獣デザイナーたちの才能にあります。
勿論、ウルトラマンやウルトラセブンも成田亨によるデザインです。ただ、ウルトラ一族のデザインは、基本的にウルトラマン型(シルバー族)とウルトラセブン型(レッド族)の2種のバリエーションしかありません。ウルトラマンとウルトラセブンのデザインがあまりにも完成されすぎているため、タロウのように角を生やすか、アンドロメロスのようにアーマーを着けるくらいしかやりようが無かったのです(ここら辺、どんどんデザイン的な自由さを拡張してきた平成ライダーと、『ネクサス』や『X』に至っても保守的だった平成ウルトラマンを比較すると面白そうです)。
一方で、怪獣デザインには無限の自由があります。
更に、打ち合わせをしていくに連れて、金城哲夫や上原正三による文藝面、実相時昭雄による映像演出面についても語らねば、という流れになりました。怪獣のデザインはドラマとシンクロしています。『帰マン』の怪獣デザインは、池谷仙克の降板後、プロデューサーの熊谷建が行いました。画家としても活動していたとはいえ、プロデューサー自らが怪獣デザインを行うというのは異例のことです。何故かというと、怪獣のイメージやデザインがある程度決まっていないと物語が作りづらく、脚本の打ち合わせをしながら怪獣のデザインをしていったからだそうです。
そういうわけで、『Q』『マン』『セブン』『帰マン』のお話や怪獣たちについて熱く語りまくる予定だったのですが……『セブン』の怪獣や星人についてちょこっと語ったところまでで時間切れとなりました。
まぁ、奥の深すぎる分野なので、仕方ないですよね。
ちなみにトピックだけ書いておくと
・ギエロン星獣とアイロス星人:鳥怪獣の魅力
・ダンカンとビルガモと怪獣のキュートさ
・ペガ星人:池谷仙克デザインとファッションからの怪獣デザインと出渕裕怪人デザインへの影響
・クレージーゴンとキングジョー:ロボット怪獣の魅力と着ぐるみ造形の質感問題
・第四惑星人:ゴダールの影響
・サドラー、グドン、キングザウルスIII世:池谷による『マン』怪獣
・ベムスター:熊谷健デザインの最高峰
・キングストロンと(クプクプ)とエレドータス:怪獣と少年
・ナックル星人とブラックキング:テレビ特撮番組における殺人
・ミステラー星人:伊上勝と井上敏樹脚本
・ヤメタランスとササヒラーと妖怪としての怪獣
・ウルトラシリーズと本多猪四郎監督
……等々について語る予定でした。どこかで話したり、書いたりする機会もあるかと思います。怪獣大喜利が大盛り上がりしたのでよしとしましょう。
「おれが考えたウルトラ怪獣」などもやろうかどうか迷ったのですが(打ち上げではタクジさんに「もっと早く言ってよ」などと言われましたが)、なんだか三体くらい描かないと満足できないような気がするので、これもまたの機会ということですね。
面白かったのは、こんなにバックグラウンドが違う出演者なのに、ちょっと話題にした『帰マン』33話『怪獣使いと少年』が屈指の名エピソードであるという点について意見の一致をみたということでした。『怪獣使いと少年』は放送時に議論を巻き起こしたエピソードでしたが、作り手が力を入れた作品なら、結局のところ歴史に残るわけですね。