• このエントリーをはてなブックマークに追加

りゃんさん のコメント

今度のショルツ訪中の詳細は徐々にわかってくるのだろうが、現時点では、中共の政変を受け、ドイツ側が挨拶と利権の調整(中国側の対応者の確認、今後の見通しの調査など)に行くのだろうと想像している。ドイツ銀行のはなしもいつのまにかあまり聞かなくなったが、好調になっているはずはなく、ドイツは中共の資金なくしてはもはや立ち行かないのであろう。ショルツは就任直後にはまだそのあたりのことに疎く、今頃になってドイツ産業界と中共との容易ならざるずぶずぶさがわかってきたといったところだろうか。

手土産は港だが、これは権利を与えるものだから、ドイツ側にいま直接の出捐はない。ただ、ドイツ国内的には相当な反対があったという。その反対をおさえたのは、ドイツ産業界だろう。さて、これがこれからどうなるか。まあ、日本も他人事ではない。

ドイツと中共とは似ているとおもっている。フランスが絶対王政のころから中央官僚が国家意識を高め、フランス革命やナポレオン戦争をへて19世紀初めには国民国家を形成したのに対し、ドイツは国民国家の形成が遅れた。それは結局は統合原理としてのゲルマン民族を強調するあまり、ヒトラーにまでつながっていくのである。フランスなどが虐殺しなかったというのではなく、それはいわゆる近代よりももう少し前の話として、あまり人々の意識にのぼらないのだ。

辛亥革命はずっと前だが、中共が国民国家を実質的に形成しようとしはじめたのは第二次大戦後からであり、今現在その途中だとおもうが、すでにヒトラー以上の大虐殺をおこなっている。それでもまだ足りず、台湾を侵略しようとしているが、何度も説明しているように、台湾はウイグルなどと同じく漢民族の土地ではない。昔なら許されたことも、いまの世の中では許されない。

経済のことだけ考えるなら、漢民族の土地だけで大きなシンガポールのような国をつくったほうが、よほど良いとおもうのだが、どうしても版図をひろげて「中共国民」をでっちあげて大きな国をつくって運営したいというあたりが、中共の後進性なのだろう。ドイツは教えてやればいいのにとおもう。

ちなみに、ソ連は戦後のいっとき、「ソ連人」という意識ができあがったかにみえたらしい。ウクライナにクリミアを与えたのもそのころのことだろう。しかし、ソ連はあえなく壊滅し、プーチンの大ロシア主義は、(ウクライナでの戦争の帰趨はまだわからないが、いずれにせよ)、かえって中央アジア諸国が決定的に離反するきっかけになっている。ロシア民族の戦争奴隷ではないと諸民族が覚醒しているのだ。

100年くらいでみれば、中共も結局そうなるとおもっている。ただ、日本はとなりなので、評論家のようではいられない。中共でもうけたひとびとも多かろうが、今後は災厄のほうが多いとおもっている。
No.24
24ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。