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p_fさん のコメント

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p_f
鈴木英司氏の件は、天木直人氏メルマガでも少なからず言及されていた-

2022/1/2
鈴木英司氏が書いた「中南海の100日ー秘録・日中国交正常化と周恩来」(三和書房)...日中関係に関心のある者には必読の書だ。鈴木氏は社会党政治家の秘書出身の中国専門家だ...日中友好に尽力していた。その彼が、突然、中国に捕まったのは2016年だった...スパイ容疑なのか、権力争いに巻き込まれたせいなのか、いきなり捕まえるところが、中国の怖さに違いないが...その本(上掲)の特徴は、書かれていることがほとんどすべて中国関係者からの記録に基づいているところだ...それを読むと...いずれにしても、あの交渉は、あの時だったからこそ、そして田中・大平というコンビであったからこそできたのだ。

2022/10/13
きょう10月13日の読売新聞が...こう教えてくれた。中国で2016年にスパイ活動をしたとして当局に拘束され、懲役6年の実刑判決を受けた日中青年交流協会の元理事長、鈴木英司さん(65)が11日、刑期を終えて出所し、日本に帰国したと...日中友好の為に尽力した鈴木氏がなせスパイ容疑で中国に逮捕・勾留されなければいけなかったのか...きょうの読売の報道によれば...拘束された理由については、「日中関係の悪化が基本としてある」との見方を示したらしい。習近平国家主席が「社会の安定」を重視している事や日中関係の動き次第で「今後も拘束される人が出て来るのではないか」と懸念したらしい。出所直後に、しかも北京で、こんなことを新聞記者に語ってしまうところが彼のわきの甘さだ。そういえば、鈴木氏は、胡錦涛を評価し、習近平主席に批判的だった。中国の政争に巻き込まれたのではないか。

2022/10/27
きょう、10月27日の毎日新聞トップに、鈴木英司氏のインタビュー記事が大きく掲載されていた...それを私は驚き、そして暗澹たる思いで読んだ。
こうなることは、彼が釈放直後に日本のメディアの前で、「何でもしゃべってやる」と言わんばかりの発言をしていたことから容易に想像が出来た...そこには、今度の中国当局の鈴木氏に対する逮捕・拘留が、いかに理不尽であったか、そして拘留直後の取り調べや監禁状況が、いかに非人道的なものであったかが、怒りを込めて語られている。私は、彼の言っている事は正しいと思っている...しかし...なぜ彼が6年間もの長きにわたって逮捕・拘留されたか。それは、彼が中国共産党青年団(共青団)が支持する胡錦濤側について、習近平主席批判をしたからだ。私はそう確信している。彼はただのスパイ容疑で捕まったのではない。中国の権力闘争の一方について自ら危険をおかしたのだ...そして、日本は対米従属を強め、台湾有事をめぐって習近平主席批判を強めていこうとしている。
そんな中で鈴木英司氏の中国批判は日本のメディアにとって重宝な存在だ...それは決して日中友好関係のためにならない。

2022/10/31
鈴木英司日中青年交流協会とのインタビュー記事を毎日新聞は、上、中、下と三回に分けて連日掲載してきた...私が一番注目していた、「なぜ自分が不当逮捕・拘留されたか」の理由について一切語っていない。
ところが、きょう10月31日の毎日新聞の記事の中で、鈴木氏は見事に、その不当逮捕・拘留の理由について語った。

毎日新聞ー「(鈴木氏の)拘束は「共青団つぶし」の一環ではないかと一部でささやかれました。つまり共青団人脈を摘発することで共青団に圧力をかけているのではないか、との見立てです」
 
鈴木ー「中国政府は14年に反スパイ法を制定した後、摘発を強化していた。日本の中国大使館や総領事館の幹部は、共青団出身者だけでなく。(共産党で外交を担う)党中央対外連絡部(中連部)の出身者も、中国に一時帰国中拘束されたり、事情聴取されていた。習政権はこの時期、外国とつながりのある人への締め付けを強めていた。私の拘束が政争と関係があるのかどうかはよくわからないが、こうした一連の流れの中で、私が狙われていた可能性はある・・・」

しかも、である...(鈴木氏は)習近平主席の中国を毎日新聞紙上で次のように酷評している。

”(いまの中国は)問題が多い。諸外国から人権問題について指摘されるのは当然と思う。「中国には中国なりの人権がある」というが、これはおかしい。人権は万国共有だ。世界第二位の経済大国がこういう態度でいいのか。海外からの批判には真摯に耳を傾けないといけない・・・”

6年余り中国で逮捕・拘留されたばかりなのに、釈放直後に ここまで習近平主席の中国を批判するとは...そう思ってハタと気づいた。これはまさしく日本の外務省の立場ではないのか...鈴木氏は、中国の政争に巻き込まれていただけではなく、文字通りスパイ容疑でもつかまったのではないかとすら私は疑う...鈴木氏の言動は、日中関係の改善に尽くしたいという本人の願いに反して、これからも日中関係改善の阻害要因になるだろう。残念でならない。

2022/11/20
その後、毎日新聞に続いて鈴木氏にインタビューしたメディアは出て来なかった...そしてきょう11月20日の共同通信の配信を見て驚いた。共同通信が鈴木氏にインタビューして、その内容を次のように報じたのだ。
鈴木氏と同じ拘置施設に、やはりスパイ容疑で逮捕された中国の元外交官が少なくとも3人いたという。
その3人は日本での勤務が長く、日本語を話す、元在日中国大使館員だったという。
三人とも、日本側に情報提供した容疑で逮捕されたとみられるという。
そのうちの一人は鈴木氏の知人であり、元在日中国大使館の公使参事官だったと言う。
鈴木氏はその外交官と2013年に、北京を訪れた時に会って中朝関係をめぐる情報を聞き、日本政府関係者に伝えた疑いが持たれたという。鈴木氏がスパイ容疑で逮捕されたのは2016年だった。
これを要するに、中国当局は、鈴木氏に疑いを持ったあと、三年間も鈴木氏の言動を慎重に追尾し、そしてついに逮捕に踏み切ったということだったのだ。
鈴木氏は冤罪を主張しているというが、やはり鈴木氏は限りなくスパイ容疑で逮捕されたのだ。
習近平主席と胡錦涛前主席の権力争いに巻き込まれただけで逮捕される事はない。
それに加えてスパイ容疑まで持たれていたとすれば逮捕もやむを得ない。
この共同通信のインタビュー記事は貴重な配信だ...鈴木氏を残念に思う。これ以上軽率な事を繰り返してはいけないと思う。
No.7
18ヶ月前
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孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。