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りゃんさん のコメント

ところで、ウイグル問題についての中国擁護はいくつかのパターンがあります。それぞれ論評してみましょう。

第一は、米国が悪いというもの。このなかにもさまざまありますが、どれにせよ、米国が悪かったら、中国も悪くていいのか、と反論されて終わります。小学校生活のころに身に着ける常識ですが、わからないヒトビトもいるようですね。

第二に、内政干渉だというもの。これが今回の孫崎さんの趣旨ですが、しかしそもそも論として、軍隊を派遣するとかならともかく、日本のような軍事小国が中国のような超軍事大国にたいして単にクチで何かをとがめただけで、それが内政干渉になるんですかね?内政干渉の定義はなんですか?中国のやることになにか注文をつけたら、それはすべて内政干渉ですか?
さらに、中露は合同で衆院選前に艦隊を日本一周させましたが、ああいう軍事的圧力は内政干渉にならないのでしょうか。もっというと、ロシアはウクライナ近くにいま軍隊をはりつけているそうですけど、あれは内政干渉ではないのでしょうか。

ぜひ孫崎さんにおしえていただきたいとおもいます。

もっというと、「内政干渉」には例外があります。それが人権問題ですね。米国が「人権問題」を悪用しまくったせいで、ここはもやっとした感じが漂いますが、本来「人権」は第二次大戦後の国際・国内問題処理の中心にあります。だからこそ世界人権宣言や国連人権規約(孫崎さんも引用していたことがあるはずです)は基本的文書であり、人権を根拠にすれば他国の空爆すらできます(コソボ空爆。ただし議論は多いところです)。

日本国憲法にはこれをうけて、前文に

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われらは全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和の内に生存する権利を有することを確認する。

われらは、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけて、全力をあげて崇高な理想と目的を達成することを誓う。
===

という部分があります。親中派(わたしの意図を明確にするのは親中共派といったほうがいいようですけど)には憲法好きなヒトビトが多い印象ですが、なぜかかれらがここを引用したことを見たことがないんですけどね。ま、日本国が日本国憲法の精神にそって国際問題を処理するのは、別に悪くないのではないでしょうか。

第三は、そもそも、ウイグル人への人権弾圧なんかないんだ、すべては嘘なんだという主張で、中国はこれが主のようですね。これは上二つと違い事実関係のはなしなので、慎重に見極める必要があります。

そこで、デカルト流にすべてを疑ってみますが、どうしても疑えないものがあるんですね。それが大規模な収容所の存在です。衛星写真で存在が証明されていますし、そもそも中国が存在を認めてBBCの記者に取材させたりしていますからね。もっとも中国は教育施設との位置づけなようですが。

でも、教育施設であってもかまわないんですが、仮に、日本で65歳以上の高齢元サヨクなヒトビトを教育する施設、なんてものができたら、それはおかしいしかなり批難を浴びるんじゃないでしょうか。どうもそういうふうに考えられないヒトビトは日本にも多いし、中国政府自体もそのおかしさに気づいてないみたいなんですがね。

でも、日本を含め西側のふつうの人々は、なんのためにそんな施設があるんだ、そこで何をしているんだ、と連想がすすむわけです。これに対して中国側はいろいろ言ってますが、その内情について自由な取材はあるのか、ウイグル人に言論の自由はあるのか、と連想はすすみます。それがないところでいくら証言が重ねられてもそれは無価値な一方、西側社会で中国権力から自由なウイグル人はいろいろとよこしまなことを中国がやっていることを多数人が具体的に語っていますから、まあそっちが信用できるだろうとなるわけですね。
No.11
28ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
1:バイデン大統領は、中国が 新疆ウイグル自治区で人権弾圧を続けていることを「ジェノサイド」(集団虐殺)と認定、京五輪への選手団の派遣は容認するが、大統領や国務長官などの閣僚、政府関係者は送らない方針を明らかにした。米国の同盟国でも対応は分かれている。英国、オーストラリア、カナダなどは米国に同調。ドイツなどは対応を検討中だ(朝日) 2:こうした中、自民党においては、「アメリカなどと共同歩調を取るべきだという声が日増しに強まっているのだ。その急先鋒が、安倍元首相、高市政調会長のラインだ。  安倍氏も 9 日、派閥会長を務める安倍派(清和会)の会合で「中国の人権状況に鑑みて、日本は政治的な姿勢や、メッセージを出すべきではないか、意思を示すべきではないか」と高市氏と同様に外交的ボイコットに賛同する意向を見せた。 3:そもそも新疆・ウイグル問題は中国政府が一方的に悪いと位置づけされる問題ではない。  新疆ウイグ
孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。