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りゃんさん のコメント

このところの孫崎さんの発言をみていると、評論家とかましてや学者ではなく、もはや完全に孫崎さんは政治家になってしまったと感じる。(ここを孫崎さんは見ているのに)批判に反論することなく同じことをくりかえすのは、政治家のよくある特徴だ。あるいは気分が政治家のひとのよくある特徴だ。

「日本の一人当たりの年間収入GDPは韓国より低い」のは事実だ。しかし孫崎さんは、日本の高齢者人口が韓国よりも多いこと、韓国の高齢者貧困率は、OECD加盟国の中で最も高いこと、韓国の高齢者の虐待経験率が増加を続けていることはいわない。日本が経済成長しないなかで、自公政権は高齢者をそれなりに大切にしてきたのだ。だから見よ、「衆議院総選挙における野党共通政策の提言」にも、高齢者福祉の充実は、もはや独立した項目としてはない。

なぜGDPがのびないのか(=経済成長しないのか)。そこにはもちろんここ30年の中国の存在とここ30年の米中関係(およびその従属変数としての日中関係)がある。しかしこれほど明白な事実がみえないヒトビトがいる。また、日本がもっとも経済成長した時代も、日本は米国の属国だった。これにも気づかないヒトビトもいる。そして孫崎さんもこうしたことは書かない。日本が成長しなかったことを日本と米中との関係のもとには見ない。

ただ孫崎さんは経済成長しないでいいとまではいわない。しかし、自公政権に大事にされてきた高齢者のなかには、経済成長しなくていいというヒトもいるみたいだ。ほんとにそうなれば、わたしの世代が高齢化するときには、もはや福祉などないだろう。

「衆議院総選挙における野党共通政策の提言」のなかには、チャイナ肺炎ワクチン接種後の副作用情報をきびしく収集管理するという項目がない。わたしはチャイナ肺炎ワクチン接種後の副作用情報をきびしく収集管理することに賛成だ。しかし副作用情報をめぐって「高い立場から(笑)」おどり狂っていたヒトビトは、コメントをみると、別に政策提言に文句はいってない。ほんとうは、政権交代だけが望みで、「衆議院総選挙における野党共通政策の提言」の中身なんか、かれらでさえろくに見てもいないのだろうと感じる。

そもそも、「衆議院総選挙における野党共通政策の提言」は、孫崎さんは高く評価しているようにみえるが、わたしには単なる妥協の産物にしかみえない。だから、抽象的などうとでもとれる文言が並ぶ。自民党が過半数割れすることはあっても政権交代することはないとおもうが、もしも政権交代しても、実際に権力行使をするとなれば、すぐに路線対立が始まるだろう。

この選挙戦でひとつ傑作だったのは、甘利などの「共産党を政権にいれていいのか」という挑発にたいして、日本共産党がろくに反論できなかったことだ。わたしが示唆したように、「(中国)共産党は与党にはいっているではないか」と答えれば良かったのだ。「だからウイグル人権決議もできないのだ」「河野という、ファミリー企業(日本端子)が中国共産党とズブズブの人がすんでのところで総裁になりそうだったではないか」といえばよかった。一見トリッキーに見えて、本質をついており、本当の論争がはじまっただろう。つまりは、日本共産党も、ほんとうは中国にたいして腰がひけているということだ。本当の論争をおこなえば、日本共産党の支持者は増えただろうに。

「日本は今大変な曲がり角にある。ほっておけば没落の道を突き進む。」これには賛成だ。「自民党に政権党から降りてもらうことにある。」にも賛成だ(しかしなぜ「自民党」だけで「公明党」を含めないのだろう)。だが、既成野党への政権交代が今の与党よりもベターだとはまったくおもえない。これはどこかで、米国を批難する一方で中国を持ち上げるヒトビトに、わたしがまったく賛同できないことと通じている。米国はもちろん悪いが、米国を百万回悪いと繰り返しても、中国がまともになるわけではない。高市の演説には多数の人々が集まったようだ。高市本人が実際にどうなのかはわからないが、彼女のくちにする路線に国民が求める道のヒントがあるとおもっている。
No.8
37ヶ月前
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孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。