りゃんさん のコメント
このコメントは以下の記事についています
・北朝鮮は29日午前 3 時ミサイルを発射した。最高高度4500キロ、飛行距離 960 キロ、角度を上げて飛行距離を縮めるロフテッド軌道を取った。これらで、米国本土全域を射程に収める能力を持つことが示された。
・これらのことは何を示すか。
国際社会の制裁によって開発を止める手段が機能しないことを示している。
・北朝鮮がミサイル開発、核開発を飛躍的に増大した背景には、歴史的に検証されるべき事実であるが旧ソ連の軍事技師の貢献があるとみている。
ソ連が崩壊し、ロシアが米国と覇を争わなくなった時期、旧ソ連のミサイル、核兵器の技術者は大量に失業に追い込まれた。
私は、 1999 年から 2002 年駐イラン大使であった時、旧ソ連のウクライナから大量に軍事技術者が送られている事実を知っている。ここからして、イランより核兵器、ミサイル開発に熱心な北朝鮮が旧ソ連軍事技術者から、技術導入を計っ
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kokusaiseiji1957/1958/5/1958_5_40/_pdf
54ページあたりに要約的な記述がありますが、それをみてわかるのは、
1、キッシンジャーの戦略は、全面戦争(*1)への拡大をふせぎつつ核兵器をもちいた限定戦争(*2)をおこなうにはどうしたらいいかを、当時のソ連を想定しつつ、考察しているのであり、核兵器の不使用の戦略ではなく、先制不使用の戦略ですらないこと。
2、孫崎さんの引用している「どんな紛争においても国家の生存という問題がそれに巻込まれないような枠を作ることが、アメリカ外交の仕事である。」につづいて、「しかし同様に、中間目的(*3)を達成しようとする決意、いかなるソ連の軍事的な動きに対してでも力で抵抗するという決意について、疑問を残
さないようにしなければならない。」とあること
がわかります。
そして、限定戦争が全面戦争にむかわないための補助線として、
3、アメリカが限定戦争政策の立場を堅持すれば、ソ連をして、全面戦争に訴えるか、限定戦争の段階に止るかの苦しいジレンマに直面させることができる。
を想定していることがわかります。
ただちに気づくことですが、これはすでに核兵器をもっているソ連という相手に対する戦略なのであり、今の北朝鮮のように、核開発放棄そのものを「国家の生存という問題」と定義している場合はキッシンジャー戦略の想定外であるということです。
キッシンジャー自身がこの論文が書かれて以後どう考えているのかは知らないし、キッシンジャー以外の理論家がキッシンジャーを改変しつつなにかの説を唱えているのかも知れませんが、私の想像では、今回のような事態は米国にとってもはじめての事態でキッシンジャー理論が通用しない事態であり、なにかもともと決まった戦略があるわけではないとおもいます。ですから孫崎さんも、キッシンジャー理論に自分の立場を応援してもらおうなどとは考えないほうがいいのではないでしょうか。
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