りゃんさん のコメント
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『智恵子抄』より、「報告( 智恵子 に)」
日本はすつかり変りました。
あなたの身ぶるひする程いやがつてゐた
あの傍若無人のがさつな階級が
とにかく存在しないことになりました。
すつかり変つたといつても、
それは他力による変革で
(日本の再教育と人はいひます。)
内からの爆発であなたのやうに、
あんないきいきした新しい世界を
命にかけてしんから望んだ
さういふ自力で得たのでないことが
あなたの前では恥しい。
あなたこそまことの自由を求めました。
求められない鉄の囲かこひの中にゐて、
あなたがあんなに求めたものは、
結局あなたを此世の意識の外に逐おひ、
あなたの頭をこはしました。
あなたの苦しみを今こそ思ふ。
日本の形は変りましたが、
あの苦しみを持たないわれわれの変革を
あなたに
12月8日
記憶せよ、12月8日。
この日世界の歴史改まる。
アングロサクソンの主権、
この日東亜の陸と海とに否定さる。
否定するものは彼らのジャパン、
眇(びょう)たる東海の国にして
また神の国たる日本なり。
(以下略)
もうひとつ、
鮮明な冬
黒船以来の総決算の時が来た 民族の育ちが それを可能にした
長い間こづきまわされながら なめられながら しぼられながら
仮装舞踏会まであえてしながら 彼らに学び得るかぎりを学び
彼らの力を隅から隅まで測量し 彼らのえげつなさを満喫したのだ
(以下略)
専門的にはいろいろ議論があるのかもしれませんが、わたしのもつ印象は、
高村光太郎は、詩はものすごく上手ですが、思想的には、「時代の子」でした。
戦争がはじまれば戦争の意義を考え、戦争が終われば反省する。意義も反省も、
どこかから拾ってきたものです。つまり、ふつうの日本人です。
いま彼が存命なら、どういう詩を書くか。複雑すぎて、政治や国際関係がかかわる方面の詩は
書かないかもしれません。
それによく読むと、今回孫崎さん掲載の詩も、取りようによっては単純に戦後を
よしとはしていないようにも読めますね。
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