記事へ戻る 中庸左派さん のコメント 中庸左派 中国の環球時報英語版の記事が興味深い「Global Times」Mar 12, 2023 11:05 PM 「世界の投資家の皆さん、気をつけてください! 米国の銀行があなたの現金をむさぼり食うのを許してはいけません」と、挑発的見出しも面白い。こんな表現、日本の主流権威筋メディアはゼッタイ書かないだろう。 https://www.globaltimes.cn/page/202303/1287160.shtml 「2008 年の金融危機以来最大の銀行破綻である SVB の崩壊が、システミックな流動性危機の氷山の一角にすぎない可能性があるためです。連邦準備制度理事会による積極的な利上げにより SVB が大きな損失を被ったことを知り、投資家が預金の送金を熱望したため、銀行の取り付け騒ぎが原因で下落しました。多かれ少なかれ、SVB の問題は他のアメリカの銀行にも存在し、言うまでもなく、わずか 48 時間で SVB が崩壊すると、顧客は他の中小銀行で自分の預金に不安を抱くようになります。 」 【システミックな流動性危機の氷山の一角にすぎない可能性がある】流動性危機とは簡単に言えば、銀行の手持ち資金(流動性)が顧客から引き出されて、取付け騒ぎを招いたということだろう。 そして、【SVB の問題は他のアメリカの銀行にも存在】するというのなら、正にシステム上の危機だろう。 この記事はさらに続ける。 「多くの人は、SVB の崩壊を 2008 年のリーマン ブラザーズ危機になぞらえています。しかし、リーマン ブラザーズは債務危機により崩壊し、SVB は流動性危機により破綻しました。SVB の破綻が、Forbes 誌の年間ベスト バンク ランキングに掲載された数日後に起こったという事実は、実際には、米国経済にとってより憂慮すべき兆候です。 」 この【リーマン ブラザーズは債務危機】という視点との対比で、今回の危機を分析し、質的違いを述べているのは重要ではなかろうか? 一般に債務というのは、企業のバランスシート上の問題で、その意味で、一企業の経営(失敗)の問題と解釈してよいのでは無かろうか? だから、経営破綻してもそれは債務返済が不能に陥った経営ミス、即ち当該企業限定の問題で済む。 しかし、一方、【SVB は流動性危機により破綻しました。】とある。流動性というのは資金フローだったり、現金化しやすさだったり、現金そのものだったりすると考えられるが、コレが危機というなら、アチコチで手持ち現金・資金の需要に対して、カネが枯渇している、ということではなかろうか? FRBは利上げで企業の借り入れ条件を悪化させた。一方、日々の決済で企業には普段の資金需要がある。そこに来て、利上げは国債等の債券価格の下落を意味する。このため、債権化した資産を溜め込んで預金流出に備えていたSVBは、資産そのものの評価損を被る。これを見て顧客は不安に思い、預金を引き出し、取付け騒ぎになった。 私は、金融の専門家では全くないが、庶民目線で上記のように一連の流れを解釈している。 今回のSVB破綻は、流動性危機であるならば、アメリカ帝国の金融システム即ちカネ回りシステムそのものの歪みの露見ではないのか?危機の連鎖となるか、注目している。 この点に関連して、同記事は「長期的には高インフレと戦う可能性がある中で、FRBがインフレの抑制と成長の維持という相反する目標のバランスをとろうと奮闘していることは、投資家の信頼をさらに低下させ」ていると書いている。 やはり「Global Times」だがこの記事の少し前には「専門家が世界的なリスクを警告」(2023 年 3 月 12 日 07:19 午後)とあり、中国人民大学の重陽金融研究所は、「SVB の危機は、抜け穴のある米国の金融システムに過度に依存するべきではなく、代わりに独立した金融および技術政策を維持すべきであるという教訓を他国に与えています」とのことであった。 世界経済の中心が変わりつつある。しかも、アメリカ経済はむしろ、世界経済のリスク要因になっている。この現実を直視するべきだ。 No.3 20ヶ月前 Post このコメントは以下の記事についています シリコンバレー銀行の破綻.バイデン大統領等政権は、他の銀行で取付騒動が生じないよう預金者... 孫崎享のつぶやき 元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。 » このブロマガへ
中庸左派 中国の環球時報英語版の記事が興味深い「Global Times」Mar 12, 2023 11:05 PM 「世界の投資家の皆さん、気をつけてください! 米国の銀行があなたの現金をむさぼり食うのを許してはいけません」と、挑発的見出しも面白い。こんな表現、日本の主流権威筋メディアはゼッタイ書かないだろう。 https://www.globaltimes.cn/page/202303/1287160.shtml 「2008 年の金融危機以来最大の銀行破綻である SVB の崩壊が、システミックな流動性危機の氷山の一角にすぎない可能性があるためです。連邦準備制度理事会による積極的な利上げにより SVB が大きな損失を被ったことを知り、投資家が預金の送金を熱望したため、銀行の取り付け騒ぎが原因で下落しました。多かれ少なかれ、SVB の問題は他のアメリカの銀行にも存在し、言うまでもなく、わずか 48 時間で SVB が崩壊すると、顧客は他の中小銀行で自分の預金に不安を抱くようになります。 」 【システミックな流動性危機の氷山の一角にすぎない可能性がある】流動性危機とは簡単に言えば、銀行の手持ち資金(流動性)が顧客から引き出されて、取付け騒ぎを招いたということだろう。 そして、【SVB の問題は他のアメリカの銀行にも存在】するというのなら、正にシステム上の危機だろう。 この記事はさらに続ける。 「多くの人は、SVB の崩壊を 2008 年のリーマン ブラザーズ危機になぞらえています。しかし、リーマン ブラザーズは債務危機により崩壊し、SVB は流動性危機により破綻しました。SVB の破綻が、Forbes 誌の年間ベスト バンク ランキングに掲載された数日後に起こったという事実は、実際には、米国経済にとってより憂慮すべき兆候です。 」 この【リーマン ブラザーズは債務危機】という視点との対比で、今回の危機を分析し、質的違いを述べているのは重要ではなかろうか? 一般に債務というのは、企業のバランスシート上の問題で、その意味で、一企業の経営(失敗)の問題と解釈してよいのでは無かろうか? だから、経営破綻してもそれは債務返済が不能に陥った経営ミス、即ち当該企業限定の問題で済む。 しかし、一方、【SVB は流動性危機により破綻しました。】とある。流動性というのは資金フローだったり、現金化しやすさだったり、現金そのものだったりすると考えられるが、コレが危機というなら、アチコチで手持ち現金・資金の需要に対して、カネが枯渇している、ということではなかろうか? FRBは利上げで企業の借り入れ条件を悪化させた。一方、日々の決済で企業には普段の資金需要がある。そこに来て、利上げは国債等の債券価格の下落を意味する。このため、債権化した資産を溜め込んで預金流出に備えていたSVBは、資産そのものの評価損を被る。これを見て顧客は不安に思い、預金を引き出し、取付け騒ぎになった。 私は、金融の専門家では全くないが、庶民目線で上記のように一連の流れを解釈している。 今回のSVB破綻は、流動性危機であるならば、アメリカ帝国の金融システム即ちカネ回りシステムそのものの歪みの露見ではないのか?危機の連鎖となるか、注目している。 この点に関連して、同記事は「長期的には高インフレと戦う可能性がある中で、FRBがインフレの抑制と成長の維持という相反する目標のバランスをとろうと奮闘していることは、投資家の信頼をさらに低下させ」ていると書いている。 やはり「Global Times」だがこの記事の少し前には「専門家が世界的なリスクを警告」(2023 年 3 月 12 日 07:19 午後)とあり、中国人民大学の重陽金融研究所は、「SVB の危機は、抜け穴のある米国の金融システムに過度に依存するべきではなく、代わりに独立した金融および技術政策を維持すべきであるという教訓を他国に与えています」とのことであった。 世界経済の中心が変わりつつある。しかも、アメリカ経済はむしろ、世界経済のリスク要因になっている。この現実を直視するべきだ。 No.3 20ヶ月前 Post このコメントは以下の記事についています シリコンバレー銀行の破綻.バイデン大統領等政権は、他の銀行で取付騒動が生じないよう預金者... 孫崎享のつぶやき 元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。 » このブロマガへ
「世界の投資家の皆さん、気をつけてください! 米国の銀行があなたの現金をむさぼり食うのを許してはいけません」と、挑発的見出しも面白い。こんな表現、日本の主流権威筋メディアはゼッタイ書かないだろう。
https://www.globaltimes.cn/page/202303/1287160.shtml
「2008 年の金融危機以来最大の銀行破綻である SVB の崩壊が、システミックな流動性危機の氷山の一角にすぎない可能性があるためです。連邦準備制度理事会による積極的な利上げにより SVB が大きな損失を被ったことを知り、投資家が預金の送金を熱望したため、銀行の取り付け騒ぎが原因で下落しました。多かれ少なかれ、SVB の問題は他のアメリカの銀行にも存在し、言うまでもなく、わずか 48 時間で SVB が崩壊すると、顧客は他の中小銀行で自分の預金に不安を抱くようになります。 」
【システミックな流動性危機の氷山の一角にすぎない可能性がある】流動性危機とは簡単に言えば、銀行の手持ち資金(流動性)が顧客から引き出されて、取付け騒ぎを招いたということだろう。
そして、【SVB の問題は他のアメリカの銀行にも存在】するというのなら、正にシステム上の危機だろう。
この記事はさらに続ける。
「多くの人は、SVB の崩壊を 2008 年のリーマン ブラザーズ危機になぞらえています。しかし、リーマン ブラザーズは債務危機により崩壊し、SVB は流動性危機により破綻しました。SVB の破綻が、Forbes 誌の年間ベスト バンク ランキングに掲載された数日後に起こったという事実は、実際には、米国経済にとってより憂慮すべき兆候です。 」
この【リーマン ブラザーズは債務危機】という視点との対比で、今回の危機を分析し、質的違いを述べているのは重要ではなかろうか?
一般に債務というのは、企業のバランスシート上の問題で、その意味で、一企業の経営(失敗)の問題と解釈してよいのでは無かろうか?
だから、経営破綻してもそれは債務返済が不能に陥った経営ミス、即ち当該企業限定の問題で済む。
しかし、一方、【SVB は流動性危機により破綻しました。】とある。流動性というのは資金フローだったり、現金化しやすさだったり、現金そのものだったりすると考えられるが、コレが危機というなら、アチコチで手持ち現金・資金の需要に対して、カネが枯渇している、ということではなかろうか?
FRBは利上げで企業の借り入れ条件を悪化させた。一方、日々の決済で企業には普段の資金需要がある。そこに来て、利上げは国債等の債券価格の下落を意味する。このため、債権化した資産を溜め込んで預金流出に備えていたSVBは、資産そのものの評価損を被る。これを見て顧客は不安に思い、預金を引き出し、取付け騒ぎになった。
私は、金融の専門家では全くないが、庶民目線で上記のように一連の流れを解釈している。
今回のSVB破綻は、流動性危機であるならば、アメリカ帝国の金融システム即ちカネ回りシステムそのものの歪みの露見ではないのか?危機の連鎖となるか、注目している。
この点に関連して、同記事は「長期的には高インフレと戦う可能性がある中で、FRBがインフレの抑制と成長の維持という相反する目標のバランスをとろうと奮闘していることは、投資家の信頼をさらに低下させ」ていると書いている。
やはり「Global Times」だがこの記事の少し前には「専門家が世界的なリスクを警告」(2023 年 3 月 12 日 07:19 午後)とあり、中国人民大学の重陽金融研究所は、「SVB の危機は、抜け穴のある米国の金融システムに過度に依存するべきではなく、代わりに独立した金融および技術政策を維持すべきであるという教訓を他国に与えています」とのことであった。
世界経済の中心が変わりつつある。しかも、アメリカ経済はむしろ、世界経済のリスク要因になっている。この現実を直視するべきだ。
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