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matusiroさん のコメント

明治維新を「半市民革命」か「半封建的クーデタ」かと言う論議があったように思う。明治維新そのものは「半封建的クーデタ」であろうと思う。明治維新の対立構図は「倒幕」か「公武合体」かであった。大政奉還後「公武合体」で歴史が進んでいれば、徳川家は存在し、諸藩連合のリーダーとして『絶対君主』的な役割を担った可能性は高い。欧州に見られる「絶対君主制」に近い形態だった可能性もある。(天皇は従来通り、宗教上・儀礼上の象徴的存在)
薩長の「倒幕」勢力が、「公武合体」勢力を抑え政権奪取の成功したのは、武力=軍事力・諜報力の差である。薩長軍は、英(グラバー、アーネスト佐藤、パークス公使)の指南を受け、薩摩ファイブ+長州留学組がエージェントとなり、倒幕クーデタを成功させた。基本的なシナリオは”英”(諜報部とマセソン商会)が作り、エージェントが動き、「明治維新」のクーデタを成功させた。明治政府は”英”と特別な関係をず~と維持した。クーデタ成功のカギは”武器”と”諜報”である。英仕込みの「400m直進し、正確に的を射る銃」と、「100m飛ぶが精度は?の銃」の差が、象徴的に示している。
現代は露骨な武力の戦いの前に”情報戦”である。米大統領選挙の例が象徴的である。ケネディ対ニクソン(テレビ映り)、オバマ対ヒラリー(テレビ映り+メデイア)、トランプ対ヒラリー(<メデイア>+SNS)と、情報媒体の活用の仕方が勝敗の決定的な要因になっている。新しく効果的な”情報媒体”を、どれだけいち早く、効果的に活用できるか、が決定的である。韓国の”政権移行”もSNSが大きな影響を果たしている。
日本の革新と言われる勢力が、現政権を追い詰め、打ち負かすには、圧倒的な情報戦で勝つ以外に方法はない筈。現状は圧倒的に負けている。その舞台はマスメデイアである。槍・刀に鉄砲で打ち負かしたように、マスメデイアの土俵ではなく、SNSなどの新たな”武器”で圧倒的な優位に立つことから出発するしかない筈だ。体中から”血が噴き出すように”、みんなが発信し、みんなが受け止め、繋がる条件はインフラ的には出来ているのだから。
ところで、明治維新が”市民革命的”でなかったこともあり、「日本人は、何故為政者の言いなりになって、自分の意思表示や、異を唱えて立ち上がらないのか?」と言う疑問があります。
江戸幕藩体制のなかで、人民の支配ポリシーに”生かさず殺さず”と”由らしむべし、知らしむべからず”があります。要するに、半ば「奴隷」として収奪の大勝である人民は、”自由意志を持たせてもいけない。と言っても死なせしまっては元も子もない”、大した疑問を感じず大人しく従わせるには”支配者に頼らせるように仕向けるべき、そのためには、余分なことを考える情報を与えてはいけない”と言うものです。嘘で固められた安倍政権がやってる、「今の日本の現状そのもの」であるようにさえ見えます。
何故、日本人はこれほど「従順」にしつけられてしまったのでしょうか? 
私は、日本の地政学的な条件と、江戸幕府の一元的支配(鎖国も含む)が、”権力に従順な日本人”を形作ったと思います。
四方を深い海に囲まれ、他国も容易に侵略は出来なかった。民族皆殺しや民族奴隷化の過酷な現実はなかった。逆に、一定の人口(生産力)を抱え土地に縛り付けられた農耕中心の国家であり、戦は有っても戦い終われば”敵も貴重な労働力”なので、温情的な妥協が成立していた。それは、上記の支配者ポリシーに対応する”庶民の哲学、”我慢が大事、反抗さえしなければ、殺されることはない””主張よりも目先の飯(利益)”と言う打算が定着する土壌だった。
さらに、幕藩体制と言う二重権力構造だったが、実際は農民を個人(各戸)単位に、徳川幕府が「一元的」な関節支配を行っていた。儒教、檀家制度、検地、人別長んど、官僚制度も整備されていた。当然、支配のノウハウは非常に完備し、人民の反攻の余地を残させなかった。高野長英も全国を逃げ回ったが、国外逃亡はならず(せず?)、捕縛され絶命している。
日本は江戸時代以降、地政学的にも、生活空間的にも、情報空間としても、完全な”箱庭社会”だと思う。このなかから、自立的な日本人が生まれてくるのは「世界に触れた日本人」から。だいたい、今”きちんとした自分の主張”をする人は仕事や趣味で海外に触れた人が多い。情報を自分の眼で確かめ、批判的に咀嚼する(習慣・訓練)能力を持つことが必要だけど、日本のメデイア(あるいは教育)ではもうまともな情報がなくなって来た。本やネット、SNSで自覚的に探すしかない時代だ。
幸い、今度の選挙で「希望の党」(小池魔術)のいかがわしさに多くの国民が気づき、いわゆるマスメデイア総動員の「劇場型選挙(騒動)」を見抜きだして、どちらかと言うと、モバイルやPCなどのネット&SんS情報への信頼を寄せ始めているのが救いである。
革新勢力は「情報戦=情報ツール」で圧倒的な優位を持たなければ、いつまでも「物言わぬ従順な日本人」は続くだろう!

No.12
80ヶ月前
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アイゼンシュタットは1923年ワルシャワ生まれ。ヘブライ大学教授。ハーバード大学、スタンフォード大学等で客員教授。『日本比較文明論的考察(二〇〇四年岩波書店)』  からの引用 ・明治国家の最大の特徴は、驚くべき速度で、高度な政治的・行政的中央集権が達成されたことである。行政の中央集権化は、幾つかの段階を経ながら、次の三つの特徴を備えていった。(1)統合の中心的権威としての天皇の名における支配、(2)統合的な中央官僚制による直接支配、(3)国民皆兵制、士族の廃止、統一的権利の制定における国民の平等。日本は何百もの大名の支配から統一国家へと姿を変えていく。江戸時代の半自律的な地方権力や法的伝統は、全国共通の法制度によって取って代わられ、中央権力が全国津々浦々に浸透していった。 ・明治日本の新しい政治制度の設立は、欧州の国民国家における国家建設の過程と似通っていた。いや、多くの点
孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。