孫崎享のつぶやき
シリコンバレー銀行の破綻.バイデン大統領等政権は、他の銀行で取付騒動が生じないよう預金者の預金全額保証等応急政策発表。そもそもインフレ制御のため連銀が金利を上げたことが今回の原因。では今後インフレ対応金利政策どうするのか。共和党の攻撃必至。
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コメント
コメントを書く個人段階でも同じような現象は起こりえる。自己資金で金融を行えば、損失は自己資金内であるが、借り入れをすると大きな損失を被る。
金融は借入金で運用すれば大きな利益を得られるが、今回のように金利上昇の中では借入金の金利額が高騰するわけであり、手持ち資産を加味したリスク管理ができていないと破綻する一つに事例といえる。
今回の破たんの主原因
①債券価格時価評価額減損た対応
債券ポートフェリオの210億ドル(約2兆8275億円)を売却、18億ドル(約2473億円)の
損失計上。損失カバーのため株式23億ドル(約3097億円)の売却で調達しようとしたが失敗
②借入金の金利が高騰し資金調達が難しくなった。さらに預金者の預金流出が拍車をかけた。
金融のプロ集団が、IT関係の景気が冷え込む中で、想像以上の悪条件が重なり起きた現象であり、金融に対する基礎知識が不可欠である。最大限の利益を目標にすれば最大限のリスクが伴うということでしょう。
中国の環球時報英語版の記事が興味深い「Global Times」Mar 12, 2023 11:05 PM
「世界の投資家の皆さん、気をつけてください! 米国の銀行があなたの現金をむさぼり食うのを許してはいけません」と、挑発的見出しも面白い。こんな表現、日本の主流権威筋メディアはゼッタイ書かないだろう。
https://www.globaltimes.cn/page/202303/1287160.shtml
「2008 年の金融危機以来最大の銀行破綻である SVB の崩壊が、システミックな流動性危機の氷山の一角にすぎない可能性があるためです。連邦準備制度理事会による積極的な利上げにより SVB が大きな損失を被ったことを知り、投資家が預金の送金を熱望したため、銀行の取り付け騒ぎが原因で下落しました。多かれ少なかれ、SVB の問題は他のアメリカの銀行にも存在し、言うまでもなく、わずか 48 時間で SVB が崩壊すると、顧客は他の中小銀行で自分の預金に不安を抱くようになります。 」
【システミックな流動性危機の氷山の一角にすぎない可能性がある】流動性危機とは簡単に言えば、銀行の手持ち資金(流動性)が顧客から引き出されて、取付け騒ぎを招いたということだろう。
そして、【SVB の問題は他のアメリカの銀行にも存在】するというのなら、正にシステム上の危機だろう。
この記事はさらに続ける。
「多くの人は、SVB の崩壊を 2008 年のリーマン ブラザーズ危機になぞらえています。しかし、リーマン ブラザーズは債務危機により崩壊し、SVB は流動性危機により破綻しました。SVB の破綻が、Forbes 誌の年間ベスト バンク ランキングに掲載された数日後に起こったという事実は、実際には、米国経済にとってより憂慮すべき兆候です。 」
この【リーマン ブラザーズは債務危機】という視点との対比で、今回の危機を分析し、質的違いを述べているのは重要ではなかろうか?
一般に債務というのは、企業のバランスシート上の問題で、その意味で、一企業の経営(失敗)の問題と解釈してよいのでは無かろうか?
だから、経営破綻してもそれは債務返済が不能に陥った経営ミス、即ち当該企業限定の問題で済む。
しかし、一方、【SVB は流動性危機により破綻しました。】とある。流動性というのは資金フローだったり、現金化しやすさだったり、現金そのものだったりすると考えられるが、コレが危機というなら、アチコチで手持ち現金・資金の需要に対して、カネが枯渇している、ということではなかろうか?
FRBは利上げで企業の借り入れ条件を悪化させた。一方、日々の決済で企業には普段の資金需要がある。そこに来て、利上げは国債等の債券価格の下落を意味する。このため、債権化した資産を溜め込んで預金流出に備えていたSVBは、資産そのものの評価損を被る。これを見て顧客は不安に思い、預金を引き出し、取付け騒ぎになった。
私は、金融の専門家では全くないが、庶民目線で上記のように一連の流れを解釈している。
今回のSVB破綻は、流動性危機であるならば、アメリカ帝国の金融システム即ちカネ回りシステムそのものの歪みの露見ではないのか?危機の連鎖となるか、注目している。
この点に関連して、同記事は「長期的には高インフレと戦う可能性がある中で、FRBがインフレの抑制と成長の維持という相反する目標のバランスをとろうと奮闘していることは、投資家の信頼をさらに低下させ」ていると書いている。
やはり「Global Times」だがこの記事の少し前には「専門家が世界的なリスクを警告」(2023 年 3 月 12 日 07:19 午後)とあり、中国人民大学の重陽金融研究所は、「SVB の危機は、抜け穴のある米国の金融システムに過度に依存するべきではなく、代わりに独立した金融および技術政策を維持すべきであるという教訓を他国に与えています」とのことであった。
世界経済の中心が変わりつつある。しかも、アメリカ経済はむしろ、世界経済のリスク要因になっている。この現実を直視するべきだ。
資本市場のみならず経済そのものが複雑系現象(地震とか気候変動)なので、オーソドックスな数学をツールにする現代経済学では最適政策を選び出すことは出来ません。
上記に加えて、米国では、金融業と証券業の壁を大胆に取り除き、業者は大規模なギャンブルも出来るし、デリバテイブ売買も無制限に出来るし、悪いことに簿外が許されているから、当局にはリスク全体の構造が全く分からないのです。
その中でも、最も始末に悪いのはデリバテイブの売り買いポジションを差引勘定でリスク管理するので、リスクの全体像が過小に観られる傾向になりがちで、市場崩壊のリスクは高まるばかりなのです。更に決定的な欠陥として市場の売買の殆ど全部がオーソドックスな数学に基づくソフトにまかせっきりなことが加わって来ます。
従って、米国の金融と経済はパイロットなき飛行機に喩えても矛盾が無いのです。米財務省もFEDもそのことはどうも分かっているようで、市場の大崩壊は想定済みだと見られます。その対策はデジタル米ドルへの移行です。それがどういう津波になるか分かりませんが、1929年のウオール街の大暴落、2008年のリーマンショックを遥かに上回ることは間違いないでしょう。
その時にIMFのSDRが中露の協力で世界通貨として登場するでしょう。その時になって初めて世界は安定するのです。
> では今後インフレ対応金利政策どうするのか。
紹介された英文記事の続きに「米国のストレステストでは、不良債権に関する あらゆるシナリオが含まれているが、金利ショックに関するシナリオは殆どない」と出ていた。
> 共和党の攻撃必至。
ニューズウィーク 3/12/23(藤原直哉氏TWTR経由)
シリコンバレー銀行破綻でトランプ氏が悲痛な警告を発する
https://www.newsweek.com/trump-issues-dire-warning-after-silicon-valley-bank-failure-1787196
トーマス・キカ記
ドナルド・トランプ前大統領は、先日のシリコンバレー銀行(SVB)の破綻について発言し、ソーシャルメディアへの投稿で強い言葉で警告を発した。
米国の新興企業向けの第一級金融機関であったSVBは、その危険な投資をめぐる不透明感から預金の取り崩しが起こり、金曜日に破綻した。ほんの数カ月前までは2000億ドル以上の資産を持つ全米16位の銀行だったが、現在は連邦預金保険公社(FDIC)に買収され、資産の競売と預金者の保険外資金の返済に取り組んでいる。
日曜日、トランプ氏は自身のソーシャルメディア「Truth Social」にSVBの破綻について投稿し、この状況をジョー・バイデン大統領の経済政策の所為だとし、更なる金融災難が待ち構えていると付け加えた。
「私たちの経済に起こっていること、そして米国史上最も大きく、最も間抜けな増税の提案、5倍にもなることで、ジョー・バイデンは、現代におけるハーバート・フーバーとして語り継がれるだろう」と、元大統領は書いている。「1929年よりもはるかに大きく、強力な大恐慌が起こるだろう。その証拠に、銀行はすでに崩壊を始めている!!!」
トランプのコミュニケーションチームも、Truth Socialへの投稿の数時間後にFox News Digitalに声明を出し、崩壊は民主党の政策によるものだとの主張を繰り返した。
「制御不能な民主党とバイデン政権は、哀れにも、CCP(中国共産党)のスパイバルーン、東パレスチナの列車脱線事故、そして今回のSVBの破綻など、必死の嘘で自分たちの失敗をトランプ大統領の所為にしようとし続けている」とトランプ報道官のスティーブン・チューン氏は同メディアに語った。
金曜日の破綻以来、今回の破綻はトランプ氏が2018年に署名した、SVBのような中堅銀行や地方銀行の規制を削減する法案の長期的な結果であると主張する人が多くなっている。この法案は、資産2500億ドル未満の銀行を、その安定性をチェックする連邦準備制度理事会からの強制監視を回避できるようにした。大不況をきっかけに設定された資産500億ドル未満(が強制監視の対象外)という従来の基準を引き上げたのだ。この変更は、SVBのCEOであるグレッグ・ベッカー氏を含む金融業界の多くの人々によって働きかけられたものである。
トランプの規制緩和に関する上記主張には、さまざまな金融専門家だけでなく、アレクサンドリア・オカシオ・コルテスやケイティ・ポーターといった議会民主党議員からも反響があった。後者はトランプの2018年法案を覆す法案を作成中だと述べている。チューン氏のFox News Digitalへの発言は、特にそれらの主張に関する問い合わせに対して行われたものだ。
ニューズウィークはホワイトハウスにメールで連絡を取り、コメントを求めた。
中国全人代の注目テーマ「破産」を注視していたら、今回の事件が起きた。
昨年1月から11月まで301万の個人経営業のが破たんした。
昨年海外直接投資(FDI)が1630億ドルが中国市場に流入米国を超えた投資先になっている。
個人破綻法はなく企業破綻法は金融機関の破たんを想定した条文がない。金融機関が破たんすると国家がしりぬぐいする「神話」が根強い。
包括した法体系が欠如している。複数の金融機関が同時に破たんした場合統一した法的体制が構築されていないのである。
今回金融機関の破たんでは企業のプロセスでは間に合わなくなっており、金融システミックリスクを引き起こす。
破産前リスク処置と破産プロセスの順序だったリンク付けが必要であり金融取引決算の最終的ネッティングシステムの導入は不可欠なのでしょう。
中国においては、「信用を守れば利益があり、信用を失えば罰を受ける」社会信用スコアの基礎的プラットホームが必要なのでしょう。
ひとつの例として企業破産法による破産整理は可能であるが、連帯責任の企業家の巨額債務能力を背負った場合救済方法がなければならない。
>>6
私たちはパックスアメリカーナの市民ですから、それを統べる米国の財政には大いなる関心と懸念があり、コメントをしております。そして当然私たちには米国に対して物申す権利があるのです。
隣国の中国は米国とは違います。中国の破産法のああだこうだは中国の市民に任せるのが宜しいのではないかと思うのですよ。
米国の矛盾がテーマになるとすぐに中国を持ち出して話題を変えようとするその衝動?は一体どういう心理にしたがうものでしょうか?