• このエントリーをはてなブックマークに追加

りゃんさん のコメント

1,「棚上げ合意がない」ということになったらどうなるのか

と孫崎さんは嘆いて見せるが、だれが棚上げ合意があったと言っているのか。日本はもちろんそんなことは言っていないが、では中共がいま現在、「棚上げ合意があった」といっているのか。そこだけ考えてみても、孫崎さんの立つ場所の虚構性は明らかだ。中共は昔はともかく、侵略できるだけの武力をととのえたいま現在、日本の棚上げ論者を必要としない。

孫崎さんがみずからの評論の立場を信じるのなら、中国大使館に「棚上げ合意があったはずではないか」と、いま現在の中国の所業に対し抗議のひとつもしてみたらどうだろう。

いや、孫崎さんだけでなく、棚上げ論者は、中国大使館に聞いてみればいいのだ。「中国は棚上げ論ですよね?」と。そして、それにたいする返答をしらせてほしいものだ。


2,「先占の法理」にも孫崎さんは念入りに否定的解説を加えている。しかし1885年から1970年までの長きあいだ、清にしろ、中華民国にしろ、中共にしろ、領土主張をしたことがあるのか。先占ののち敗戦まで日本は尖閣で具体的な行政活動や民間事業活動をおこない、他国からの抗議のないなか実効支配していた。また戦後は尖閣諸島の一部に米軍の演習場がおかれ、日本人に借地料が払われていた。抽象論ではなく、こうした具体的事実になんの効力も認められないなら、ある日突然、中共が九州は自国の領土だ、古い中国神話に根拠がある、なのに日本が勝手に使用していたのだ、と言い出しても、理があることになる。


3,孫崎さんは、敗戦日本の領土処理規範としてカイロ宣言、ポツダム宣言、サンフランシスコ平和条約をもちだすが、結局のところ、日本はこれらに違反して尖閣を領有しているといいたいのか。そうなのだというなら、敗戦国がどうやってこれらに違反できたというのか説明してもらいたい。違反してないのなら、ほかに日本の領土を決める規範はないのであり、尖閣は日本領土だということだ。

結局のところは、たったこれだけの単純なはなしであるはずなのに、問題が複雑化する元凶は、日本ではなく実は米国なのである。つまり、大西洋憲章、カイロ宣言、ポツダム宣言、サンフランシスコ平和条約というみずからの定立した規範にそっておこなった戦後処理を、あとになって知らん顔して中共にも良い顔をしようとするからいまのようなことになる。

これは尖閣以外でも今現在も続いているはなしであり、オバマの中国に対する「戦略的忍耐」により、日本だけでなく、多くのアジア諸国、とりわけ南シナ海に関係する諸国は被害を受けた。そうしてこれら諸国が米国から離れようとすると、こんどバイデンはまた関与を強めようとしていくことであろう。こういう身勝手さが、米国の邪悪さに直結してゆくのである。
No.11
45ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
1:尖閣諸島の領有は、日本、中国、台湾が各々領有を主張し、国際的にみて、どの国の主張が正しいとはみなされていない。  日本は尖閣諸島を固有の領土と位置付けているが、それは正しくない。  まず日本の主張を見てみたい。 ①      1885 年:沖縄県を通じて尖閣諸島の現地調査を幾度も実施。無人島であることだけでなく、 清国を含むいずれの国にも属していない土地であることを慎重に確認 ②      日清戦争、 1894 年(明治 27 年) 7 月 25 日から 1895 年(明治 28 年) 4 月 17 日にかけて日本と清国の間で行われた戦争 ③      1995年1月 14 日閣議決定で日本の領土(沖縄県)に編入( 先占の法理 )  注:※先占の法理とは:どこの国にも属していない場所を先に実効支配した国が その領土を主張できるという、国際法で認められる領有権取得の方法  この日本の主張で、今日、一番弱いのは国際法上の「先占の法理」である。   「先占の法
孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。