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りゃんさん のコメント

なお、まともな疑問の点については、今回は特別にこたえておこう。

まず、「固有の領土」は中国も使っている。
http://www.china-embassy.or.jp/jpn/zrgxs/zywj/t973306.htm

日本しか使っていないという誤解は、概念をよく知りもしないで思い込みで振り回したために起きたものなのだろう。

なお、引用した中国側の主張を読めば、中国が「棚上げ論」にたっていないことも明らかだ。

「固有の領土」はたしかに定義がややあいまいな言葉だが、日本側の主張を読めば、「外国のものであったことのない」、中国の主張を読めば、「中国の領土の不可分の一部」といったような意味である。日本側の主張には、「帝国主義的に奪ったものではない」という意味がこめられているとおもわれ、中国側の主張を読めば、「不当に帝国主義的に奪われた」という意味がこめられているとおもわれる。

「固有の領土」論は、まさに日本が中韓北露にかこまれて侵略されているからおきるわけで、欧米諸国では用語として使われていないのは当然である。こうした議論は日本が最前線なのだ。なんでもかんでも、欧米で使われていなければ価値がないとおもう考えは、骨がらみかもしれないが、やめたほうがいい。

中国の主張は、仔細に検討すれば、近代的な領土概念に沿ったものではなく、近代以降の国際法上の価値のない主張である。欧米のおしつけた国際法を守る価値はないという反論は中国側からありえるが、だからといって、伝統的な華夷秩序を支持する国など、(中国以外)どこにもない。さらにそもそも領土主張をはじめるまえは、(当時米国に対抗して)積極的に日本側の領土としていたことをシレッと黙ってる。

沖縄については、そもそも日本以外に自国領土と主張している国はないので(尖閣を奪われるようなことがあれば、将来的にはそう主張してくる国が出てくる可能性は高いが)、日本の「固有の領土」かどうかを論じる利益はないが、論じろというのなら、上でした議論にしたがえば、「固有の領土」ではない。

しかし、重要なのは、沖縄返還運動である。このとき瀬長亀次郎ら運動の指導者は、熱烈に日本への復帰を希求し沖縄民衆の支持を得た。独立でも、米国の属州になることでも、ましてや中国の一部になることでもなく、日本の一部になることを願ったのだ。このとき、沖縄の帰属は沖縄の民衆によって選びなおされたといって良い。

中国や半島勢力がいまの沖縄でいろいろと工作しているのは広く知られているが、少なくとも返還運動と同程度の熱烈な運動によって、中国に帰属したいとか独立したいとかという運動がおきない限りは、沖縄が日本であることになんの疑いもない。

また、もしもそういう運動がおきれば、日本は少なくとも流血事態などはほとんどなく、ましてや大虐殺などなく、独立なり中国への帰属を認めるだろう。中国がウイグルに対するのとちがって。
No.15
43ヶ月前
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A-1  事実関係1「「固有の領土」記述求める 北方四島「ロシア支配」は不可―教科書検定」(時事)  公共と地理総合の新しい学習指導要領は、 北方領土と竹島、尖閣諸島について「わが国固有の領土」 と記述するよう明記した。竹島と北方領土について「平和的な手段による解決に向けて努力している」こと、尖閣諸島は「領有権の問題は存在しない」点も記述するよう求めていた。  歴史総合でも、国境の画定に関する記述で北方領土などに触れるよう指示し、検定では、こうした記述が不足しているとして公共の6点、歴史総合の10点に計19件の検定意見が付いた。  検定意見を受け、東京法令の公共は「日本政府が『領有権にかかわる問題は存在しない』としている尖閣諸島」との記載の前に「日本固有の領土であり」を追加。数研出版の公民は、竹島に関し「日本は平和的な手段による解決に向けて努力している」、尖閣諸島について「解決すべき領有権の問題は存在
孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。