• このエントリーをはてなブックマークに追加

りゃんさん のコメント

抽象的・大所高所的なはなしにいくのではなく、ドイツの現状を具体的詳細的技術的に分析していくことが、日本の脱原発議論に資するとおもいます。そういう意味で、今回孫崎さんが紹介しているような、「フクシマの衝撃を語るような」議論は、もうやや古い感じですね。われわれの世代としては、すでに「フクシマ後」のさらに後の議論をする必要があるとおもいます。ま、高齢者にそれは求めませんが。

以前にも書きましたが、私自身は、使える日本の原発は寿命まで再稼働していけばいいという考えですが、すぐに廃炉するのも、民主的な決定であればかまわないという考えです。よほどの原発至上主義者でなければ、あるいは画期的な原発についての技術革新でもなければ、原発が数十年単位でみれば日本から消失していくこと自体はだれでも受け入れてることであり、問題はその数十年間をどうすごすかというはなしなわけです。

たとえば、「ドイツは原発推進のフランスからエネルギーを買っているから脱原発が出来るという説があるが、電力の輸出入バランスでは、ドイツはフランスに対して出超である」という話題がでていますが、電力はトータルも大事ですが瞬間的需要が重要です。必要な「そのとき」電力が不足していては、必要でないときにいくら発電できようと、停電になる。そういう意味で、原発の電力供給の安定さが、再生可能エネルギーの不安定さに比べて、重要な特質なのですが、その点のごまかしが議論にないのか。

また、ドイツには豊富な褐炭があるので、ガス等を輸入しなければならない日本に比べて、火力発電のコストは非常に安いのですが、CO2の問題はおくとしても、今後確実に貧しくなり、一方で高齢者の医療費が飛躍的に増大していく日本で、ガスを輸入するようなぜいたくが許されるのか。

ドイツでも電気代は高くなっていますが、ドイツの国力に比べてユーロが非常に安いせいで、製造業大国の地位は失っていません。しかし、日本で、少子高齢化のうえに電気代が高くなれば、ほんとうに製造業は日本からなくなるでしょう。それでいいのか。

いろいろ考えるべき問題はありますね。
その一方では「沢藤電機、アンモニアから水素製造 装置、高出力化にメド」
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO3105444028052018L60000/
というニュースも昨日あり、蓄電技術の研究がすすんでいることもわかり、明るい感じもしました。イデオロギーでアタマのくさったヒトビトではなく、理系の研究者にこそ日本の未来はあるのだとおもいます。
No.4
78ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
ドイツ・社会民主党ミュッツェニヒ議員は主として、北朝鮮問題に日本はどう対応するかを取材に来て、私も意見交換をした。夕食を挟んでの意見交換もあったので、ドイツの脱原発についての見解を伺った。同人の発言次の通り。 1:ドイツが完全に脱原発出来た事には、幾つかの要因が重なっている。  (参考:メルケル首相は原子力擁護派であったが、福島事故後、原子力批判派に変わり、、東日本大震災からわずか 4 ヵ月後には、原子力発電所を 2022 年末までに全廃することを法制化した)。 脱原発は70年代等に原発建設反対に成功した場所もあり、それが地域の政治と密着して、「緑の党」等の多くな政治勢力を構築していた。 チェルノブイリ原発事故で、原発の危険性が認識された。 (参考: 1986 年のチェルノブイリ事故で放出された放射性物質は、ドイツ南部を中心に土壌や農産物、野生動物を汚染した。) ドイツにおいて
孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。