p_fさん のコメント
このコメントは以下の記事についています
私はイラン・イラク戦争の時、イラクで勤務していた。戦争が終わってカナダに赴任になった。カナダ外務省のアジア局長とは懇意になり食事も一緒にした。私はこの局長に次のように嘆いた。局長はフランス系である(そのことは重要な意味を持っているのだが)。
「オタワは素晴らしい。町は清潔だ。文化水準も高い。先日ベラフォンテを聴きに行った。ゴルフは出来る。スキー場も近くにある。家族は満足している。でもね、一寸不満なこともある。日本とカナダの関係は良好だ。外交的に何の問題もない。つまり私には仕事がない。これまでのソ連やイラクや英国などでは仕事は山のようにあった」
局長は笑いながら「あなたは馬鹿だ」と言う。私は驚いて「何故」と聞く。彼は次のように解説した。
「日本の外交で一番重要なのは対米外交でしょう。対米外交で一番苦労しているのはどの国ですか。カナダですよ。“米国との関係をどうするか”、我々位苦労してきた国は
これは局長氏の実感に違いないが、額面通りには受け取れないと思う。同じアングロサクソン仲間のカナダと、「実験したくて」2発も原爆落とした日本とでは、米国が無茶振りする度合いも かなり差があるだろう。
それはさて置き、ピアソンは文句無しに素晴らしい。50~60年代の黒澤映画を見る日本人なら皆そう思うのでないか。「アベとピアソン」なる映画が世界中で見られた日には、大衆に高く評価されるのはピアソンで、馬鹿にされるのがアベだ。
久しぶりに繰っていた ご著書「カナダの教訓 超大国に屈しない外交━帯:国力は10分の1以下。それでも、アメリカの言いなりにはならない」より-
「アメリカとつきあうときには、自分の考えをしっかり確立することが、必要だ。思想に一貫性をもつことも重要である。見識なく、アメリカの言うことを はいはいと言って聞いている者は、結局アメリカに馬鹿にされる。
アメリカは広く、許容度の高い国だ。しっかりした思想があれば、誰かが、耳を傾け、敬意を払ってくれる。しかし、アメリカと見解を異にするときに、どういうふうに、アメリカ側に伝えるかは、きわめて重要である。個人的チャネルを使い、ハイレベルに伝わるようにする。両国の差異を無用に公開し緊張を高めることは、避けねばならない...いま思うのは、アメリカでは大変に知的水準の高い連中が政策立案過程にいるということだ。それだけに、いいかげんな考えで対応したら、すぐに知的に劣等生扱いをうける。対等なパートナーとはみなされない...」(トルドー政権時の政府高官)
Post