記事へ戻る りゃんさん のコメント りゃん >>12 おはようございます。 NATO東方拡大については、いま出所をここに記載する余裕がないためご自分で調べていただきたいですが ①「研究者のあいだでは、プーチンのいう意味での不拡大の約束はなかったという意見が主流」という報道がある ②発端であったベーカー=ゴルバチョフ会談について、ゴルバチョフの回顧録でも、プーチンのいう意味での不拡大の約束はなかったととれる内容をゴルバチョフが書いているらしい(これについては自分では回顧録を確かめていません) ③露はNATOの準メンバーであり、NATO入りすらいわれたことがある。東方不拡大の約束が本当にあったなら、そういうことがおきるだろうか。また、ポーランド等の東欧各国への拡大については、現にそれほど文句をつけていない こういった事実から、わたし自身は、プーチンのいう意味での不拡大の約束はなかったとおもっています。さらに厳密には、研究者に議論してもらうしかありません。 話が少しそれますが、こういうことを書くだけでも、 magosuki-さんには気に入らないのかもしれませんね。しかし、わたしはファンクラブにはいったつもりはないし、きちんと議論をすることは、孫崎さんを貶める行為ではなく、むしろ逆だとおもっています。罵倒してくるヒトビトには罵倒をやりかえしますが、孫崎さんには丁寧なことばづかいをいつもこころがけています。 話をもどしますが、一方で、多くの論者が指摘しているのは、冷戦終結直後に露がいだいた様々な期待に、米国がじゅうぶんにはこたえなかったということです。これはどっちが悪いという議論をしても仕方ないことだとわたしは思っていますが(どっちも悪いとしかわたしにはおもえませんし、露が軍事侵略しているいまの段階で、露の肩を持つ議論は、わたしにはありえません)、プーチンにしてみれば、「このままではウクライナまでとられるという恐怖感」があったのだろうというあたりは理解できます。 なお、わたしはウクライナが露の勢力圏であることに反対しているのではありません。仮にクリミアが米国の勢力圏になっても緊張が高まるだけだという意味のことを書いたこともあります。軍事侵略は国際法違反だからだめだ、やめろ、ということと、独立国ウクライナの意思を尊重せよ、ということをずっと言っているだけです。そのうえで、露がカネと外交手段とでウクライナをつなぎとめていくことには、むしろそうすべきだった、と何回か発言しています。しかし、これだけの軍事侵略をしてしまった以上は、ウクライナ全土を掌握すれば別ですが、一部の奪取であれば、残りのウクライナは、米国勢力下となるでしょう。 これに関連して一言言いますが、マイダン革命での米国関与のことを強調するヒトビトがいますが、当然ながら、露も様々な工作をウクライナ国内でやっていたはずです。ヌーランドの録音リークがよく言われますが、だれが録音し、どのようにリークされたかを想像してみればいいとおもいます。マイダン革命は諜報合戦に露が負けたというだけのことであり、善悪でいえば、米露どっちもろくでもないのです(ついでにいうとウクライナもろくでもない)。しかしその後の軍事侵略を正当化できる法はありません。これが決定的にわかってないヒトもいますが。 この先、見方はわかれますが、今回の軍事侵略で、仮にウクライナの一部をさらに手に入れても、露は決定的に周辺国からの支持を失い、また、弱体化もしていくだろうと、わたしはおもっています。つまり、戦略的にはウクライナ侵略は失敗でした。核兵器保有国で常任理事国が消え去ることはありませんけれど、たとえば今回国外流出したひとびと(貧しくはなく、一定以上の知識を露のカネも使って教育受けているひとびと)が露にもどることは、よほどの体制変換がない限り考えにくいとおもいます。 No.27 24ヶ月前 Post このコメントは以下の記事についています 醜い。報道に事実伝達の客観性喪失:米主要紙、2024 年大統領選に向けたトランプ大統領の発表... 孫崎享のつぶやき 元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。 » このブロマガへ
りゃん >>12 おはようございます。 NATO東方拡大については、いま出所をここに記載する余裕がないためご自分で調べていただきたいですが ①「研究者のあいだでは、プーチンのいう意味での不拡大の約束はなかったという意見が主流」という報道がある ②発端であったベーカー=ゴルバチョフ会談について、ゴルバチョフの回顧録でも、プーチンのいう意味での不拡大の約束はなかったととれる内容をゴルバチョフが書いているらしい(これについては自分では回顧録を確かめていません) ③露はNATOの準メンバーであり、NATO入りすらいわれたことがある。東方不拡大の約束が本当にあったなら、そういうことがおきるだろうか。また、ポーランド等の東欧各国への拡大については、現にそれほど文句をつけていない こういった事実から、わたし自身は、プーチンのいう意味での不拡大の約束はなかったとおもっています。さらに厳密には、研究者に議論してもらうしかありません。 話が少しそれますが、こういうことを書くだけでも、 magosuki-さんには気に入らないのかもしれませんね。しかし、わたしはファンクラブにはいったつもりはないし、きちんと議論をすることは、孫崎さんを貶める行為ではなく、むしろ逆だとおもっています。罵倒してくるヒトビトには罵倒をやりかえしますが、孫崎さんには丁寧なことばづかいをいつもこころがけています。 話をもどしますが、一方で、多くの論者が指摘しているのは、冷戦終結直後に露がいだいた様々な期待に、米国がじゅうぶんにはこたえなかったということです。これはどっちが悪いという議論をしても仕方ないことだとわたしは思っていますが(どっちも悪いとしかわたしにはおもえませんし、露が軍事侵略しているいまの段階で、露の肩を持つ議論は、わたしにはありえません)、プーチンにしてみれば、「このままではウクライナまでとられるという恐怖感」があったのだろうというあたりは理解できます。 なお、わたしはウクライナが露の勢力圏であることに反対しているのではありません。仮にクリミアが米国の勢力圏になっても緊張が高まるだけだという意味のことを書いたこともあります。軍事侵略は国際法違反だからだめだ、やめろ、ということと、独立国ウクライナの意思を尊重せよ、ということをずっと言っているだけです。そのうえで、露がカネと外交手段とでウクライナをつなぎとめていくことには、むしろそうすべきだった、と何回か発言しています。しかし、これだけの軍事侵略をしてしまった以上は、ウクライナ全土を掌握すれば別ですが、一部の奪取であれば、残りのウクライナは、米国勢力下となるでしょう。 これに関連して一言言いますが、マイダン革命での米国関与のことを強調するヒトビトがいますが、当然ながら、露も様々な工作をウクライナ国内でやっていたはずです。ヌーランドの録音リークがよく言われますが、だれが録音し、どのようにリークされたかを想像してみればいいとおもいます。マイダン革命は諜報合戦に露が負けたというだけのことであり、善悪でいえば、米露どっちもろくでもないのです(ついでにいうとウクライナもろくでもない)。しかしその後の軍事侵略を正当化できる法はありません。これが決定的にわかってないヒトもいますが。 この先、見方はわかれますが、今回の軍事侵略で、仮にウクライナの一部をさらに手に入れても、露は決定的に周辺国からの支持を失い、また、弱体化もしていくだろうと、わたしはおもっています。つまり、戦略的にはウクライナ侵略は失敗でした。核兵器保有国で常任理事国が消え去ることはありませんけれど、たとえば今回国外流出したひとびと(貧しくはなく、一定以上の知識を露のカネも使って教育受けているひとびと)が露にもどることは、よほどの体制変換がない限り考えにくいとおもいます。 No.27 24ヶ月前 Post このコメントは以下の記事についています 醜い。報道に事実伝達の客観性喪失:米主要紙、2024 年大統領選に向けたトランプ大統領の発表... 孫崎享のつぶやき 元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。 » このブロマガへ
おはようございます。
NATO東方拡大については、いま出所をここに記載する余裕がないためご自分で調べていただきたいですが
①「研究者のあいだでは、プーチンのいう意味での不拡大の約束はなかったという意見が主流」という報道がある
②発端であったベーカー=ゴルバチョフ会談について、ゴルバチョフの回顧録でも、プーチンのいう意味での不拡大の約束はなかったととれる内容をゴルバチョフが書いているらしい(これについては自分では回顧録を確かめていません)
③露はNATOの準メンバーであり、NATO入りすらいわれたことがある。東方不拡大の約束が本当にあったなら、そういうことがおきるだろうか。また、ポーランド等の東欧各国への拡大については、現にそれほど文句をつけていない
こういった事実から、わたし自身は、プーチンのいう意味での不拡大の約束はなかったとおもっています。さらに厳密には、研究者に議論してもらうしかありません。
話が少しそれますが、こういうことを書くだけでも、 magosuki-さんには気に入らないのかもしれませんね。しかし、わたしはファンクラブにはいったつもりはないし、きちんと議論をすることは、孫崎さんを貶める行為ではなく、むしろ逆だとおもっています。罵倒してくるヒトビトには罵倒をやりかえしますが、孫崎さんには丁寧なことばづかいをいつもこころがけています。
話をもどしますが、一方で、多くの論者が指摘しているのは、冷戦終結直後に露がいだいた様々な期待に、米国がじゅうぶんにはこたえなかったということです。これはどっちが悪いという議論をしても仕方ないことだとわたしは思っていますが(どっちも悪いとしかわたしにはおもえませんし、露が軍事侵略しているいまの段階で、露の肩を持つ議論は、わたしにはありえません)、プーチンにしてみれば、「このままではウクライナまでとられるという恐怖感」があったのだろうというあたりは理解できます。
なお、わたしはウクライナが露の勢力圏であることに反対しているのではありません。仮にクリミアが米国の勢力圏になっても緊張が高まるだけだという意味のことを書いたこともあります。軍事侵略は国際法違反だからだめだ、やめろ、ということと、独立国ウクライナの意思を尊重せよ、ということをずっと言っているだけです。そのうえで、露がカネと外交手段とでウクライナをつなぎとめていくことには、むしろそうすべきだった、と何回か発言しています。しかし、これだけの軍事侵略をしてしまった以上は、ウクライナ全土を掌握すれば別ですが、一部の奪取であれば、残りのウクライナは、米国勢力下となるでしょう。
これに関連して一言言いますが、マイダン革命での米国関与のことを強調するヒトビトがいますが、当然ながら、露も様々な工作をウクライナ国内でやっていたはずです。ヌーランドの録音リークがよく言われますが、だれが録音し、どのようにリークされたかを想像してみればいいとおもいます。マイダン革命は諜報合戦に露が負けたというだけのことであり、善悪でいえば、米露どっちもろくでもないのです(ついでにいうとウクライナもろくでもない)。しかしその後の軍事侵略を正当化できる法はありません。これが決定的にわかってないヒトもいますが。
この先、見方はわかれますが、今回の軍事侵略で、仮にウクライナの一部をさらに手に入れても、露は決定的に周辺国からの支持を失い、また、弱体化もしていくだろうと、わたしはおもっています。つまり、戦略的にはウクライナ侵略は失敗でした。核兵器保有国で常任理事国が消え去ることはありませんけれど、たとえば今回国外流出したひとびと(貧しくはなく、一定以上の知識を露のカネも使って教育受けているひとびと)が露にもどることは、よほどの体制変換がない限り考えにくいとおもいます。
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