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りゃんさん のコメント

>>最も指摘したい点は「妥協する力」を持つことではないでしょうか

「妥協する力」をもてとあらためて言うまでもなく、軍事経済文化等、とくに軍事力にまさる相手には妥協するしかありません。ハルノートは極端な例外であり(だから現在まで、「なぜ妥協できなかったのか」という観点からの議論が圧倒的に多い)、明治以後の歴史をみても、日本はそのことをよくわかっていたとおもいますよ。これはひとことでいえば、バランス・オブ・パワーの国際政治学です。

現在、日本周辺の米中露北韓、それらの国々も、「軍事力にまさる相手には妥協するしかない」、つまりバランス・オブ・パワーの国際政治学をよく知った上で、自国の軍事力増強に余念がありません。一方、日本の場合は軍事力に、増強以前の問題として大きなタガがはめられています。ここに今回の記事は触れられていませんね。

わたしは一皮むけば、世界はやはりバランス・オブ・パワーで今も動いているとおもっていますが、しかし、とくに第二次大戦後は、大国によるバランス・オブ・パワー政治の弊害が強く意識され、それを緩和する努力もおこなわれてきました。その代表的なものが「侵略戦争の禁止」であったはずです。これがじゅうぶんに守られることでこそ、小国は安心して活動でき、本来の国境線も維持できます。英国がもはや侵略はしないだろうという確信のもとで、スコットランドの独立や、北アイルランドのアイルランドへの統合が取りざたされているのはこの例です。また、孫崎さんがときどき提起していた「核兵器禁止条約」もこの流れにあるものです。

まとめると、「妥協する力」はバランス・オブ・パワーの世界のなかであらためて言われることもなく誰もが知っていることですが、バランス・オブ・パワー世界の弊害緩和のためにある「侵略戦争禁止」をこのたびロシアが踏みにじっているからこそ、ロシアが強く批判されている、となります。わたしは孫崎さんの記事は注意深く読んできましたが、この観点からの文章はなかったとおもいます。

孫崎さんは、もう二度と「核兵器禁止条約」を提起できないとおもいます。信用されないからです。かりに「核兵器禁止条約」が結ばれても、それを破ってくる相手には「妥協する力」を持ちましょうというのが目にみえているからです。
No.21
30ヶ月前
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孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。